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召喚から15年が経った

第543話 グビッシュ王国での商売の行方

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さて、僕はこの異世界で公爵なんだけど、やっている事はそれだけではありません。

名もない商会を立ち上げたのはいいのですが、常山領と共にいつの間にやら常山商会と言う名がグビッシュ王国中に広まって、買いが付けば常山商会と言う名が僕の商売をする上での組織名となってしまってました。

まあ常山商会でいいんですけど。

そうは言っても元手はあまりかかっておらず、ぶっちゃけ魔素の濃い、つまり魔力の溢れる土地で複製スキルを用いてのアイテムの複製が商品の元となっています。

ですがヘルトラウダに言わせれば、グビッシュ王国広しといえど、これほどまでに広範囲の複製を行えるのは、常山領以外に無いらしいです。

え?だって最初召喚に巻き込まれた時って、僕達城で複製しまくってたんだけど?

「何をおっしゃるのですか今更ですわ順平さん。」

「どういう事だい?ヘルトラウダ。」

「王都もこの常山領から漏れだす・・・・溢れかえる魔素が流れ込み、それなりに魔素が濃いのですよ。召喚時の複製ぐらいでは溢れ返った魔素を全て消費する事はかないませんわ。さすがに今の複製では1年もたないでしょうが。」

あ、それでも1年もつんだ。
「じゃあこの領地では?」

「もって10年でしょうか。できればダンジョン内での複製をお勧めいたします。特に最下層であれば魔素が今の領での量の複製で枯渇する事はないでしょう。いえ、魔素酔いを抑える意味でもどんどん複製を行う事を推奨いたしますわ。」

魔素酔いって・・・・

どうやら長期にわたり高濃度も魔素をその身に浴び続けてしまうと、あまりにも濃い魔素に身体が対応しきれず、酔ったような状態になる事があるらしいです。

でも常山領でそんな状態の人を見た事がないよ?

そして・・・・いくらアイテムを複製しまくっても消費しきれない魔素。
あ、それとは別に、内元君と開発した自転車等、魔力があまりない場所での移動も可能なのですが、こういった道具を複製ではなく、実際に領内で製作もしています。
何せ領内の人が多く、職を用意しないといけないので、こういった道具を領民に作ってもらっています。

魔素の濃い場所でのアイテムの複製、そして魔素に関係なく作成する道具。

一見相反するこの2つのアイテムを得る方法。
ですがこれには意味があります。

特に魔素。
何時尽きるか分かりませんし、利用できない状態になる可能性もあります。
もしそうなった場合、複製だけに頼り切っていると、複製が出来なくなる=領地の衰退を意味します。
それを避けるためにもアイテムの作成方法は複数用意しています。

尤も僕も内元君もアイテムを作るのが半ば趣味となっているのですけどね。

そして最近の冒険者は、アイテムを作成するにあたりその素材の確保をしてもらうのが主な活動内容になっています。

ダンジョン、地上どちらでも。
まあ解体作業がない分ダンジョンの方が人気が高いのですが、これも魔素が尽きればドロップもしなくなるわけで、一定数の冒険者が地上で活動してくれています。

この活動は街から街への移動の時、魔物に襲われにくくなる事からギルドが特に推奨し、報酬もダンジョンで活動するよりも高く設定しているようです。
何せダンジョンでは魔物を討伐しても死体が残らないので、魔物がアイテムをドロップをし、それを回収する事で利益を得ますが、地上では魔物を仕留めれば死体が残るので、証拠となる討伐部位を持ち帰れば・・・・無論肉や骨・牙や毛皮等を解体し持ち帰っても利益が得られますが・・・・討伐部位だけでもある程度利益は出るようになってます。
民間人の安全は何物にも代えがたいですから。

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