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召喚から15年が経った

第544話 雇用の創出と魔素の消費の両立は難しい

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順平は悩む。

アイテムの確保に何して常山領では複製スキルを用いてアイテムを複製すれば元手がかからずに手に入れる事が出来る。

しかも溢れる魔素を消費する事で魔素の安定化ができるからだ。

しかしこれには大きな弱点が。

常山領は巨大な領地。
しかも近隣諸国が悉く魔王に滅ぼされた関係で、難民がグビッシュ王国になだれ込み、しかも地形的に常山領が最も近くかつ魔王の襲撃を退けた本人が領地を治めている事もあり、常山領に難民が集中してしまい、常山領はそんな難民をすべて受け入れ領民としている。
ただ、数が多すぎすべての難民を養う事は長期には不可能。

ただこれには裏技があり、食料だけであれば複製スキル持ちの人間に延々と食料を複製させれば食料自体は足りるのだ。

だが順平は複製スキルの所持者を厳格に管理している。

順平の妻と常山領に対し貢献度の高い家臣のみにスキルを与えている。
その中にはグビッシュ王国の侍女も含まれ、複製スキル持ちは常山領以外には基本存在しない。

無論周囲の領地に複製スキル持ちがいない訳では無いが、全て侍女等が常山領から派遣され赴任している。

「で、どうするのだ順平殿。」

アーダが確認の為に順平に声をかける。

「これ以上複製スキル持ちを増やしても、雇用は増えない。雇用を創出しないと無職で働けない人が増えるし・・・・魔素は今落ち着いているみたいだから今後は敢えて職人を増やし工員に作業をしてもらう製品の開発をしてもらって、製品を作ってもらうしかない。」

「分かったのだ。どうだザーラ。」

「お姉様、そういう事でしたらヘルトラウダに早速伝えますわ。それと冒険者の扱いはどうしましょうね?」

「ザーラはどう思う?僕としては元々グビッシュ王国に居た冒険者は今のままの活動でいいと思うんだが、他国から魔王の影響で流れ着いた難民が冒険者になった人達は、生まれ育った土地でもなく土地勘があまりないだろう。だから単純に地上での活動は厳しいと思う。それならばダンジョンだが、そう都合よくダンジョンで活躍できるわけじゃないからね。」

それに冒険者というのは力仕事だけではなく、魔法を使っての攻撃や支援を行うメンバーもいる。そう言った冒険者は総じて力がない。魔法剣士のように両立している冒険者もいるが、たいていはどちらかを極める事になる。何故などちらにも手を出すと、殆どの冒険者はどっちつかずになってしまうからだ。

「冒険者もそうだけど難民と言っても、もうすっかり常山領に定着しているわよね?ならばそろそろ学ぶ事のできる場を本格的に用意したらと思うんだけど。」

学校か・・・・

「そうだね。それは何とかしたいね。ただ教える人を用意しないと。」

人に教える事の出来る知識人がいかほど存在している事か。
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