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地獄に仏?
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――――
しばらくして、グツグツとした釜土の音と、ジューッとする人型の魂の焼ける音が、至る所から耳に入ってきた。
周囲の高温で瞬く間に大汗を掻き出す。
俺は目を開けた。
火のついていない釜土がすぐそばにあった。
ここは叫喚地獄だ。
周辺からの悲鳴がけたたましい。
殺生に加えて、邪淫、飲酒と偸盗《ちゅうとう》という盗みを働いた人々が高温の煮え湯で、焼かれる凄まじい光景だった。
「なあ? 音星?」
「はい!」
「ニャ―」
音星は例によって、目を瞑っていた。
シロもいつも通りだ。辺りに響き渡る悲鳴でも、警戒しているわけでもない。
「この下の大叫喚地獄はもっと酷いんだろうな……」
「……そうですね……」
「俺、なんだか罪人が可愛そうな気がする。仕方ないけど、……妹はこんなところにまで来たんだな……って……」
「……妹さん。見つかるといいですね」
そこで、俺は立って動く半透明な人型の魂を見つけた。
「あ!」
「ニャ―!!」
それは俺の妹だった。
「あ! 兄貴?!」
「弥生?!」
火のついていない釜土から、10メートルほど西の方に妹が半透明だが生前の姿で立っている。だが、俺が何か言おうとしたら、妹は更に西の方へ逃げだしてしまった。
しばらくして、グツグツとした釜土の音と、ジューッとする人型の魂の焼ける音が、至る所から耳に入ってきた。
周囲の高温で瞬く間に大汗を掻き出す。
俺は目を開けた。
火のついていない釜土がすぐそばにあった。
ここは叫喚地獄だ。
周辺からの悲鳴がけたたましい。
殺生に加えて、邪淫、飲酒と偸盗《ちゅうとう》という盗みを働いた人々が高温の煮え湯で、焼かれる凄まじい光景だった。
「なあ? 音星?」
「はい!」
「ニャ―」
音星は例によって、目を瞑っていた。
シロもいつも通りだ。辺りに響き渡る悲鳴でも、警戒しているわけでもない。
「この下の大叫喚地獄はもっと酷いんだろうな……」
「……そうですね……」
「俺、なんだか罪人が可愛そうな気がする。仕方ないけど、……妹はこんなところにまで来たんだな……って……」
「……妹さん。見つかるといいですね」
そこで、俺は立って動く半透明な人型の魂を見つけた。
「あ!」
「ニャ―!!」
それは俺の妹だった。
「あ! 兄貴?!」
「弥生?!」
火のついていない釜土から、10メートルほど西の方に妹が半透明だが生前の姿で立っている。だが、俺が何か言おうとしたら、妹は更に西の方へ逃げだしてしまった。
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