巫女と勇気の八大地獄巡り

主道 学

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それも罪?

3-14

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「あ! すごく熱いぞ!! ここはヤバい!!」
「あ、いえ、火端さん。地獄はもともとこいうところなんでしょうね」
「う……確かにな……。ここは地獄だものな……」
「さあ、妹さんを探しましょう」
「ああ」

 俺の心の中の妹を想う気持ちや、焦燥感や、恐怖心はピークに達していた。
 なんとしても、地獄から妹を探しだすんだ!!

 しばらく、俺たちは走って、灰色の空から降り注ぐ大岩と熱すぎる溶岩を避けながら。探すこと二時間あまり。

 結局、妹は見つけられなかった……。
 どこにもいない。

 けれども、ここ黒縄地獄でも安全な場所を見つけた。

 岩山の間に、小さな白い花が咲いていて、そこにだけは降って来る大岩の雨も、地面を流れる溶岩も近づかなかった。

「音星はここで待っていてくれ! 俺はもう少し探してくる!」
「ええ。お気を付けて……あ! あらら? なんだか不吉な予感がしますね」
 
 俺は音星の向いた首の方向を見ると、ドーンっと大噴火した一つの山があった。

 その山から、周囲の地面にまで溶岩が押し寄せてきて、豪雨のように降る焼けた大量の大岩が、天高くばら撒かれた。まるで、地獄だ……。 いや、地獄にいるんだよな。俺たち……。

 それと同時に、周囲の高熱も更に極度に上がってしまい。岩山の間の一輪の花が揺らいだ。

「だ、ダメだ!! 熱くてしょうがないぞ! このままじゃ、二人とも高熱でやられてしまう!! しょうがないから一旦、八天街へ引き返そう! 音星急いでくれ!!」
「は……はい! え、ええ! そうですね!」

 音星は布袋を肩から降ろして、袋の中から古い手鏡を急いで探しだした。
 その間、俺は辺りを警戒した。

 これだけの激しい高熱や溶岩の流れがあるというのに、そして、大雨のように降って来る大岩も、俺たちがいる岩山の間の部分は何事もなかった。でも、無事だったけど、熱さは酷いもんだ。
 
 俺も音星も火山によってグンと上がってしまった高熱で、滝のような汗を流していた。もしかしたら、このままだとそこらの亡者と一緒になるんじゃないかと思うほど、物凄い高熱が黒縄地獄全体を包み込んだ。至る所にある地面に転がっている大きな岩が、悲鳴のように水蒸気を勢いよく上げ、煙を噴き出している。俺の呼吸もなんだか、過呼吸になって、息苦しさを覚えるようになってきた。

「火端さん! この手鏡を! ……あれ? 火端さん? あっちの岩間から……」
「え?」

 音星が指差す方を見ると、鬼(獄卒)たちによって、一つの人型の魂が鉄岩に括り付けられていたが。今にも巨大な斧で四肢を切断されそうになった。その時、その人型の魂から、あり得ないほどの大きな悲鳴が発せられた。 

「火端さん。私、行ってきます!」
「音星! 待つんだ! 無茶だよ! ここは地獄だぞ! 罪を犯したものが落ちてしまう場所んだし! 当然、受けないといけない罰なんだよ! きっと! 
 だけど……」

 俺は頭を激しく振った。

「いや、罪人だけど……でも、罪人だから……仕方ないことなんだと思うんだ! 俺たちが止めに入るのは、何かがおかしい気がするんだ!」

 音星は俺の顔をじっと見つめて、クスクスと笑いだした。
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