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77 光と闇 - la lumière et les ténèbres -
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この男を殺すのは自分でなければならない。
(あのとき約束したのにな)
バルタザルは冷たい石床の上に横たわる男を見下ろした。この男が我が眼を奪い、尊い王国の秩序を揺るがせた。
どのように死んだかは聞いた。クイン・アドラーにはできなかったのだ。そんなことはこの結末を見ずともわかりきっていた。
(彼は愛を知りすぎている)
ならば、これは自分の仕事だ。
死んだはずの男がゆっくりと目を開いて、虚空を見つめている。
不思議と驚きはない。
目尻から細く流れた一条の涙は、何らかの生理的な反応なのか、余人は知る由もない感情が肉体的な反応を起こさせたものなのか、バルタザルには知る必要がない。
「おかしいと思ったんです。というより、そうならいいなと思いました。報復の機会がありますから」
バルタザルは屈んで死者の色をしたイェルクの顔を覗き込んだ。
「妻は血を吐いて倒れ、あなたは呼吸困難――それぞれ違う毒を飲んだのではないかとね。仮に骨の髄まであなたに忠実な妻があなたにだけ死を偽装する毒を使ったなら、あなたは逃げ、再起を図る。そうでしょう」
「……わたしの意志ではない」
「なら大人しく死んでいてくださいよ。二度目の復活は許さない」
この刹那、バルタザルは顎に打撃を受けた。目にもとまらぬ速さでイェルクが跳ね上がり、頭突きをしてきたためだ。たった今まで死人のように脈を止めていた人間がこれほど俊敏に動けるとは、予想していなかった。
よろけた瞬間に足を払われたが、転倒する前に右足をつき、そのまま跳躍してイェルクの鳩尾を蹴り、首を押さえ込んで、もう一度鳩尾を膝で蹴り上げた。
イェルクは呻き、血を吐きながらバルタザルの左脚に自分の脚を絡めて床に倒した。手元に、囚人を繋ぐための鎖が伸びている。それをたぐり寄せるように掴み、バルタザルの喉を締め上げた。
「わたしの生死を決めるのは、お前ではない!」
「……ッ!クソ!」
ものすごい膂力だった。痛みと苦しさで目の前が真っ白になった瞬間、バルタザルの身体がふと楽になった。
バルタザルは激しく咳き込み、酸素を奪われたせいでぐらぐらと回る頭を抱えて、しばらくうずくまった。欠けた視界が次第に明瞭になった時、目の前で見覚えのない老いた男がイェルクに覆い被さっていた。
藻掻くようにバタバタと暴れていたイェルクの脚は、再び冷たい床の上で力を失った。
首に包帯を巻いたその男が、三十センチほどもある釘のような長い針をイェルクの首から抜いて立ち上がったとき、イェルクの首から噴き出した血が、地下牢を鉄と肉の混ざった生ぬるいにおいで満たした。
「息子が世話を掛けた」
男は皺の多い顔をバルタザルに向けて、クイン・アドラーとそっくりな目を微かに光らせた。
「感謝します。でも僕がやりたかった」
「闇には闇の流儀がある。輝かしい新世界の僕となるなら、君たちはまだそこにいなさい。若者よ」
「あなたは――」
イェルクの身体を担ぎ上げる老いた男の背に、バルタザルは問いかけた。
「こうなるとわかっていたんですか。だからあなたの息子や女王陛下にマルス語の習得を?」
「いいや」
と、老人は首を振った。
「わたしはこの国が滅びた後、あの子たちがどこにでも行けるようにと願っただけだ。幸いその機会は失われたが」
それだけ言って、息子の遺体を背負った男は地下牢を出て行った。
最後に見えた横顔は、微かに笑っていた。
ルッツ・アドラーがイェルクと妻の遺骸をアドラー家で引き受けたいと議会に申し出たのは、翌朝のことだった。
議会はこれを承認した。クーデタを目論んだ男の墓がいつしか王を夢見た英雄の眠る地として神聖視される可能性を残すより、ただのアドラー家の息子の墓が残る方が好都合でもあったからだ。が、オルフィニナをはじめ、アドラー家の人間には、別の思いがあった。
この数日後、イェルク・アドラーと妻スヴァンヒルドの名が刻まれた墓標の下に、二人の遺灰が葬られた。イェルクの骨壷には、木彫りのオオカミが入れられた。
同じ頃、エマンシュナ王国ではヴァレル・アストルが単騎逃亡し、西方へ向かっていた。
この時、ヴァレルはまだイェルクの大敗を知らない。それどころか、ルキウスの徹底的な情報統制のために、ギエリで何が起きているかさえ把握していなかった。
ヴァレルは情報の頼りなさに苛立ちながらも、一縷の望みを賭け、ギエリでイェルク・ゾルガの保護を受けようと目論んでいた。
道中、馬を乗り潰したヴァレルは、大都市ルドヴァンの市場へ立ち寄り、ここで警備兵に捕らえられた。この時、領主であるルドヴァン公爵アルヴィーゼ・コルネールはギエリのルキウスに従って留守にしていた。
すべてはルドヴァン公爵夫人イオネ・アリアーヌ・コルネールの裁量に委ねられた。
ヴァレルは、学者であり政治に関心を持たない公爵夫人を甘く見ていた。
縄を打たれルドヴァン城の裏庭に連行されたヴァレルは、イオネに見逃すよう申し出ただけではなく、馬まで所望した。それも、クーデタを目論んだというのは国王の誤解であり、揺るぎない忠誠心の元、ギエリにいるルキウス王太子に加勢するためであると嘘八百を並べ立てた。
「言い分は理解したわ」
イオネはひどく冷たい表情のままヴァレルを見下ろし、衛兵に短い指示を出して、ヴァレルを立ち上がらせた。
「たぶん、壊死が始まっているわ。ヴァレル・アストルさん」
イオネは既に大公ではなくなったヴァレルをそう呼び、事務的に言った。事実、治療が済まぬうちに王都を飛び出してきたヴァレルの腕の切り口には虫が集り、煩わしく飛び違っている。
「ルドヴァン大学の医学生が治療にあたります」
イオネはそれだけ言って、ヴァレルを病院へ運ばせた。
その日のうちに、ヴァレルの腕の治療が始まった。ヴァレルはそれが済めば馬を手に入れられると考えていたが、違った。
治療を終えた後、痛み止めで朦朧としているうちに、ヴァレルは囚人用の馬車に詰め込まれ、そのまま王都へ送り返された。
南の小さな島に流刑に処されるまで、ヴァレル・アストルは田舎の小さな邸宅に拘禁され、失意の日々を過ごした。
身一つで逃亡を図ろうとしたかつての指揮官の姿に、彼を尊敬していた多くのものが失望し、かつての大公の減刑を願い出るものはいなかった。
これが、簒奪を目論んだ者たちの最後の日々となった。
彼らの物語が英雄譚として語られることは、永遠にないだろう。
オルフィニナは連日議会を招集し、信頼できる臣下に新たな役職を与え、新体制での運営が円滑に進むよう尽力した。
平民議会の設立には、賛成派と反対派の臣下を担当官として任じ、議論を重ねさせた。
実現が可能であるという見通しが立った頃、オルフィニナはイゾルフを正式に次の王であると定め、立太子の宴を催した。
目まぐるしく過ぎる新たな日々の中、クインにも変化があった。男児の父になったのである。
戴冠式からふた月が過ぎた頃、クインはビルギッテから懐妊したことを告げられていた。
「俺が育てる」
とクインはその瞬間に肚を決めた。
実際に自分が父親である可能性もあったが、実のところは分からない。が、クインにとっては誰の胤であろうが、どうでもよかった。ただ、新たな王国にもたらされた小さな光を、自らの手で掴んでいたかったのだ。
ビルギッテは我が子を手元で育てるよりも、次の王であるイゾルフの側近として任務に生きる道を選んだ。
オルフィニナは、喜び勇んでその子の名付け親となった。
激動の戴冠式から一年後の秋。――
アミラ女王オルフィニナ・ディートリケ・ドレクセンとエマンシュナ王太子ステファン・ルキウス・アストルの婚礼は、それぞれの王都で華々しく行われた。
ギエリ城で神官の祝福を受け、周辺諸国の大使やアミラ貴族たちとの大宴会を行ったあと、煌びやかな隊列を率いてアストレンヌへ赴き、アストレンヌ城でも儀式を行い数日にわたり宴や舞踏会を開いた。
これらが終わる頃には、オルフィニナとルキウスは抜け殻のように疲れ切っていた。
「おかしいな。大事な婚礼だったはずなのに、君がこの世で一番綺麗だったことしか記憶にない」
ルキウスは礼装のまま寝台に身体を投げ出して呟いた。
オルフィニナは腹をひくひくさせて笑い、自分も繊細なレースが美しい婚礼衣装のまま、ルキウスの腕に頭を預けた。
「あなたも目を見張る男振りだった。太陽の下で見ると太陽神の化身のようだな。みながあなたに魅了される気持ちがよく分かる」
「じゃあ、夜の俺は魅力が落ちる?」
「まさか。いっそう魅力的だよ。わたしだけのものになるんだから」
ルキウスは腕の上でゆったりと目を細めたオルフィニナの方へ首を傾げると、ふぅ、と大きな溜め息をつき、美しい妻の顔にしばらく見蕩れた。
「君は出逢った瞬間から俺を狂わせる」
「そんなつもりはない」
「本当にそうか?」
オルフィニナは覆い被さってきたルキウスの身体を、笑いながら受け止めた。二人とも疲れ切っているというのに、熱を交換し合う体力を惜しもうとしないのは、なるほど狂っていると言えるかもしれない。
(あのとき約束したのにな)
バルタザルは冷たい石床の上に横たわる男を見下ろした。この男が我が眼を奪い、尊い王国の秩序を揺るがせた。
どのように死んだかは聞いた。クイン・アドラーにはできなかったのだ。そんなことはこの結末を見ずともわかりきっていた。
(彼は愛を知りすぎている)
ならば、これは自分の仕事だ。
死んだはずの男がゆっくりと目を開いて、虚空を見つめている。
不思議と驚きはない。
目尻から細く流れた一条の涙は、何らかの生理的な反応なのか、余人は知る由もない感情が肉体的な反応を起こさせたものなのか、バルタザルには知る必要がない。
「おかしいと思ったんです。というより、そうならいいなと思いました。報復の機会がありますから」
バルタザルは屈んで死者の色をしたイェルクの顔を覗き込んだ。
「妻は血を吐いて倒れ、あなたは呼吸困難――それぞれ違う毒を飲んだのではないかとね。仮に骨の髄まであなたに忠実な妻があなたにだけ死を偽装する毒を使ったなら、あなたは逃げ、再起を図る。そうでしょう」
「……わたしの意志ではない」
「なら大人しく死んでいてくださいよ。二度目の復活は許さない」
この刹那、バルタザルは顎に打撃を受けた。目にもとまらぬ速さでイェルクが跳ね上がり、頭突きをしてきたためだ。たった今まで死人のように脈を止めていた人間がこれほど俊敏に動けるとは、予想していなかった。
よろけた瞬間に足を払われたが、転倒する前に右足をつき、そのまま跳躍してイェルクの鳩尾を蹴り、首を押さえ込んで、もう一度鳩尾を膝で蹴り上げた。
イェルクは呻き、血を吐きながらバルタザルの左脚に自分の脚を絡めて床に倒した。手元に、囚人を繋ぐための鎖が伸びている。それをたぐり寄せるように掴み、バルタザルの喉を締め上げた。
「わたしの生死を決めるのは、お前ではない!」
「……ッ!クソ!」
ものすごい膂力だった。痛みと苦しさで目の前が真っ白になった瞬間、バルタザルの身体がふと楽になった。
バルタザルは激しく咳き込み、酸素を奪われたせいでぐらぐらと回る頭を抱えて、しばらくうずくまった。欠けた視界が次第に明瞭になった時、目の前で見覚えのない老いた男がイェルクに覆い被さっていた。
藻掻くようにバタバタと暴れていたイェルクの脚は、再び冷たい床の上で力を失った。
首に包帯を巻いたその男が、三十センチほどもある釘のような長い針をイェルクの首から抜いて立ち上がったとき、イェルクの首から噴き出した血が、地下牢を鉄と肉の混ざった生ぬるいにおいで満たした。
「息子が世話を掛けた」
男は皺の多い顔をバルタザルに向けて、クイン・アドラーとそっくりな目を微かに光らせた。
「感謝します。でも僕がやりたかった」
「闇には闇の流儀がある。輝かしい新世界の僕となるなら、君たちはまだそこにいなさい。若者よ」
「あなたは――」
イェルクの身体を担ぎ上げる老いた男の背に、バルタザルは問いかけた。
「こうなるとわかっていたんですか。だからあなたの息子や女王陛下にマルス語の習得を?」
「いいや」
と、老人は首を振った。
「わたしはこの国が滅びた後、あの子たちがどこにでも行けるようにと願っただけだ。幸いその機会は失われたが」
それだけ言って、息子の遺体を背負った男は地下牢を出て行った。
最後に見えた横顔は、微かに笑っていた。
ルッツ・アドラーがイェルクと妻の遺骸をアドラー家で引き受けたいと議会に申し出たのは、翌朝のことだった。
議会はこれを承認した。クーデタを目論んだ男の墓がいつしか王を夢見た英雄の眠る地として神聖視される可能性を残すより、ただのアドラー家の息子の墓が残る方が好都合でもあったからだ。が、オルフィニナをはじめ、アドラー家の人間には、別の思いがあった。
この数日後、イェルク・アドラーと妻スヴァンヒルドの名が刻まれた墓標の下に、二人の遺灰が葬られた。イェルクの骨壷には、木彫りのオオカミが入れられた。
同じ頃、エマンシュナ王国ではヴァレル・アストルが単騎逃亡し、西方へ向かっていた。
この時、ヴァレルはまだイェルクの大敗を知らない。それどころか、ルキウスの徹底的な情報統制のために、ギエリで何が起きているかさえ把握していなかった。
ヴァレルは情報の頼りなさに苛立ちながらも、一縷の望みを賭け、ギエリでイェルク・ゾルガの保護を受けようと目論んでいた。
道中、馬を乗り潰したヴァレルは、大都市ルドヴァンの市場へ立ち寄り、ここで警備兵に捕らえられた。この時、領主であるルドヴァン公爵アルヴィーゼ・コルネールはギエリのルキウスに従って留守にしていた。
すべてはルドヴァン公爵夫人イオネ・アリアーヌ・コルネールの裁量に委ねられた。
ヴァレルは、学者であり政治に関心を持たない公爵夫人を甘く見ていた。
縄を打たれルドヴァン城の裏庭に連行されたヴァレルは、イオネに見逃すよう申し出ただけではなく、馬まで所望した。それも、クーデタを目論んだというのは国王の誤解であり、揺るぎない忠誠心の元、ギエリにいるルキウス王太子に加勢するためであると嘘八百を並べ立てた。
「言い分は理解したわ」
イオネはひどく冷たい表情のままヴァレルを見下ろし、衛兵に短い指示を出して、ヴァレルを立ち上がらせた。
「たぶん、壊死が始まっているわ。ヴァレル・アストルさん」
イオネは既に大公ではなくなったヴァレルをそう呼び、事務的に言った。事実、治療が済まぬうちに王都を飛び出してきたヴァレルの腕の切り口には虫が集り、煩わしく飛び違っている。
「ルドヴァン大学の医学生が治療にあたります」
イオネはそれだけ言って、ヴァレルを病院へ運ばせた。
その日のうちに、ヴァレルの腕の治療が始まった。ヴァレルはそれが済めば馬を手に入れられると考えていたが、違った。
治療を終えた後、痛み止めで朦朧としているうちに、ヴァレルは囚人用の馬車に詰め込まれ、そのまま王都へ送り返された。
南の小さな島に流刑に処されるまで、ヴァレル・アストルは田舎の小さな邸宅に拘禁され、失意の日々を過ごした。
身一つで逃亡を図ろうとしたかつての指揮官の姿に、彼を尊敬していた多くのものが失望し、かつての大公の減刑を願い出るものはいなかった。
これが、簒奪を目論んだ者たちの最後の日々となった。
彼らの物語が英雄譚として語られることは、永遠にないだろう。
オルフィニナは連日議会を招集し、信頼できる臣下に新たな役職を与え、新体制での運営が円滑に進むよう尽力した。
平民議会の設立には、賛成派と反対派の臣下を担当官として任じ、議論を重ねさせた。
実現が可能であるという見通しが立った頃、オルフィニナはイゾルフを正式に次の王であると定め、立太子の宴を催した。
目まぐるしく過ぎる新たな日々の中、クインにも変化があった。男児の父になったのである。
戴冠式からふた月が過ぎた頃、クインはビルギッテから懐妊したことを告げられていた。
「俺が育てる」
とクインはその瞬間に肚を決めた。
実際に自分が父親である可能性もあったが、実のところは分からない。が、クインにとっては誰の胤であろうが、どうでもよかった。ただ、新たな王国にもたらされた小さな光を、自らの手で掴んでいたかったのだ。
ビルギッテは我が子を手元で育てるよりも、次の王であるイゾルフの側近として任務に生きる道を選んだ。
オルフィニナは、喜び勇んでその子の名付け親となった。
激動の戴冠式から一年後の秋。――
アミラ女王オルフィニナ・ディートリケ・ドレクセンとエマンシュナ王太子ステファン・ルキウス・アストルの婚礼は、それぞれの王都で華々しく行われた。
ギエリ城で神官の祝福を受け、周辺諸国の大使やアミラ貴族たちとの大宴会を行ったあと、煌びやかな隊列を率いてアストレンヌへ赴き、アストレンヌ城でも儀式を行い数日にわたり宴や舞踏会を開いた。
これらが終わる頃には、オルフィニナとルキウスは抜け殻のように疲れ切っていた。
「おかしいな。大事な婚礼だったはずなのに、君がこの世で一番綺麗だったことしか記憶にない」
ルキウスは礼装のまま寝台に身体を投げ出して呟いた。
オルフィニナは腹をひくひくさせて笑い、自分も繊細なレースが美しい婚礼衣装のまま、ルキウスの腕に頭を預けた。
「あなたも目を見張る男振りだった。太陽の下で見ると太陽神の化身のようだな。みながあなたに魅了される気持ちがよく分かる」
「じゃあ、夜の俺は魅力が落ちる?」
「まさか。いっそう魅力的だよ。わたしだけのものになるんだから」
ルキウスは腕の上でゆったりと目を細めたオルフィニナの方へ首を傾げると、ふぅ、と大きな溜め息をつき、美しい妻の顔にしばらく見蕩れた。
「君は出逢った瞬間から俺を狂わせる」
「そんなつもりはない」
「本当にそうか?」
オルフィニナは覆い被さってきたルキウスの身体を、笑いながら受け止めた。二人とも疲れ切っているというのに、熱を交換し合う体力を惜しもうとしないのは、なるほど狂っていると言えるかもしれない。
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