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アスレ編
俺はレベル1の村人
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10日が過ぎた。傷はほぼ完治し自由に村を歩いた。
山々が囲み近くには森があって空気は澄んでいる。
点在する家に田畑が広がる長閑な田舎の村だ。
もし村人に出会ったら体はアスレだが中身はグリムス・アーリエット・リュウベンバーグということは内緒にすることになっていた。
村人がアスレとして接してきた時はアスレを突き通す予定だ。
だが何人か道をすれ違ったが誰も接してこない。相手にされない。誰も挨拶を交わさない。
冷遇されている。いやアスレ自体内気な性格だったか元々村が社交性のない村なのか。
どちらにせよ先ずは自分から。
向こうから歩いてきた同い年ぐらいの男の子に挨拶した。
「おはよう!」
男の子は睨み付け
「アスレ!誰に向かって気軽に口開いた!?」と怒鳴った。
なるほど。アスレは随分と嫌われているらしい。
「誰でも挨拶をするのは当然」
「なに!?お前と俺では身分が違う。下の者は上の者が口を開くまで開くなと言われているだろうが!」
道の真ん中で男の子は拳を振り上げ顔面目掛けて大振りで殴り掛かってきた。
大振りで避けやすい。動きは完全に見切っている。なんせリュウベンバーグ随一の冒険者だったからだ。
ガードして防いでもいい。
と考えている間に拳が顔面に迫った。
俺は咄嗟に両腕で顔面をガードした。
腕に衝撃が伝わる。思ったより強力な一振りはガードした腕を弾いて顔面にクリーンヒットして俺は道の真ん中で倒れた。
目覚めたら、また硬い木製のベッドの上だった。頬にはリーキの葉が貼っている。妹のペリシアが貼ってくれたと推測する。
アスレは俺の想像の何倍も弱かった。
あれしきの攻撃を防げない軟弱な足腰。昔に比べて攻撃が早く見えた。
やはりレベルが低い。
冒険者だった頃はレベル120。リュウベンバーグで最高ランクのレベルとされる。このアスレのレベルを知る必要がある。そう思ってベッドから起き上がり、母親を探した。
「アスレ」
後ろから優しい声がした。母マーレは俺を抱き締めた。
数日暮らしてマーレはアスレに対して甘やかしているのではないか?と感じた。
「心配しました。喧嘩なんてしたことがないアスレですから。体は大事にしてください。アスレのものですから」
母親は喧嘩の事は聞かなかった。
「はい。すみません。あの、頼みがあります」
「なんですか?」
「レベルを知りたいのです」
「ロキ様なら分かると思いますよ」
翌日、ロキの家を訪れレベル鑑定をしてもらった。
「アスレはレベル1じゃ」
「レベル1!?」
レベル1。転生前なら生まれて3年で武術を習い8歳で冒険者の手伝いを始め12歳で冒険者として生きていた。レベル1がどれ程弱いか分からないが、おそらく
レベル1とは10歳程度の戦闘力しかない。
武器や防具で多少のレベルは上がるがレベル1とは……。
「魔力はどうですか?」
「全く」
ロキは手を左右に振った。
魔力が駄目なら魔法は使えない。昔は魔法と剣で魔法剣士の冒険者の肩書きがあったのだが、魔法が使えないとなると武力を高めるしかない。
ロキの家を出て肩を落として帰ってきた俺にペリシアは焼いた芋を出してくれた。
「お兄ちゃん芋あげる」
芋を見てため息を吐いた。
なぜなら毎日芋ばかりだからだ。
肉が食べたい。
マーレとペリシアと食卓を囲み芋を頬張る生活に飽きてきた。
冒険者としての血が騒ぐ。早く村を出て冒険してレベルを上げ魔王を倒すと決めていた。
「ありがとうペリシア」
しかし今は芋を食べて力を養うしかない。
食べ終わると村の兵士として支給されていた切れ味の悪そうな剣を持ち外で素振りを始めた。
その様子をじっとマーレは見ていた。
山々が囲み近くには森があって空気は澄んでいる。
点在する家に田畑が広がる長閑な田舎の村だ。
もし村人に出会ったら体はアスレだが中身はグリムス・アーリエット・リュウベンバーグということは内緒にすることになっていた。
村人がアスレとして接してきた時はアスレを突き通す予定だ。
だが何人か道をすれ違ったが誰も接してこない。相手にされない。誰も挨拶を交わさない。
冷遇されている。いやアスレ自体内気な性格だったか元々村が社交性のない村なのか。
どちらにせよ先ずは自分から。
向こうから歩いてきた同い年ぐらいの男の子に挨拶した。
「おはよう!」
男の子は睨み付け
「アスレ!誰に向かって気軽に口開いた!?」と怒鳴った。
なるほど。アスレは随分と嫌われているらしい。
「誰でも挨拶をするのは当然」
「なに!?お前と俺では身分が違う。下の者は上の者が口を開くまで開くなと言われているだろうが!」
道の真ん中で男の子は拳を振り上げ顔面目掛けて大振りで殴り掛かってきた。
大振りで避けやすい。動きは完全に見切っている。なんせリュウベンバーグ随一の冒険者だったからだ。
ガードして防いでもいい。
と考えている間に拳が顔面に迫った。
俺は咄嗟に両腕で顔面をガードした。
腕に衝撃が伝わる。思ったより強力な一振りはガードした腕を弾いて顔面にクリーンヒットして俺は道の真ん中で倒れた。
目覚めたら、また硬い木製のベッドの上だった。頬にはリーキの葉が貼っている。妹のペリシアが貼ってくれたと推測する。
アスレは俺の想像の何倍も弱かった。
あれしきの攻撃を防げない軟弱な足腰。昔に比べて攻撃が早く見えた。
やはりレベルが低い。
冒険者だった頃はレベル120。リュウベンバーグで最高ランクのレベルとされる。このアスレのレベルを知る必要がある。そう思ってベッドから起き上がり、母親を探した。
「アスレ」
後ろから優しい声がした。母マーレは俺を抱き締めた。
数日暮らしてマーレはアスレに対して甘やかしているのではないか?と感じた。
「心配しました。喧嘩なんてしたことがないアスレですから。体は大事にしてください。アスレのものですから」
母親は喧嘩の事は聞かなかった。
「はい。すみません。あの、頼みがあります」
「なんですか?」
「レベルを知りたいのです」
「ロキ様なら分かると思いますよ」
翌日、ロキの家を訪れレベル鑑定をしてもらった。
「アスレはレベル1じゃ」
「レベル1!?」
レベル1。転生前なら生まれて3年で武術を習い8歳で冒険者の手伝いを始め12歳で冒険者として生きていた。レベル1がどれ程弱いか分からないが、おそらく
レベル1とは10歳程度の戦闘力しかない。
武器や防具で多少のレベルは上がるがレベル1とは……。
「魔力はどうですか?」
「全く」
ロキは手を左右に振った。
魔力が駄目なら魔法は使えない。昔は魔法と剣で魔法剣士の冒険者の肩書きがあったのだが、魔法が使えないとなると武力を高めるしかない。
ロキの家を出て肩を落として帰ってきた俺にペリシアは焼いた芋を出してくれた。
「お兄ちゃん芋あげる」
芋を見てため息を吐いた。
なぜなら毎日芋ばかりだからだ。
肉が食べたい。
マーレとペリシアと食卓を囲み芋を頬張る生活に飽きてきた。
冒険者としての血が騒ぐ。早く村を出て冒険してレベルを上げ魔王を倒すと決めていた。
「ありがとうペリシア」
しかし今は芋を食べて力を養うしかない。
食べ終わると村の兵士として支給されていた切れ味の悪そうな剣を持ち外で素振りを始めた。
その様子をじっとマーレは見ていた。
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