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【ジェード視点】絶対になんかあっただろ!④

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「もー、リカルド様がジェードさんに連れて行かれたって聞いて、あたし学校中探し回ったんですよ? また魔法教えて貰おうって思ってたのに」

「ごめん、ごめん。で? リカルドに告白されたんだって?」

「えっ? えっと……」


ユーリンちゃんはリカルドを見上げる。そして、リカルドが恥ずかしそうに頷くと、とたんに弾けるような笑顔を見せた。


「はい! ていうか、もちろんあたしも好きって言いましたけど」


うわ、全力で惚気られた。でもその顔があんまり嬉しそうだから、なんだかこっちまで幸せな気分になってくる。


「良かったね、誤解が解けたんだ」

「はい、そりゃあもう。そのせつはご迷惑をおかけしました」


笑いながらそう言うユーリンちゃんは、とても晴れ晴れとした顔をしている。

最初はデコボココンビだな、なんて思ったけど。寡黙で人とのコミュニケーションが苦手なリカルドと物怖じしないユーリンちゃんは、いい組み合わせなのかもしれないな。

しばらく話した後、連れだって屋上の扉へと消えていくふたりを見ながら、オレはそんな事を考えていた。


「いいなー、めっちゃ楽しそうだな。オレもそろそろ彼女でも作るかなぁ」


自分もゆっくりと屋上の扉をくぐりながら、ふとそんな言葉が漏れていた。どうやら知らず羨ましく思っていたらしい。なんかこう、リカルドに先をこされた感があるのかな。

そう自己分析をしていたら、屋内に入るなり目の端に淡いピンクゴールドが映る。

見下ろしたら、ゆるくふんわりとウェーブしたピンクゴールドの髪の女の子が立っていた。うつむいてるから顔は見えないけど、この子ってどう見ても。


「アリシア嬢?」


声をかけると、細い肩がピクっと動いた。そのままふるふると震えていたアリシア嬢が意を決したように顔を上げる。オレと目が合った途端、陶器のように白い頬が湯にあてられたように紅く染まった。


「わ、どうしたの、なにかあった?」

「ジェード様……! ななななな……なんでも! なんでもありませんわ!」


アリシア嬢の『ジェード様』呼びに思わず苦笑する。討伐演習初期は名前すら呼ばれてなかったのに、『ジェードさん』に格上げ後、ついには様呼びにまでなった。オレすごくない?

今回の討伐演習を経て、アリシア嬢にだいぶ信頼して貰えたらしい。貴族に様呼びされるのは慣れないけど、アリシア嬢も考えるところがあるんだろうね。

それにしてもアリシア嬢、リカルドばりに挙動不審だし、なんでもないって風には見えないけど。

あ、さては。


「リカルド達、通ったでしょ。仲よさそうで何よりだよね」

「わ、わたくは別に、羨ましい、わたくしも……ジェ………………なんて思ってませんからぁ!」


ボンッて音がするみたいに真っ赤になって、アリシア嬢は一目散に階下に向かって駆け下りていった。

お子様にはまだこの話題は早かったか……ちょっと反省する。後半なに言ってるかほぼ分かんないくらいテンパってたもんなぁ。可愛い。

誰もいなくなった階段を、オレはことさらにゆっくりと降りていく。

あーあ、オレもマジで彼女欲しいなぁ。仲いい子に思い切って声でもかけてみるかなぁ……そんな不埒なことを思いながら。





*****

ジェード視点SSはこれにて完結です。

ちょっと最期、本業の忙しさで間が空いてしまってごめんなさい。
ご愛読感謝です!
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