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第八十三幕「伝説の痴女」~港町マルトーに響きわたるロザリーナの名声~
しおりを挟む粗末な一杯飲み屋や、少々いかがわしい、酌婦が相手をするような酒場が立ち並ぶ、狭い路地裏。
・・・くたびれた平民服を着て「カミーロ」となったアラミスが大声を張り上げる!
「絶世の美女、ロザリーナがお見せする、素晴らしいショー!ご覧になる殿方を桃源郷に誘うこと請け合いですよおおおっ!」
「・・・・なんだ、見世物か?」
「・・・・また路上ストリップだろっ?この辺りじゃそれで食っている女が大勢いるからなぁ・・・」
「路上ストリップなら、俺はもう見飽きたぜ!どうせいい玉なんかいやしねぇ、路上で物乞いストリップをするような阿魔は店では使ってもらえねぇ「落ちぶれ組」と相場が決まっているんだ・・・さあっ、娼館に今夜のお相手を探し行こうぜ!」
数人の男達が、ロザリーナとカミーロの前を素通りしようとしたその時だった。
「ち、ちょマテヨ!・・・あの女、顔は半分マスクで隠しているが、とんでもねぇベッピンだぜ?おおっ、乳もスゲええええっ!・・・おいっ、ちょっと見に行こうや!」
「・・・・ホ、ホントだっ・・・もの凄げぇいい女だっ!・・・あの女がストリップをするのかっ?」
ここでも、アレクシアの美貌は絶大な広告効果を発揮する!
アラミスの素人口上などには見向きもしない男達が、ドミノマスクを着け、今夜は少しセクシーなフリルの付いた女給用のドレスを着てボーッと突っ立っているだけの彼女を見ると、まるでランプの炎に引き寄せられる蛾のように、2人の元に寄ってくるのだ!
「・・・・おっ、おいっ・・・そこの女っ・・・脱ぐのかっ?」
「・・・ストリップなのかっ?」
すっかりこの美しい熟女の情夫「カミーロ」役が板についてきたアラミスが、ちょっと得意気に言う。
「旦那様っ、ストリップなんて「オトナだまし」じゃあございませんよっ!私とこのロザリーナが、もっと素晴らしいモノをこの場でお見せしますっ!」
「・・・・お・・・おい・・・それってもしかしてっ・・・」
・・・その時だった、表通りからドタドタと数人の男達がかけてくる足音が騒々しく聞こえてきた。
「・・・・おいっ、いたぞっ!今夜はココでやっているっ!あのロザリーナ嬢だっ!」
「うおおおおっ!本当だっ!・・・見つけたぞっ、ロザリーナ嬢っ!会いたかったよおおお~っ!」
10人ほどの男達が息を切らせて駆けてくる!
粋な水夫服の船乗りの若者もいれば、いい歳をした貿易商らしい好色そうなオヤジもいる、地元のホテルの支配人らしいダンディな紳士までもが興奮しながら駆け寄ってくる!
その姿をキョトンとした顔で眺めるカミーロとロザリーナ・・・・。
「ハアッ、ハアッ・・・ロザリーナ嬢っ、探したよっ!きっと今夜もこの繁華街でショーをすると思っていたが・・・・やっと見つけた!」
先頭を切って走ってきた若い水夫が、息を切らせて叫ぶ。
「・・・・ロザリーナ嬢!俺達、アンタの大ファンになっちまってさ!この界隈は昨日のショーの話で持ちきりだぜっ!」
「・・・このマルトーの町、始まって以来の「伝説の痴女」って二つ名も付いてるぜ!ああっ、またロザリーナ嬢の淫乱オマ〇コショーが見られるっ!頼むよっ!今夜もチップも弾むからよぉ!」
「俺なんて、有り金全部持ってきたぜっ!また昨日みたいな強烈なファ○クを見せてくれるんだろっ?ロザリーナ様ぁ♥」
ダンディな紳士までもが、ロザリーナの美貌を眩しそうに眺めながら話す。
「これはこれは・・・聞きしに勝る美貌!・・私は昨日のショーは見られなかったんだが、ホテルの客が貴女の話で盛り上がっているのを聞いて、是非観てみたいと思ってやって来たんだ!妻には内緒でね・・・」
口々に、ロザリーナに賛美の言葉を投げかける男達!・・・まるで女神を崇拝する信者のようだ
・・・昨日の破格の破廉恥極まりない路上性交ショーで、彼女はすっかり「時の人」になってしまったようだ。
しかし、当のロザリーナ嬢・・・女王アレクシアはちょっとムッとした顔で、不機嫌そうにプイと横を向いてしまう。
しかし、そのふくれっ面、気の強さも彼女のファン達には「アバタもえくぼ」・・・「気高い美しさ」に見えてしまうのだ。
・・・・まあ、それは当然であろう、彼女はロシュニア王国の正真正銘の「女王様」なのだから。
・・・・はぁ?・・・伝説の・・・「痴女」おおおっ?・・・私っ、「痴女」ってことにされているのっ?せっかくボロを着て変装までして、物乞いのモノマネまでしてるって言うのにっ!
アレクシアは、王宮を立つ時に打ち合わせたヴァネッサとの会話を思い出していた・・・あの時ヴァネッサはこう言ったのだ。
・・・はい、ただ路上で性行為をするというのは、単なる痴女か露出狂と思われて、かえって騒動になるかと・・・ここは、一応よくある境遇をこしらえて、自然に行うのです・・・・
・・・・うう~っ、ヴァネッサっ!・・・貴女が自信満々に作った筋書きの割には、私「痴女」ってコトになっちゃったんだけどっ・・・王宮に帰ったら断固文句を言ってやるわっ!
彼女の「ファンクラブ」も押しかけ、狭い路地裏の広場には、物好きな男達が喧騒に誘われて次々と集まってくる・・・・。
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