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第八十ニ幕「昼は女王、夜は淫乱娼婦」~2人のアレクシア~

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 「・・・凄いですよっ、アレクシア様っ!620ギュネールもありますっ!大儲けですよっ!」

 ・・・・やや興奮気味にアラミスが叫ぶ。

 遅い朝食を食べ終わったアラミスが、昨夜のショーで小便と男達の精液にまみれた敷物、自分とアレクシアの服や下着までを洗濯し終わって、昨日の「売上」を数えていたのだ。

 場末の繁華街の路上での出し物としては超破格の猥褻ショー!・・・それも絶世の美女が男達の精液で汚され、小便まで垂らして、若い情夫に「膣内射精」までキメられたオスとメスの愛欲絵巻。

 金持ちや貴族だけが入れる「秘密倶楽部」でしか見られないような、神々しいほどの美女の淫猥な公開セッ〇ス・・・それが、こんな場末の路上で行われたのだ。

 その超過激なショーに、アラミスのカウントで60人以上はいたという見物客のチップも相当に弾んだようだ。
 一夜の快楽を求めて娼婦を物色するため、あの繁華街をウロついている時に2人のショーに出くわし、あまりの過激さの為につい自慰をしてしまい、すっかり満足してしまった男達も少なくないだろう・・・。

 「・・・・・620ギュネール・・・また随分多いわねぇ・・・まあ、私には必要ないものだけど・・・まあ、300ギュネールは貴方のお小遣いよ、残りは何かあった時の為に取っておきなさい」

 ロシュニア王国の女王陛下・アレクシアにとって、620ギュネールなどゴミのような金額である・・・興味のない表情で一瞥したあと、安宿の小さな窓から通りを眺めているアレクシア。

 ・・・・彼女にとって、興味は金ではない・・・自分の痴態・・・性行為を目にする人数なのだ。

 アンニュイな表情でボーッと窓の外を眺めているアレクシア。
 アラミスが、少し心配になり、その美しい横顔をのぞかせている女王陛下に声をかける。

 「・・・・アレクシア様っ・・・お体の調子はいかがですか?もしお疲れのようでしたら、今夜は「ショー」は止めにして・・・・」

 「いえ、今夜も行くわ・・・アラミスっ・・・貴方の方が良ければ・・・私は早くこの忌まわしい「呪い」から開放されたいの・・・私のことより、貴方は大丈夫なの?」

 ・・・・それはアレクシアの切なる願いである。

 ましてや、自分の「影武者」をヴァカンスに出かけさせ、その間にこの辺鄙な港町マルトーくんだりまでやって来ているのだ。
 彼女達にとって、時間は貴重なのである・・・。

 「・・・はいっ、僕の方はダイジョウブです!」

 元気な声で言い切るアラミス!彼もまた、今回の旅では時間は貴重であることをよく理解している。
 いつまでも「影武者」をヴァカンスに行かせているワケには行かない・・・予定では2週間の予定での避暑地へのヴァカンス旅行なのだ。

 それまで憂いを含んだ様子を浮かべていたアレクシアが、クスッ・・・と笑う。

 「・・・貴方、本当に絶倫なのねぇ・・・昨晩あれだけシタのにっ・・・食べたものが全部精液になっているんじゃないのっ?ウフフフッ・・・」

 呆れたような、可笑しいような・・・微妙な表情。
 しかし、アラミスは、昨日の激しいショーで心身ともに疲れ切っているはずの女王アレクシアに笑顔が戻ったことが何より嬉しかった。

 「・・・えっ?・・・そ、そうですかねっ?・・・お相手がアレクシア様だから・・・なのかなぁ・・・アハッ、アハハハハッ!」

 アラミスは照れ隠しに大げさに笑ってみせる。

 「・・・・もうっ・・・バカねっ♥・・・さあっ、お昼ごはんでも食べに行きましょう?市場の方も散歩してみたいわっ!案内しなさいっ!」

 「はいっ!よろこんでっ!・・・ここの屋台の食べ物は美味しいですよっ!」

 いつもの調子に戻るアレクシア・・・アラミスもつい笑顔になる。


 ・・・・夜の帳が下りる、今夜も月が明るい晩た。

 ロシュニア王国の女王アレクシアが、「娼婦」に堕ちる時間である。
 いや、娼婦以下・・・路上で衆人環視の中、性行為を見せる「メス犬女王様」となるのだ。

 今夜も、カミーロと名を変えたアラミスが、「もらい」を受ける為のボウルと、路上に敷く敷物を抱えて、あちこち歩き回り、良いロケーションを物色する。

 昨日ショーを開催した、ショーをするには絶好の広場は、先に手品マジックを見せる大道芸人によって陣取られていた。

 ・・・この多くの人が集まる港町マルトーの繁華街は、こうした大道芸人や吟遊詩人トルバドゥール、一夜の刹那的な享楽を売る娼婦、路上でストリップを披露して生計を立てているような女達も多い・・・。

 アラミスは、その4ブロック先の、これも表通りから少し奥まった場所を探し当てる。

 ・・・・ここなら、表通りから直接見えないし、庶民向けの安酒場が多いから、そこそこ人通りも多いな・・・今夜はここにしようかな・・・・。

 そこはやはり表通りから少し奥に入った、一杯飲み屋や、酌婦が相手をするような少々いかがしい店が立ち並ぶ通りの狭い空き地だった。
 昨日の絶好のポジションよりは、やや場所が狭いのをきずとして、まずはショーをするにはおあつらえ向きの場所である。

 アラミスは、敷物を地べたに敷いて、例のごとく「もらい」を乞うためのボウルを置いて、「ロザリーナ」となったアレクシアに声をかける。

 「アレ・・・い、いやロザリーナさんっ、今夜はこの場所で・・・よろしいですか?」

 「・・・・ええっ、「よろしい」ですわっ!」

 アレクシアは、ショーの直前はいつも不機嫌になる・・・アラミスもそれはよく知っているので、さほど気にも止めずに、例のヴァネッサに仕込まれた口上を大声で叫ぶ。

  「・・・皆様、これから素晴らしいショーをご覧にいれます!ちょっと他では観られないスゴいものですよっ!お代は気持ちで!さあ、まずはご覧あれ!」

 ・・・この辺鄙な港町に来る前に、ヴァネッサに散々ダメ出しをされ、特訓させられた口上・・・ニ度目ともなると、意外と板についてきたようである。


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