第二の人生は王子様の花嫁でした。

あいえだ

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本編

B国へ

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ダリウスと俺は金のドラゴンに2人乗りをして屋敷を離れた。

何時間飛んでいただろうか。森を抜け、山脈、果ては砂漠まで…。ベンの国は広かった。ずっと下に町が見える。きっとこれは俺の故郷の首都より大きいのだろうけれど、この国の地方都市だ。

ここは俺が思っているよりずっと大国なんだな…。ど田舎の小国によくもまあ、俺を迎えにこんな大国の王子が来てくれたもんだと思った。

運命ってわからないな、と俺は下に見える町の人々の暮らしに想いを馳せた。

「B国というのはな、この国とライバル国の間に位置していて、両国の間を小賢しく立ち回るイメージがある。特産品はないし、山と大きな河川と湖は美しいんだが」
『そうだな、自然は気に入っていたんだが…』

ダリウスの説明にドラゴンが苦笑いをした。

「そういう事情もあってか、王族や貴族の中には卑屈な奴も少なくないんだ。調べたところ、国王は宰相に監禁されてるらしいぞ。体の弱い第一王子のうしろだてがその宰相なんだそうだ」

あぁ、元婚約者のウッド王子と一緒に俺を拉致したのはその宰相だっけな…。くそオッサンだ。

「復讐…したくないか?レイ」
「…したい。当たり前じゃん、めちゃくちゃ怖かったんだよ」

俺がそう言って後ろにいるダリウスに振り帰り、唇を尖らせるとダリウスとドラゴンがくすくす笑った。

「もうすぐB国との国境だ…その前に会う約束をしている奴らがいる」
「え?」

俺は目を瞬かせた。

「うちのコレクションからレイに武器を調達したんだ。丸腰じゃ戦えないだろう?」
「へ?コレクション?」
「そ。先祖代々トレジャーハンターを稼業とする俺ん家の秘蔵コレクションから選んだんだぜ。で、レイに貸す武器を、俺の一族のやつにもってきてもらった…」

ダリウスが愉快そうに笑って俺の頭をポンポンと撫でる。
なにそれすごい…。一流トレジャーハンターの一族の家に生まれたダリウスならものすごいお宝を持ってそうだ。

「ほら見えた。あそこが待ち合わせ場所だ」

ドラゴンが高度を下げると、険しい山々が連なる山脈が近くなる。あるひとつの山を目指すと岩がごつごつとした草木の生えていない山頂が見えてきた。
そこに一匹の黒くて大きな生き物がいるのが見える。

もっと近づくと、その生き物の隣に黒い服を着た金髪のものすごいイケメンさんが立っている。
その大きな生き物はなんと、黒いドラゴン。

「…弟のエリアスだ」

ダリウスがクッと口角を上げて金髪の彼に手を振った。







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