第二の人生は王子様の花嫁でした。

あいえだ

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本編

迷子の俺

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黙ってやりとりを見ていたヴォルフがやっと口を開いた。

「まあ…家族が増えたことは喜ばしいことだよ、ベン、レイを守ってやれよな」

彼は爽やかに笑って俺を見る。優しい笑顔。俺は安心して笑い返した。いつの間にかエルンストもいなかった。ここには居づらいのかな?

俺はみんなに歓迎してもらって、気分よくベンの部屋に戻った。ベンは帰るなり公務が詰まっており、俺はずっと一緒にはいられない。まあ、3年くらいは俺の国と行ったり来たりをしてたんだろうな、公務がたまってる分、王子としての責務を果たさなければならないんだろう。

とりあえず、ベンが帰ってきてから迷惑をかけないようにしなければ。この王宮のことをもっと知って、些細なことで煩わせてはいけない。

俺はまずは王宮の地図を頭に描くことにした。いつなんどき、どこに何があるのかを知っておく必要がある。俺の性分として、マニアックなリサーチは必須だ。

とりあえず行くのみ、と俺は王宮を散策することにした。

「…ひっろ!」

俺のいた王宮とは比べ物にならないほど広いし立派すぎる!超大国の凄さを知る。それと同時に、自分が田舎者であることも。

いくつもの宮殿を抜け、うろうろしているうちに、ガチで迷ってしまったらしい。まさかこんなに広いと思わなかったし、もうこの王宮だけで1個の街なのだ。人も多いしやたらと広い。俺のいた国の王宮が何十も入るだろう。遠くには森が見える。あれもきっとここの敷地なんだろうな。

やばい、帰れない…。好奇心と浅はかだった自分を呪って後悔する。

俺が歩く所々で兵や騎士たちに口笛を吹かれたような気がする。
何人かに案内を勧められたが断った。ナンパもされた。

さすがに中身がおじさんの俺も心細くなってくる。たいしたことでは驚かないし、取り乱さないつもりなのだけれども、外見は若いこんなナリだから外野は中身の通りには見てくれないのだ。

「さっきもいたよね君…もしかして迷ってるのか?」

数人の兵とおぼしき男たちが俺の行く手を遮った。

「案内してやろうか?」
「とりあえず疲れてない?俺たちの部屋に来ない?」

いくかヴォケ!俺は軽く会釈して通りすぎようとすると腕を掴まれた。

「なあ、こんな綺麗なのがなんでこんな王宮の兵舎らへんをうろうろしてんだって話だ、男、物色してんだろ?」

ギラギラした目で俺を見る男たち。俺は背筋に悪寒が走った。ここは兵舎の近くだったのか。どうりで男しかいないはずだ。

「離してください」
「離すわけないだろ?」

俺の腕を掴んだ男がキス寸前にまで近づき、それを見てニヤニヤ笑う男たち。息がかかってめっちゃ嫌だ。
さすがにヤバいな、これは。俺は相当のピンチかもしれない。

その時、兵の一人が悲鳴をあげた。

「うわぁ!」

1頭の大きな豹が兵たちに躍りかかったのだ。

「げっ!ゲット!やべ、王子の豹だ!!!逃げろっ!」

兵に襲いかかったのはなんと、ベンの豹、ゲットだった。恐れをなして逃げ出す兵たち。だけど、その足がピタリと止まる。

「ひっ…!」

真っ青になり、硬直する兵たち。

そこにいたのは。

「ベン王子…」
「…なかなか積極的なご挨拶だったな」
「べ、ベン様…いやこれは…て、まさか…白い…!?」

ギクリとしたような目で兵が俺を見る。
いや、その呼び名やめて…彼らにまで名前だけは浸透してんのか。

さっき俺にされたみたいに、今度は兵の顔にキス寸前にまで近づいたベンが凄んだ。

「ゆ、許してください…」

鼻と鼻がくっつきそうな状態で、泣きそうな兵がもっと悲劇的な顔になるのをベンはにっこり笑った。

「私の恋人と仲良くなりたかったみたいだが、それは困るな」

そう言ってベンが顔を離すと、腰が抜けた兵がへなへなと尻餅をついて座り込んだ。











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