【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

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39 護衛依頼 脅迫

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『ターポート共和国。依頼内容は王子の護衛』

 そんな話が舞い込んできましたが、ターポート共和国の事は良く知りません。
 レッドの話によると、ターポート共和国は名目上は王族が存在しませんが、国の代表という意味で国王と呼ばれる人が存在するとか。
 今回はその息子である王子を護衛するのですが、護衛の内容が少々曖昧なのです。
 治安が悪い国では無い様なのですが、なぜ護衛が必要なのでしょう。

「王子の命が狙われているのでしょうか」

「すみません、詳しい話は現地でするからと……」

 受付嬢も困り顔です。
 本来ならばこの手の依頼は、詳しい話が分からない場合はギルドで断っています。
 しかし国の代表からの依頼なので、簡単には断れなかったのでしょう。
 国からの依頼です、わたくし達も無下には断る事は出来ません。

「俺は構わないと思う。あの国で嫌な思いをした記憶が無いからな」

「俺もさんせー」

「良いと思うよ」

「行った事無いから行ってみたいな~」

 皆は賛成のようですね。
 ならわたくしが断る理由もありません。

「それではその依頼、お受けいたします」




「護衛か、久しぶりの内容だな」

「だよな~、最近は討伐とか採取ばっかだったしな」

 レッドとマットは久しぶりの依頼内容で楽しそうです。
 護衛は失敗したら依頼人も受けた人も大損失ですが、成功したら双方に大きな利があります。
 なのでわかり易い仕事ともいえます。
 もちろん成功させるだけの実力は必要ですが、国から直接話が来たという事は、わたくし達の何らかの能力が必要なのでしょう。

 サザンクロス聖国の自宅で装備を整え、旅の準備をしています。
 ターポート共和国は少し遠いので、馬車で10日以上は掛かるでしょう。
 必要な物は一通り馬車に積み込み、後は途中の街で補給しながら向かいます。



 ターポート共和国に到着しました。
 この国は防壁があまり高くありませんね。精々2階建て位の高さしかありません。
 こんな低い壁で外敵から守り切れるのでしょうか。

 この街は建物が高いですね。他の街では大体の建物は2階建てでしたが、ここは3階建て以上が多いです。
 石の建築技術が優れているのでしょうか。

 途中で数個の街を通りましたが、どこも同じようなつくりをしていました。
 外を見るのが好きな国民性なのでしょうか。

 首都に到着しました。
 ええ、ここも城壁が高くありません。
 
 入国手続きをして冒険者ギルドへ向かいます。
 ギルドから国へ連絡が行き、迎えが来る手はずになっています。
 暫く待っていると、ギルドに制服を着た3人組が入ってきました。
 あの3人でしょうか。3人は受付にいくと、受付嬢はわたくし達を指差しました。
 間違いないようですね。

「失礼、フランチェスカ聖女様とそのパーティーでよろしいですか?」

 3人が敬礼をしてわたくし達の前に立ちました。

「はい、わたくしがフランチェスカです」

「本日は我がターポート共和国へおいでいただき、誠にありがとうございます。それでは城へご案内いたします」

 お城に案内されると、ああ、お城も大きいです、他の国1.5倍はあるでしょうか。
 どうやらこの国は建築技術が優れているようですね。

 沢山の兵士たちが立ち並び、敬礼する中を通って城内に入りました。
 随分と大げさに感じますが、この国ではこれが普通なのでしょうか?

 城の中に入りましたが、どうやら謁見の間という物はない様で、豪華な造りの広い部屋へと案内されました。
 この国の国王はあくまでも国の代表であり、王族とは違うという事なのでしょうか。

 中には既に国王らしき人物が待っていました。
 やはりよく見る国王とは違い王冠や杖は持たず、装飾品の多いスーツといった感じです。

「聖女様、本日はようこそおいで下さいました」

 席から立ち上がり挨拶をされました。
 なるほど、向こうから挨拶をして来るのですね。
 こちらも挨拶を返すと席に座るように促されました。

「早速ですが、依頼内容の確認をさせて頂いてよろしいですかな?」

「はい、お願いいたします」

「依頼内容は我が息子の護衛。期間は20日後に行われる、新美術館の開館祝典が終わるまでです」

 美術館の祝典ですか。はて、なぜ美術館の開館と護衛が関係あるのでしょうか。

「美術館の祝典と王子の護衛に、どういった関連性が?」

「この美術館は国の歴史を紹介する美術館なのですが、今の王族は居ないという制度の前、王族が支配していた時期の紹介もしているのです。それを『過去の汚点である』として反対する勢力が居るのです。何としても開館を中止させたいらしく、中止しない場合は王子を殺す、と脅迫文を送ってきました」

 なんと横暴な連中でしょうか。
 国の歴史をしっかりと見つめる事をせず、ただの感情で動いているだけではありませんか。
 そんな連中に負けるわけにはいきませんね!
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