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 私は、その場に倒れこんでしまった。

 ダメだ。とうとう死ぬんだ。

 変な死に方……。夫が妹と不倫をして、そして、私は訳も分からずお屋敷を抜け出して、そして、宛もなく、倒れるまで走りまくって、そして、疲労で死ぬ。

 「変な人生だなぁ…………」

 私は、まぶたを閉じた。

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 あれ?誰?

 白馬に乗った、王子様のような格好の人。純白で真珠のような髪の毛、青いラピスラズリみたいな目。

 カッコいい。息を飲み込むほど、ダイアモンドのような人間だ。

 そして、彼は白馬から降りると、私の頬に手を触れた。

 何か話している。だけど、私は意識がモーローとしていて、何も聞こえない。何も反応することができない。

 ずっと、彼を見ていたい。


 すると、彼は微笑んだ。

 なんという、美しい顔であろう。何も汚れのない、純白な顔なんだろう。

 これは夢なのか?あまりにも神秘的な……………………

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 目が覚めると、そこは、いつものベッド、ではなく、全く知らないベッドであった。

 だが、とても豪華で綺麗なベッドである。私は一応侯爵夫人だから、豪華な生活を送れているが、もしかすると、私のよりも豪華なベッドかもしれない。
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