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しおりを挟む私は、いてもたってもいられなくなった。
布団を放り投げて、窓を開けた。
ここは2階である。だから、飛び降りれば死んでしまう。
違う、自殺をしようとしたのではない。
とにかく、外に出たかった。
私は、窓から身を出して、わずかな壁の突起を手で掴んで、下まで降りて外へ出た。
こんなことがバレたら、私は周りの人間から叱責をくらうだろう。だけど、ごめんなさい。
私は、あの部屋にいられなくなりました。
あの人と同じ屋根の下で眠りたくなくなりました。
とにかく、何処かへ行きたいのです。
行く宛はありません。
だけど……
私は、寝巻きにスリッパで、とにかく走った。息がきれるほどに、とにかく、何処かへ行くために。
もう、後戻りできない。
どうせ怒られるんだったら!
私は、とにかく、とにかく走った。
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もう、だいぶ走った。
今ごろ、私は屋敷で大捜索されているのだろう。
皆、皆私のことを心配しているのだろう。
私も、すっかりここが何処だか分からず、もう、走りに走ってヘトヘトであった。
月の光も木々の葉で遮られ、何も見えなくなった。
あぁ、どうやら、私はここで死んでしまうのですね。
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