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第2話 邂逅(3)
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「苦しい時間は、あと少し。すぐ、楽にしてあげるわね」
いとも簡単に恐ろしい攻撃を防いだ、エリス。そう告げた彼女は杖を下方向へと動かし、鍵状になっている先端で地面を1度だけ突っつきます。
そうすると、今度は負霊の周囲で魔法陣が発生。異形の左上、右上、左下、左下。負霊を取り囲むような形となりました。
「!? ジャマ、サレル……!! ジャマ、サレナイ、タメニ……! カイヒ……ッ。ヨケル……!」
「ことは、出来ないわよ。貴女が動き出す前に、『始まる』のだからね」
身の危険を感じ、化け物が飛び退ろうとした直後でした。4つの魔法陣から全長3メートルもある細長い鍵が高速で飛び出し、漆黒の手足を貫通。一斉に貫いた鍵達はそのまま地面に突き刺さり、負霊は大地に固定されてしまったのでした。
「ギイ……! コンナ、モノ……! コンナモノ……ッ! コンナモノォォォォ……!!」
「抜け出そうとしても、無駄よ。その拘束具は痛みは伴わないけれど、効果はちゃんとある。貴女が霊体である限り、何をやっても外れはしないわ」
化け物は必死に暴れますが、言葉通り成果はなし。負霊が四苦八苦している間に2人の距離は詰まり、エリスはやがて眼前で立ち止まりました。
「ジャマ、モノ……! ナニ、スル、キ……!!」
「さっきから、何度も言っているでしょう? 貴女を救済するのよ」
それはまるで、泣きじゃくる子をあやすお母さんのよう。エリスは優しさに満ちた微笑みを浮かべ、杖を両手で握り締めます。そしてそのまま両腕を、前方へと一思いに突き出し――鍵状の先端が、化け物の中心こと胸部へと差し込まれました。
「ギィィ!? ギィィィィィィィィィィィィ!?」
「今の姿のままでは、正しく本体を救えないの。だからまずは、貴女を元に戻させるわね。……ノワール。『記憶解析(スキャン)』、『逆行回路(リターン)』」
杖を右に90度回し、続いて左に180度回転。そうしてゆっくりと杖が引き抜かれると、
「ィィィィィィィィィィィィギ!? ィィギ!?」
化け物のみ逆再生が始まり、発した言葉も含めて全てが逆回しに。負霊はサーブの体勢になったり足を止めたりしたあと、真後ろに後退。今来た道を引き続き逆再生で進み、やがては黒煙となって――再び意思を持たない存在となって、橋本涼子の肉体へと戻っていったのでした。
いとも簡単に恐ろしい攻撃を防いだ、エリス。そう告げた彼女は杖を下方向へと動かし、鍵状になっている先端で地面を1度だけ突っつきます。
そうすると、今度は負霊の周囲で魔法陣が発生。異形の左上、右上、左下、左下。負霊を取り囲むような形となりました。
「!? ジャマ、サレル……!! ジャマ、サレナイ、タメニ……! カイヒ……ッ。ヨケル……!」
「ことは、出来ないわよ。貴女が動き出す前に、『始まる』のだからね」
身の危険を感じ、化け物が飛び退ろうとした直後でした。4つの魔法陣から全長3メートルもある細長い鍵が高速で飛び出し、漆黒の手足を貫通。一斉に貫いた鍵達はそのまま地面に突き刺さり、負霊は大地に固定されてしまったのでした。
「ギイ……! コンナ、モノ……! コンナモノ……ッ! コンナモノォォォォ……!!」
「抜け出そうとしても、無駄よ。その拘束具は痛みは伴わないけれど、効果はちゃんとある。貴女が霊体である限り、何をやっても外れはしないわ」
化け物は必死に暴れますが、言葉通り成果はなし。負霊が四苦八苦している間に2人の距離は詰まり、エリスはやがて眼前で立ち止まりました。
「ジャマ、モノ……! ナニ、スル、キ……!!」
「さっきから、何度も言っているでしょう? 貴女を救済するのよ」
それはまるで、泣きじゃくる子をあやすお母さんのよう。エリスは優しさに満ちた微笑みを浮かべ、杖を両手で握り締めます。そしてそのまま両腕を、前方へと一思いに突き出し――鍵状の先端が、化け物の中心こと胸部へと差し込まれました。
「ギィィ!? ギィィィィィィィィィィィィ!?」
「今の姿のままでは、正しく本体を救えないの。だからまずは、貴女を元に戻させるわね。……ノワール。『記憶解析(スキャン)』、『逆行回路(リターン)』」
杖を右に90度回し、続いて左に180度回転。そうしてゆっくりと杖が引き抜かれると、
「ィィィィィィィィィィィィギ!? ィィギ!?」
化け物のみ逆再生が始まり、発した言葉も含めて全てが逆回しに。負霊はサーブの体勢になったり足を止めたりしたあと、真後ろに後退。今来た道を引き続き逆再生で進み、やがては黒煙となって――再び意思を持たない存在となって、橋本涼子の肉体へと戻っていったのでした。
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