4 / 50
第1話 監視者の来訪と、変化のはじまり (2)
しおりを挟む
「これは『映鏡(えいきょう)』と呼ばれるもので、こんな風に――。受信用の映鏡を創れば、送信用の映鏡が捉えた映像と声を見て聞けるんスよ」
もう一度指を鳴らすと新たな鏡が私の頭上に現れ、その鏡には鏡を見上げる私が映っていました。
これは、驚きです。このようなことをできる人が、いたのですね。
「映鏡は使用者が送受信用どちらかの近くにいれば永久的に使えるし、その気になれば透明にできるっス。なので実は、治安の維持や他国の様子見なんかに活躍してますっスよ。ちなみにこういう力を持つ者は、『鏡映師(きょうえいし)』と呼ばれていますっスね」
「鏡映師……。初めて耳にしました」
「ウチの一族にのみ宿る力なんで数が少ないですし、性質上秘匿されてるんスよ。知ってるのは王族と、王宮関係者だけっスね」
情報は、想像以上に洩れやすいものです。他国用にも使われているのなら、それは至当ですね。
「こいつを使って祈る姿を王宮に届けるんで、ここにいるのは俺だけなんスよ。ってついでに監視の補足もしておいて、話を戻すっス」
「はい。よろしくお願いします」
「鏡映師は聖女の次に希少な存在で、その力を上手く使えば色々なことができるっス。だから昔から王族は、あれこれ理由付けをして鏡映師を私的に利用しようとしてたんスよ」
自分達に敵意を持つ者の監視等々、便利な使い方は沢山あります。ああいう人達なら、正しくない使い方をしたがりますね。
「なので代々ウチは『人を見る目』を鍛えていて、瞳を見れば大抵は分かるんスよ。殿下達は元々濁っていたし、ミウヴァ様は強い強い責任感のある目をしていた。無茶苦茶を言う人から日々真剣に頑張ってくれてる人の監視を頼まれたんで、俺は端から疑ってないんスよ」
「……そう、だったのですね。とても失礼なのですが、見掛けのみで判断していました」
「能ある鷹は爪を隠す、だな。あれは全てを演じている俺で、こっちが本物の俺なんだよ」
ラズフ様はクールに口を緩め、全身からは『どうどうっ? こういうキャラ、カッコイイっスよねっ?』と言いたげなオーラが大量に放出されています。
なので、嘘ですね。観察眼がとても鋭い点は事実なのですが、この人はこんな性格に憧れているイメージ通りの方です。
「くくく、驚いただろ? いい勉強になったな、聖女様」
「そうですね。ですのでそのお礼も兼ねまして、私も一つ貴方にお明かししましょう」
こちらだけ教わるのは、不公平です。この人なら問題なさそうですし、アレをお伝えしましょう。
もう一度指を鳴らすと新たな鏡が私の頭上に現れ、その鏡には鏡を見上げる私が映っていました。
これは、驚きです。このようなことをできる人が、いたのですね。
「映鏡は使用者が送受信用どちらかの近くにいれば永久的に使えるし、その気になれば透明にできるっス。なので実は、治安の維持や他国の様子見なんかに活躍してますっスよ。ちなみにこういう力を持つ者は、『鏡映師(きょうえいし)』と呼ばれていますっスね」
「鏡映師……。初めて耳にしました」
「ウチの一族にのみ宿る力なんで数が少ないですし、性質上秘匿されてるんスよ。知ってるのは王族と、王宮関係者だけっスね」
情報は、想像以上に洩れやすいものです。他国用にも使われているのなら、それは至当ですね。
「こいつを使って祈る姿を王宮に届けるんで、ここにいるのは俺だけなんスよ。ってついでに監視の補足もしておいて、話を戻すっス」
「はい。よろしくお願いします」
「鏡映師は聖女の次に希少な存在で、その力を上手く使えば色々なことができるっス。だから昔から王族は、あれこれ理由付けをして鏡映師を私的に利用しようとしてたんスよ」
自分達に敵意を持つ者の監視等々、便利な使い方は沢山あります。ああいう人達なら、正しくない使い方をしたがりますね。
「なので代々ウチは『人を見る目』を鍛えていて、瞳を見れば大抵は分かるんスよ。殿下達は元々濁っていたし、ミウヴァ様は強い強い責任感のある目をしていた。無茶苦茶を言う人から日々真剣に頑張ってくれてる人の監視を頼まれたんで、俺は端から疑ってないんスよ」
「……そう、だったのですね。とても失礼なのですが、見掛けのみで判断していました」
「能ある鷹は爪を隠す、だな。あれは全てを演じている俺で、こっちが本物の俺なんだよ」
ラズフ様はクールに口を緩め、全身からは『どうどうっ? こういうキャラ、カッコイイっスよねっ?』と言いたげなオーラが大量に放出されています。
なので、嘘ですね。観察眼がとても鋭い点は事実なのですが、この人はこんな性格に憧れているイメージ通りの方です。
「くくく、驚いただろ? いい勉強になったな、聖女様」
「そうですね。ですのでそのお礼も兼ねまして、私も一つ貴方にお明かししましょう」
こちらだけ教わるのは、不公平です。この人なら問題なさそうですし、アレをお伝えしましょう。
24
あなたにおすすめの小説
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
神託を聞けた姉が聖女に選ばれました。私、女神様自体を見ることが出来るんですけど… (21話完結 作成済み)
京月
恋愛
両親がいない私達姉妹。
生きていくために身を粉にして働く妹マリン。
家事を全て妹の私に押し付けて、村の男の子たちと遊ぶ姉シーナ。
ある日、ゼラス教の大司祭様が我が家を訪ねてきて神託が聞けるかと質問してきた。
姉「あ、私聞けた!これから雨が降るって!!」
司祭「雨が降ってきた……!間違いない!彼女こそが聖女だ!!」
妹「…(このふわふわ浮いている女性誰だろう?)」
※本日を持ちまして完結とさせていただきます。
更新が出来ない日があったり、時間が不定期など様々なご迷惑をおかけいたしましたが、この作品を読んでくださった皆様には感謝しかございません。
ありがとうございました。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
異世界から本物の聖女が来たからと、追い出された聖女は自由に生きたい! (完結)
深月カナメ
恋愛
十歳から十八歳まで聖女として、国の為に祈り続けた、白銀の髪、グリーンの瞳、伯爵令嬢ヒーラギだった。
そんなある日、異世界から聖女ーーアリカが降臨した。一応アリカも聖女だってらしく傷を治す力を持っていた。
この世界には珍しい黒髪、黒い瞳の彼女をみて、自分を嫌っていた王子、国王陛下、王妃、騎士など周りは本物の聖女が来たと喜ぶ。
聖女で、王子の婚約者だったヒーラギは婚約破棄されてしまう。
ヒーラギは新しい聖女が現れたのなら、自分の役目は終わった、これからは美味しいものをたくさん食べて、自由に生きると決めた。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる