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第9話 その後 俯瞰視点(4)

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「ああそうそう、これもお伝えしていませんでしたね。なぜチュワヴァス家がエミリーさんを保護していたのか。それは僕が、ずっと彼女を救いたかったからなんですよ」

 4年前偶然ランファーズ家の内情を知り、そこから始まったリシャールの物語。どのような思いを抱き、どのような行動をしてきたのかを、3人に向けて事細かに説明しました。

「ずっと、エミリーを、だと……? 気付、かなかった……」
「それはそうですよ。あなた達に気付かれないように、単なる絵の会のメンバーのひとりを装っていたのですから」

 仲が良い人が出来る=会わせるとエミリーが楽しい思いをしてしまう。などなど。普段はもちろんのこと、計画にも悪影響が出かねません。
 それらを回避するべく、リシャールとエミリーは本来の関係を隠していたのです。

「ですからずっと、貴方達に強い怒りを覚えていました。……拡散の目的は、それをぶつけるため。愚か者達に罰を下すために、広めていただいているんですよ」

 この国でも、貴族には平民と同じ法が適用されない――片方だけを贔屓して事あるごとに子どもを虐げていても、子どもを理不尽にお屋敷から追い出したとしても、罪として裁かれはしません。
 でも、与えたい。
 そこでリシャールは、形を変えて・・・・・・3人に罰を与えようとしているのです。

「まったく非がない長女をいつも傷つけ、あまりにも身勝手な理由で追い出した。にもかかわらず長女が必要となると、必死になって探しだして連れ戻そうとする。現在お屋敷に住んでいる3人は――現当主と当主夫人と娘がそんなどうしようもない人間だと世間に認識されてしまったら、どうなると思いますか?」
「「「……………………」」」
「お家、ランファーズ子爵家への印象が著しく悪くなり、そのまま放置していると『家』が崩壊しかねませんよね。となると――これ以上言うのは止めておきましょうか。ローク、リリアン、マリオン。何が起きるのか、楽しみだね」

 これまで品のあった微笑みが、慇懃無礼なものに変化。言葉を失う3人を嗤ったリシャールはいやに丁寧な一礼を行い、


「ああそれともう一つ、『お楽しみ』があるはずだ。そちらもお楽しみに」


 2本指を立て、去っていったのでした。


 そして、その翌日のことです。
 たださえ大ダメージを受けている3人のもとに――







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