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第9話 その後 俯瞰視点(2)
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「がぁあああああああああああああああああああ!! いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
まるで獣のような声を上げたマリオンは、充血させた目をギョロっと動かし辺りを見回します。そうして何かを鬼の形相で探し、しばらくすると地面を思い切り踏みつけ始めました。
「なああああああああああああああい!! なああああああああああああああああああいい!! 使えないぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「ま、マリオン……?」
「な、なんなの……? なにをしようとしているの……?
その答えは、ロークとリリアンを殴るものを探している。
――手で叩(はた)くだけでは大したダメージを与えられない――。
先ほどのビンタでそう気づいたマリオンは、必死になって威力を増やせるものを探します。ですが適当なものが見つからず、更にイライラは溜まっていきます。
「あのくらいじゃだめぇええええええええ!! もっともっとぉおおおおおおおおお!! もっとなのぉおおおおおおおおおおおおおおお!! なにかないのぉぉぉぉ!? なにかあるでしょ!? 出てきなさいよ!! そっちからこっちに来なさいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――っ!!」
膨大なストレスにより身体全体で回転しながら『武器」を探していたマリオンは、不意に息をのみました。
目玉が飛び出してしまいそうなほどに見開かれた両目は、しきりに地面を踏みつけていた自分の足を凝視していて――
「? ま、まり、おん……?」
「あし……? あしが、どうかしたの――」
「み、みつけたぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
今度は口が裂けそうになるくらいに口角を吊り上げ、尋常でない速度で乱暴に靴を脱ぎます。そうして左右の手に履物を握りしめたマリオンは――
「罰を受けろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
――さらなる大絶叫を起爆剤にして、左右の腕を力任せに振ります。
そうすれば左右の手は、とてつもない速さでロークとリリアンへと向かっていき――
「ごぶべぇ!?」
「ごべぇ!?」
――2人の頬を直撃。右頬を打ち抜かれたロークは左に吹っ飛び、左頬を打ち抜かれたリリアンは右に吹っ飛んでしまいました。
「がぁ!? ぁああああああああああああああああああああ!!」
「顔がぁぁ!? 顔がぁああああああああああああああああ!!」
「痛い!? 痛いでしょ!? これがわたくしが受けたショックの大きさよ!! 自分たちがどれだけのことをしたかっ、よ~く分かったでしょおおおおおおおおおおおおおお!?」
靴で殴られ地面で蹲っている2人に靴を投げつけ、目を見開きながらロークとリリアンを見下ろします。
憤怒のオーラを纏わせた仁王立ち。マリオンがそんな姿のまま、2人の反応を待っていると――
「調子に乗るなぁああああああああああああああああああああああああ!!」
「いい加減にしなさいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
――ロークとリリアンは顔を真っ赤にして立ち上がり、拾っていた靴でマリオンの頬を殴り返しました。
「ぎゃぶ!?」
「いい気になりおってぇぇえええええええええええええ!!」
「一回目は我慢してあげたけどっ、今度は許さないわよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
作戦が失敗した以上マリオンのご機嫌を取っておかないと後々面倒なため、あの時はこらえていました。ですが想像を絶する痛みによって、2人の怒りの炎も燃え上がっていたのです。
「いい機会だ!! 教育してやる!!」
「優しくしてあげたら調子に乗って……!! 認識を変えてあげるわ!!」
「うるさいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!! 調子に乗ってるのはお前たちよ!! こっちが教育してあげるわよおおおおおおおおおおおおお!!」
激怒が痛みをかき消し、マリオンも何事もなかったかのように立ち上がりました。そうして怒声を放ちながら、詰め寄ってくる2人に――飛びかかろうとしていたマリオン、それだけではなくロークとリリアンも同時に、動きがピタリと止まってしまいました。
なぜならば――
まるで獣のような声を上げたマリオンは、充血させた目をギョロっと動かし辺りを見回します。そうして何かを鬼の形相で探し、しばらくすると地面を思い切り踏みつけ始めました。
「なああああああああああああああい!! なああああああああああああああああああいい!! 使えないぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「ま、マリオン……?」
「な、なんなの……? なにをしようとしているの……?
その答えは、ロークとリリアンを殴るものを探している。
――手で叩(はた)くだけでは大したダメージを与えられない――。
先ほどのビンタでそう気づいたマリオンは、必死になって威力を増やせるものを探します。ですが適当なものが見つからず、更にイライラは溜まっていきます。
「あのくらいじゃだめぇええええええええ!! もっともっとぉおおおおおおおおお!! もっとなのぉおおおおおおおおおおおおおおお!! なにかないのぉぉぉぉ!? なにかあるでしょ!? 出てきなさいよ!! そっちからこっちに来なさいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――っ!!」
膨大なストレスにより身体全体で回転しながら『武器」を探していたマリオンは、不意に息をのみました。
目玉が飛び出してしまいそうなほどに見開かれた両目は、しきりに地面を踏みつけていた自分の足を凝視していて――
「? ま、まり、おん……?」
「あし……? あしが、どうかしたの――」
「み、みつけたぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
今度は口が裂けそうになるくらいに口角を吊り上げ、尋常でない速度で乱暴に靴を脱ぎます。そうして左右の手に履物を握りしめたマリオンは――
「罰を受けろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
――さらなる大絶叫を起爆剤にして、左右の腕を力任せに振ります。
そうすれば左右の手は、とてつもない速さでロークとリリアンへと向かっていき――
「ごぶべぇ!?」
「ごべぇ!?」
――2人の頬を直撃。右頬を打ち抜かれたロークは左に吹っ飛び、左頬を打ち抜かれたリリアンは右に吹っ飛んでしまいました。
「がぁ!? ぁああああああああああああああああああああ!!」
「顔がぁぁ!? 顔がぁああああああああああああああああ!!」
「痛い!? 痛いでしょ!? これがわたくしが受けたショックの大きさよ!! 自分たちがどれだけのことをしたかっ、よ~く分かったでしょおおおおおおおおおおおおおお!?」
靴で殴られ地面で蹲っている2人に靴を投げつけ、目を見開きながらロークとリリアンを見下ろします。
憤怒のオーラを纏わせた仁王立ち。マリオンがそんな姿のまま、2人の反応を待っていると――
「調子に乗るなぁああああああああああああああああああああああああ!!」
「いい加減にしなさいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
――ロークとリリアンは顔を真っ赤にして立ち上がり、拾っていた靴でマリオンの頬を殴り返しました。
「ぎゃぶ!?」
「いい気になりおってぇぇえええええええええええええ!!」
「一回目は我慢してあげたけどっ、今度は許さないわよぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
作戦が失敗した以上マリオンのご機嫌を取っておかないと後々面倒なため、あの時はこらえていました。ですが想像を絶する痛みによって、2人の怒りの炎も燃え上がっていたのです。
「いい機会だ!! 教育してやる!!」
「優しくしてあげたら調子に乗って……!! 認識を変えてあげるわ!!」
「うるさいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!! 調子に乗ってるのはお前たちよ!! こっちが教育してあげるわよおおおおおおおおおおおおお!!」
激怒が痛みをかき消し、マリオンも何事もなかったかのように立ち上がりました。そうして怒声を放ちながら、詰め寄ってくる2人に――飛びかかろうとしていたマリオン、それだけではなくロークとリリアンも同時に、動きがピタリと止まってしまいました。
なぜならば――
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