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第4話 1か月と2日後の、おかしなこと エミリー視点(2)
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「ゼルアレー公爵家のアンジェリック様が近々、ご自身が注目されている画家の原石の作品を集めて展覧会を開かれるそうなんだ。それでね、そのメンバーにエミリーさんが入っていたんだよ」
先ほど会に顔を出された際に、アンジェリック様からお声がけをいただいているメンバーからそのお話を聞いたそうです。
そしてその方は昨日アンジェリック様とお会いした際に、同じ会から2人も選ばれていることを聞かされ――わたしも選ばれていることを知る。そういった経緯で今日、リシャールさんのお耳に入ったとのことでした。
「エミリーさんに直接会って話しをしたい、当日は会場で作品の説明をしてもらいたいと要望が来ているのに、その人をとっくに追い出してしまっている。しかも悪評のばら撒きが中途半端で、追放をエミリーさんのせいにはできない。大変だね」
「ええ。大変、ですね」
たとえば『病気になって療養中』とすればその場はどうにか凌げますが、いつまでも時間稼ぎはできません。お屋敷に居ないとなったら言い逃れできなくなり、自分達の悪事が大々的に露見してしまいます。
「理不尽な追い出しがバレてしまったら、もう貴族界では生きていけなくなる。だから何とかエミリーさんを見つけて、どうにか説得をしてお屋敷に戻ってもらおうとしているんだね」
「あんなことをしておいて、それですか……。呆れてしまいますね」
どういう性質の人達か、よく分かっていました。隅々まで理解していても、おもわずため息が出てしまいます。
「いつもいつも、予想の上を行ってくれるよね。だけどそのおかげで、面白いことができるよ」
「面白いこと、ですか……?」
「うん、とっても面白いことを閃いたんだ。スムーズに追放騒動の実態を広めて、3人に相応の罰を与えられる方法をね」
リシャールさんはパチンと指を鳴らして、移動中に思い付いた作戦を教えてくれました。
…………確かに、そうですね。そちらを実行すれば、とっても面白いこと、になります。
「こうしておけば、全部が上手く片付く。この作戦を始めてもいいかな?」
「はい。よろしくお願い致します」
わたしへのことはともかくとして――。おばあ様が亡くなった際の暴言、おばあ様の遺品整理の際の暴言は、許せません。
今でも心の奥で、怒りの炎が燃え続けていました。
ですのですぐに、お願いをしました。
「じゃあ、すぐに動くね。まずは、『チュワヴァス邸にエミリーがいる』という情報を流して――」
先ほど会に顔を出された際に、アンジェリック様からお声がけをいただいているメンバーからそのお話を聞いたそうです。
そしてその方は昨日アンジェリック様とお会いした際に、同じ会から2人も選ばれていることを聞かされ――わたしも選ばれていることを知る。そういった経緯で今日、リシャールさんのお耳に入ったとのことでした。
「エミリーさんに直接会って話しをしたい、当日は会場で作品の説明をしてもらいたいと要望が来ているのに、その人をとっくに追い出してしまっている。しかも悪評のばら撒きが中途半端で、追放をエミリーさんのせいにはできない。大変だね」
「ええ。大変、ですね」
たとえば『病気になって療養中』とすればその場はどうにか凌げますが、いつまでも時間稼ぎはできません。お屋敷に居ないとなったら言い逃れできなくなり、自分達の悪事が大々的に露見してしまいます。
「理不尽な追い出しがバレてしまったら、もう貴族界では生きていけなくなる。だから何とかエミリーさんを見つけて、どうにか説得をしてお屋敷に戻ってもらおうとしているんだね」
「あんなことをしておいて、それですか……。呆れてしまいますね」
どういう性質の人達か、よく分かっていました。隅々まで理解していても、おもわずため息が出てしまいます。
「いつもいつも、予想の上を行ってくれるよね。だけどそのおかげで、面白いことができるよ」
「面白いこと、ですか……?」
「うん、とっても面白いことを閃いたんだ。スムーズに追放騒動の実態を広めて、3人に相応の罰を与えられる方法をね」
リシャールさんはパチンと指を鳴らして、移動中に思い付いた作戦を教えてくれました。
…………確かに、そうですね。そちらを実行すれば、とっても面白いこと、になります。
「こうしておけば、全部が上手く片付く。この作戦を始めてもいいかな?」
「はい。よろしくお願い致します」
わたしへのことはともかくとして――。おばあ様が亡くなった際の暴言、おばあ様の遺品整理の際の暴言は、許せません。
今でも心の奥で、怒りの炎が燃え続けていました。
ですのですぐに、お願いをしました。
「じゃあ、すぐに動くね。まずは、『チュワヴァス邸にエミリーがいる』という情報を流して――」
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