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第1話 突然の宣告 アリア視点(2)
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「………………………………。レイオン様が、わたし、に……?」
「……知ったのは偶然、ふたりで話しをしている際にレイオンの父親がうっかり口を滑らせたから。レイオンは9か月前から、バーダおじ様とレイオンの母親と約束をしていたんですって」
目を丸くして口をパクパクさせることしかできないわたしに、嫌そうに――本当に嫌そうに、教えてくださりました。
わたしと、ほぼ同じ。
一緒の時間を過ごすうちに、レイオン様はわたしに友情以外の感情を抱くようになっていらっしゃって……。やがてその感情は、『恋』なのだと気付かれたそうです。
しかしながらレイオン様は伯爵令息で、わたしは子爵令嬢。
いくら格上の子どもが交際をしたいと言っても、親は――当主様は首を縦に振りません。わざわざ平凡な子爵家と関係を築くメリットはないのですから、当たり前の話です。
けれどそれでも、レイオン様はわたしと共に歩きたいと――想いを打ち明け、同意を得られたのであれば、交際を始めたいと思ってくださっていた。
だから、ご両親に条件を提示されていた。
国内外の有名なコンクールで、金賞以上を獲得する。
名のあるコンクールで優秀な成績を収め、ピアニストとしての箔をつけたのなら――家としてのメリットを手に入れたのなら、特別に認める。
そういった約束を、されていたのです。
9か月前から……。
「9か月前から、急に格好よくなった。アレは確固とした目標が出来て、強い意志を持って行動するようになっていたからだったのね。……はぁ。まさか単なる音楽仲間だと思っていたアリア・ニーラックのため、だったなんてね」
「……………………」
「そんなレイオンは……はぁ、ホント最悪。少しでも時間ができたら練習をしていたみたいで、2日前に目標を達成してしまう」
その日はとても重要なお茶会が――隣国に嫁がれるメンバーの『お別れの会』を兼ねたお茶会があり、わたしは出席できなかったのですが――。2日前に隣国キルトレーネで開かれた『アルチュ』というコンクールで、レイオン様は金賞を受賞されたのです。
「このままだとレイオンは帰国したらすぐ、アリア・ニーラックのもとに行ってしまう。もしかして――と思っていた予想は的中で、その様子なら貴女もレイオンに恋をしている。両想いで恋が成立してしまって、わたくしはレイオンを諦めないといけなくなってしまう。それは嫌、そんなの許せない」
「……………………」
「だから、今ここにいるの」
「……………………」
「貴女が彼の傍に居ると、レイオンがわたくしのものにならないの。はっきり言って邪魔。二度とレイオンに近づかないで頂戴」
ここでも、そう。オルネラ様は、まったく悪びれることなく仰られて……。
更に――
「……知ったのは偶然、ふたりで話しをしている際にレイオンの父親がうっかり口を滑らせたから。レイオンは9か月前から、バーダおじ様とレイオンの母親と約束をしていたんですって」
目を丸くして口をパクパクさせることしかできないわたしに、嫌そうに――本当に嫌そうに、教えてくださりました。
わたしと、ほぼ同じ。
一緒の時間を過ごすうちに、レイオン様はわたしに友情以外の感情を抱くようになっていらっしゃって……。やがてその感情は、『恋』なのだと気付かれたそうです。
しかしながらレイオン様は伯爵令息で、わたしは子爵令嬢。
いくら格上の子どもが交際をしたいと言っても、親は――当主様は首を縦に振りません。わざわざ平凡な子爵家と関係を築くメリットはないのですから、当たり前の話です。
けれどそれでも、レイオン様はわたしと共に歩きたいと――想いを打ち明け、同意を得られたのであれば、交際を始めたいと思ってくださっていた。
だから、ご両親に条件を提示されていた。
国内外の有名なコンクールで、金賞以上を獲得する。
名のあるコンクールで優秀な成績を収め、ピアニストとしての箔をつけたのなら――家としてのメリットを手に入れたのなら、特別に認める。
そういった約束を、されていたのです。
9か月前から……。
「9か月前から、急に格好よくなった。アレは確固とした目標が出来て、強い意志を持って行動するようになっていたからだったのね。……はぁ。まさか単なる音楽仲間だと思っていたアリア・ニーラックのため、だったなんてね」
「……………………」
「そんなレイオンは……はぁ、ホント最悪。少しでも時間ができたら練習をしていたみたいで、2日前に目標を達成してしまう」
その日はとても重要なお茶会が――隣国に嫁がれるメンバーの『お別れの会』を兼ねたお茶会があり、わたしは出席できなかったのですが――。2日前に隣国キルトレーネで開かれた『アルチュ』というコンクールで、レイオン様は金賞を受賞されたのです。
「このままだとレイオンは帰国したらすぐ、アリア・ニーラックのもとに行ってしまう。もしかして――と思っていた予想は的中で、その様子なら貴女もレイオンに恋をしている。両想いで恋が成立してしまって、わたくしはレイオンを諦めないといけなくなってしまう。それは嫌、そんなの許せない」
「……………………」
「だから、今ここにいるの」
「……………………」
「貴女が彼の傍に居ると、レイオンがわたくしのものにならないの。はっきり言って邪魔。二度とレイオンに近づかないで頂戴」
ここでも、そう。オルネラ様は、まったく悪びれることなく仰られて……。
更に――
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