3 / 56
第1話 突然の宣告 アリア視点(1)
しおりを挟む
「アリア・ニーラック、貴女に大事な話があるの。聞いてもらうわ」
「……………………」
ウチのお屋敷の中にある、応接室。そこでわたしは呆然となりながら、目の前にいらっしゃる女性を見つめていました。
上品という言葉が実体化したような美しい容姿を持つ方、ミータイアス伯爵令嬢オルネラ様。
この方はレイオン様の幼馴染で、その関係で何度かお会いしたことがありました。
その際は、物腰低くお優しい方だったのですが……今はまるで別人。どの国でもマナー違反に当たる連絡なしの来訪を詫びることもなければ挨拶もなく、勝手に話を進めようとする。
言動が180度異なるかつ、見下しの雰囲気を纏われているので、わたしはおもわず言葉を失っていたのです。
((……あれは、お芝居……。こちらが本性なのですね……))
「アリア・ラーニック、返事は? まさかこの距離で聞こえていないの?」
「……いえ、聞こえております。大事なお話とはなんなのでしょうか?」
こういった性質を持つ方に少しでも意見しようとすると、とてもややこしいことになってしまいます。ですのでわたしは小さく左右に首を振り、正面を見つめ直しました。
「分かりやすいように、まずは単刀直入に言うわ。アリア・ニーラック。二度と彼に――レイオンに近づかないで頂戴」
…………え?
レイオン様に……。近づくな……?
「ど、どうして、なのでしょうか……? 理由をお教えください……」
「わたくしとレイオンは幼馴染で、物心ついた時から彼を知っていたわ。そのせい、なのでしょうね。まったく特別な感情を抱いてはいなかったの」
「そ、そうなのですね……」
「けど、去年の夏ごろから――9か月前頃からだったわ。急に、レイオンが格好良くなったの。久し振りに会ったら、顔がわたくし好みになっていたの」
キリッとしていて、それこそ別人のよう。目を離せなくなったそうです……。
「わたくしが恋に落ちるのは、あっという間だったわ。レイオンが大好き。大好きだから、交際、婚約、結婚をしたくなったの」
「…………………………」
「だからそうするためにお父様に働きかけてもらいつつ、レイオン自身にも色々とアプローチをしていたの。でも全然振り向かない。こんなにも美麗な――人の形をしたダイヤモンドが居るというのに、まったく興味を示さないの」
「…………………………」
「……ねえ、アリア・ニーラック。どうしてだと思う? どうしてまったく興味を示さないと思う?」
「……………………わ、分かりかねます」
それ以外の返事をすると激昂しそうな雰囲気を放っていましたし、実際想像もつきません。ですのでそのようにお返しをすると――…………。
オルネラ様は……。信じられないことを、仰ったのでした……。
「口にするのは不愉快だけど、仕方ないものね。我慢しながら教えてあげるわ。……レイオンはね、貴女に恋をしていたのよ」
「……………………」
ウチのお屋敷の中にある、応接室。そこでわたしは呆然となりながら、目の前にいらっしゃる女性を見つめていました。
上品という言葉が実体化したような美しい容姿を持つ方、ミータイアス伯爵令嬢オルネラ様。
この方はレイオン様の幼馴染で、その関係で何度かお会いしたことがありました。
その際は、物腰低くお優しい方だったのですが……今はまるで別人。どの国でもマナー違反に当たる連絡なしの来訪を詫びることもなければ挨拶もなく、勝手に話を進めようとする。
言動が180度異なるかつ、見下しの雰囲気を纏われているので、わたしはおもわず言葉を失っていたのです。
((……あれは、お芝居……。こちらが本性なのですね……))
「アリア・ラーニック、返事は? まさかこの距離で聞こえていないの?」
「……いえ、聞こえております。大事なお話とはなんなのでしょうか?」
こういった性質を持つ方に少しでも意見しようとすると、とてもややこしいことになってしまいます。ですのでわたしは小さく左右に首を振り、正面を見つめ直しました。
「分かりやすいように、まずは単刀直入に言うわ。アリア・ニーラック。二度と彼に――レイオンに近づかないで頂戴」
…………え?
レイオン様に……。近づくな……?
「ど、どうして、なのでしょうか……? 理由をお教えください……」
「わたくしとレイオンは幼馴染で、物心ついた時から彼を知っていたわ。そのせい、なのでしょうね。まったく特別な感情を抱いてはいなかったの」
「そ、そうなのですね……」
「けど、去年の夏ごろから――9か月前頃からだったわ。急に、レイオンが格好良くなったの。久し振りに会ったら、顔がわたくし好みになっていたの」
キリッとしていて、それこそ別人のよう。目を離せなくなったそうです……。
「わたくしが恋に落ちるのは、あっという間だったわ。レイオンが大好き。大好きだから、交際、婚約、結婚をしたくなったの」
「…………………………」
「だからそうするためにお父様に働きかけてもらいつつ、レイオン自身にも色々とアプローチをしていたの。でも全然振り向かない。こんなにも美麗な――人の形をしたダイヤモンドが居るというのに、まったく興味を示さないの」
「…………………………」
「……ねえ、アリア・ニーラック。どうしてだと思う? どうしてまったく興味を示さないと思う?」
「……………………わ、分かりかねます」
それ以外の返事をすると激昂しそうな雰囲気を放っていましたし、実際想像もつきません。ですのでそのようにお返しをすると――…………。
オルネラ様は……。信じられないことを、仰ったのでした……。
「口にするのは不愉快だけど、仕方ないものね。我慢しながら教えてあげるわ。……レイオンはね、貴女に恋をしていたのよ」
0
お気に入りに追加
574
あなたにおすすめの小説
傷物にされた私は幸せを掴む
コトミ
恋愛
エミリア・フィナリーは子爵家の二人姉妹の姉で、妹のために我慢していた。両親は真面目でおとなしいエミリアよりも、明るくて可愛い双子の妹である次女のミアを溺愛していた。そんな中でもエミリアは長女のために子爵家の婿取りをしなくてはいけなかったために、同じく子爵家の次男との婚約が決まっていた。その子爵家の次男はルイと言い、エミリアにはとても優しくしていた。顔も良くて、エミリアは少し自慢に思っていた。エミリアが十七になり、結婚も近くなってきた冬の日に事件が起き、大きな傷を負う事になる。
(ここまで読んでいただきありがとうございます。妹ざまあ、展開です。本編も読んでいただけると嬉しいです)
英国紳士の熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです
坂合奏
恋愛
「I love much more than you think(君が思っているよりは、愛しているよ)」
祖母の策略によって、冷徹上司であるイギリス人のジャン・ブラウンと婚約することになってしまった、二十八歳の清水萌衣。
こんな男と結婚してしまったら、この先人生お先真っ暗だと思いきや、意外にもジャンは恋人に甘々の男で……。
あまりの熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです。
※物語の都合で軽い性描写が2~3ページほどあります。
影の王宮
朱里 麗華(reika2854)
恋愛
王立学園の卒業式で公爵令嬢のシェリルは、王太子であり婚約者であるギデオンに婚約破棄を言い渡される。
ギデオンには学園で知り合った恋人の男爵令嬢ミーシャがいるのだ。
幼い頃からギデオンを想っていたシェリルだったが、ギデオンの覚悟を知って身を引こうと考える。
両親の愛情を受けられずに育ったギデオンは、人一倍愛情を求めているのだ。
だけどミーシャはシェリルが思っていたような人物ではないようで……。
タグにも入れましたが、主人公カップル(本当に主人公かも怪しい)は元サヤです。
すっごく暗い話になりそうなので、プロローグに救いを入れました。
一章からの話でなぜそうなったのか過程を書いていきます。
メインになるのは親世代かと。
※子どもに関するセンシティブな内容が含まれます。
苦手な方はご自衛ください。
※タイトルが途中で変わる可能性があります<(_ _)>
もう一度だけ。
しらす
恋愛
私の一番の願いは、貴方の幸せ。
最期に、うまく笑えたかな。
**タグご注意下さい。
***ギャグが上手く書けなくてシリアスを書きたくなったので書きました。
****ありきたりなお話です。
*****小説家になろう様にても掲載しています。
白い初夜
NIWA
恋愛
ある日、子爵令嬢のアリシアは婚約者であるファレン・セレ・キルシュタイン伯爵令息から『白い結婚』を告げられてしまう。
しかし話を聞いてみればどうやら話が込み入っているようで──
その選択、必ず後悔することになりますよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ベルナール殿下、陛下、妃殿下、第2第3王子殿下。ご自身にとって都合が悪いからと、わたくし聖女ファニーの殺害を企まれていますよね?
ただちにお止めください。
このまま実行してしまいますと、貴方がたは激しく後悔する羽目になりますよ。
※こちらはファンタジージャンルとなっておりますので、ファンタジー的な存在(異形)が登場する場面がございます。
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には10年以上思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
私は『選んだ』
ルーシャオ
恋愛
フィオレ侯爵家次女セラフィーヌは、いつも姉マルグレーテに『選ばさせられていた』。好きなお菓子も、ペットの犬も、ドレスもアクセサリも先に選ぶよう仕向けられ、そして当然のように姉に取られる。姉はそれを「先にいいものを選んで私に持ってきてくれている」と理解し、フィオレ侯爵も咎めることはない。
『選ばされて』姉に譲るセラフィーヌは、結婚相手までも同じように取られてしまう。姉はバルフォリア公爵家へ嫁ぐのに、セラフィーヌは貴族ですらない資産家のクレイトン卿の元へ嫁がされることに。
セラフィーヌはすっかり諦め、クレイトン卿が継承するという子爵領へ先に向かうよう家を追い出されるが、辿り着いた子爵領はすっかり自由で豊かな土地で——?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる