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第1話 突然の宣告 アリア視点(1)

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「アリア・ニーラック、貴女に大事な話があるの。聞いてもらうわ」
「……………………」

 ウチのお屋敷の中にある、応接室。そこでわたしは呆然となりながら、目の前にいらっしゃる女性を見つめていました。

 上品という言葉が実体化したような美しい容姿を持つ方、ミータイアス伯爵令嬢オルネラ様。

 この方はレイオン様の幼馴染で、その関係で何度かお会いしたことがありました。
 その際は、物腰低くお優しい方だったのですが……今はまるで別人。どの国でもマナー違反に当たる連絡なしの来訪を詫びることもなければ挨拶もなく、勝手に話を進めようとする。
 言動が180度異なるかつ、見下しの雰囲気を纏われているので、わたしはおもわず言葉を失っていたのです。

((……あれは、お芝居……。こちらが本性なのですね……))
「アリア・ラーニック、返事は? まさかこの距離で聞こえていないの?」
「……いえ、聞こえております。大事なお話とはなんなのでしょうか?」

 こういった性質を持つ方に少しでも意見しようとすると、とてもややこしいことになってしまいます。ですのでわたしは小さく左右に首を振り、正面を見つめ直しました。

「分かりやすいように、まずは単刀直入に言うわ。アリア・ニーラック。二度と彼に――レイオンに近づかないで頂戴」

 …………え?
 レイオン様に……。近づくな……?

「ど、どうして、なのでしょうか……? 理由をお教えください……」
「わたくしとレイオンは幼馴染で、物心ついた時から彼を知っていたわ。そのせい、なのでしょうね。まったく特別な感情を抱いてはいなかったの」
「そ、そうなのですね……」
「けど、去年の夏ごろから――9か月前頃からだったわ。急に、レイオンが格好良くなったの。久し振りに会ったら、顔がわたくし好みになっていたの」

 キリッとしていて、それこそ別人のよう。目を離せなくなったそうです……。

「わたくしが恋に落ちるのは、あっという間だったわ。レイオンが大好き。大好きだから、交際、婚約、結婚をしたくなったの」
「…………………………」
「だからそうするためにお父様に働きかけてもらいつつ、レイオン自身にも色々とアプローチをしていたの。でも全然振り向かない。こんなにも美麗な――人の形をしたダイヤモンドが居るというのに、まったく興味を示さないの」
「…………………………」
「……ねえ、アリア・ニーラック。どうしてだと思う? どうしてまったく興味を示さないと思う?」
「……………………わ、分かりかねます」

 それ以外の返事をすると激昂しそうな雰囲気を放っていましたし、実際想像もつきません。ですのでそのようにお返しをすると――…………。
 オルネラ様は……。信じられないことを、仰ったのでした……。


「口にするのは不愉快だけど、仕方ないものね。我慢しながら教えてあげるわ。……レイオンはね、貴女に恋をしていたのよ」

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