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第7話 信じられない言葉が聞こえた シルヴァン視点(3)
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「もう隠す必要はなくなったな。彼らは皆、忠実なフリをしていたのだよ。わたしとステールの指示でな」
「父上の!?」「お父様の!?」
ずっと芝居をしていた!?
なぜだ!? なんでそんなことをする必要があった……!?
「お前もジャクリーヌ君も、自尊心が強い。その性質が悪い方向に働いてしまわぬよう、抑えるために『忠実』を演じさせていたのだ」
「「な……」」
「故にオフレコとされているものも、すべて我々は把握していた。今回もそれと同じ。彼らが協力を命じられた直後に、わたし達の耳に入っていたのだよ」
俺達の計画は……。始まった時から、失敗していた……。
「お前達は自らの都合で、タチアナ君を亡き者にしようとした。それは言語道断。決して許されないことだ」
「父上! 俺達だって進んでやっているのではないのです!」
「辛かったですわ!! できるならやりたくなかった!! だから罪滅ぼしとしてせめてっ、最高の一か月を過ごせるようにしましたの!」
「それがどうした? 嫌々なら許されるとでも思うか? 償いを用意すれば許されるとでも思うのか?」
父上――おじさんからも冷たい目線が注がれ、でも。父上もおじさんも、嘆息した。
「わたしもステールも、許すつもりはなかった。だがな。タチアナ君の進言により、チャンスを与えることにしたのだ」
「タチアナ……?」
「チャンス……?」
「『2人にはちゃんと良い部分もあって、罪悪感が上回って改心する可能性はあります。もし途中で計画を破棄したら見なかったことにしてあげてください』。そんな彼女の意思を尊重し、泳がせて様子を見始めたのだよ」
そんなことが……。全然気づかなかった……。
「だが、計画が破棄されることはなかった。……タチアナ君は、懸命に引き戻そうとしてくれていたのだがな……。お前達に届きはしなかった」
「タチアナが!?」
「おっ、覚えがありませんわ! 嘘を吐くのはやめてください!」
「嘘ではない。お前達はタチアナ君から、小説を渡されたはずだ」
た、確かに渡された。怪盗Xの過ちを。
アレがこれとなんの関係が――。っ!!
「気付いたようだな。あの作品の登場人物であるジャックとローレンスは、お前とジャクリーヌ君なのだよ」
「ジャックとローレンスは大切な仲間を殺めてしまい、それが切っ掛けで破滅する。……タチアナ君はこっそり改心を促していたが、一向にその気配がなかった。だがそれでも幼馴染を想い、手段を変えた。『道を踏みはずとこんなことになる』という架空の人生を見せ、ジャクリーヌとシルヴァン君を止めようとしてくれていたのだ」
――そういう、ことか……。
だから……。
『次に会う時に、感想を聞かせてちょうだいね? 約束よ?』
あそこまで念を押していたんだ……。
「父上の!?」「お父様の!?」
ずっと芝居をしていた!?
なぜだ!? なんでそんなことをする必要があった……!?
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「「な……」」
「故にオフレコとされているものも、すべて我々は把握していた。今回もそれと同じ。彼らが協力を命じられた直後に、わたし達の耳に入っていたのだよ」
俺達の計画は……。始まった時から、失敗していた……。
「お前達は自らの都合で、タチアナ君を亡き者にしようとした。それは言語道断。決して許されないことだ」
「父上! 俺達だって進んでやっているのではないのです!」
「辛かったですわ!! できるならやりたくなかった!! だから罪滅ぼしとしてせめてっ、最高の一か月を過ごせるようにしましたの!」
「それがどうした? 嫌々なら許されるとでも思うか? 償いを用意すれば許されるとでも思うのか?」
父上――おじさんからも冷たい目線が注がれ、でも。父上もおじさんも、嘆息した。
「わたしもステールも、許すつもりはなかった。だがな。タチアナ君の進言により、チャンスを与えることにしたのだ」
「タチアナ……?」
「チャンス……?」
「『2人にはちゃんと良い部分もあって、罪悪感が上回って改心する可能性はあります。もし途中で計画を破棄したら見なかったことにしてあげてください』。そんな彼女の意思を尊重し、泳がせて様子を見始めたのだよ」
そんなことが……。全然気づかなかった……。
「だが、計画が破棄されることはなかった。……タチアナ君は、懸命に引き戻そうとしてくれていたのだがな……。お前達に届きはしなかった」
「タチアナが!?」
「おっ、覚えがありませんわ! 嘘を吐くのはやめてください!」
「嘘ではない。お前達はタチアナ君から、小説を渡されたはずだ」
た、確かに渡された。怪盗Xの過ちを。
アレがこれとなんの関係が――。っ!!
「気付いたようだな。あの作品の登場人物であるジャックとローレンスは、お前とジャクリーヌ君なのだよ」
「ジャックとローレンスは大切な仲間を殺めてしまい、それが切っ掛けで破滅する。……タチアナ君はこっそり改心を促していたが、一向にその気配がなかった。だがそれでも幼馴染を想い、手段を変えた。『道を踏みはずとこんなことになる』という架空の人生を見せ、ジャクリーヌとシルヴァン君を止めようとしてくれていたのだ」
――そういう、ことか……。
だから……。
『次に会う時に、感想を聞かせてちょうだいね? 約束よ?』
あそこまで念を押していたんだ……。
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