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第7話 信じられない言葉が聞こえた シルヴァン視点(2)
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「な、なぜ……ここ、に……?」
父上は今日は朝から外出していて、『ロンダール』という街で知人に会っているはず。おじさんだって、私用で外出しているとジャクリーヌが言っていた。
どうして、いる……?
「今日は、お前達が企てた計画が――タチアナ君の殺害が決行される日。その対応を行うために来ているのだよ」
「さっ、さつが!? これは違うんですよ!」
「そっ、そうですわ! ちょっとした戯れで――」
「シルヴァン、ジャクリーヌ君、どうやっても言い逃れは出来んぞ。我々は全てを把握しているのだからな」
…………バカな…………。
タチアナに殺意を抱いていること。
そのための蜂を準備していたこと。
この場所で仕掛けようとしていたこと。
それと……。
俺とジャクリーヌは相思相愛なこと。
関係者が以外は知らない事実を、完璧に把握されていた……。
「「ど、どうして……?」」
準備は絶対に裏切らない忠実な人間だけを使って行っていて、その際には露見しないように細心の注意を払った。俺とジャクリーヌの関係だって、絶対に悟られないようにしていた。
バレるはずがないのに、なんで筒抜けになっているんだ……!?
「今まさにお前達を拘束している彼らが、報告してくれたのだよ。なにもかもをな」
「嘘だ! あり得ない!! だってコイツらは俺達に忠誠を誓っている! 裏切るはずがない!」
父上達に告げられたら悲劇が待っている。地獄を回避するために俺達は協力者を厳選したんだ!
選りすぐりの者達が伝えるだなんて――
「タチアナ君を捕えて殺せという命令を実行せず、逆にお前達を拘束している。すでに裏切られているのだがな?」
「! そ、そういえば……!」
そうだ。そうだ!
そうだった!!
「……父上ではなく俺に『王』を感じ、忠誠を誓っている連中なのに……。なぜだ……」「……お父様やお母様ではなくて、わたくしを第一に考えてる者達なのに……。なぜ……」
フリや世辞ではない。この者達はずっと前から――もう5年以上、俺に傅(かしず)いていた。
父上や家のためではなく、俺のためだけに動く存在。
思い込みじゃなくて! 実際そういう場面をこれまで何度も見て来たんだぞ……!?
そりゃあ今まで殺害に加担させたことはなかったがっ、俺のためなら平然と手を汚せるようなヤツらなんだ。たとえ大金を積まれても即座に蹴れるようなヤツらなんだ。
どうなっている……!?
父上は今日は朝から外出していて、『ロンダール』という街で知人に会っているはず。おじさんだって、私用で外出しているとジャクリーヌが言っていた。
どうして、いる……?
「今日は、お前達が企てた計画が――タチアナ君の殺害が決行される日。その対応を行うために来ているのだよ」
「さっ、さつが!? これは違うんですよ!」
「そっ、そうですわ! ちょっとした戯れで――」
「シルヴァン、ジャクリーヌ君、どうやっても言い逃れは出来んぞ。我々は全てを把握しているのだからな」
…………バカな…………。
タチアナに殺意を抱いていること。
そのための蜂を準備していたこと。
この場所で仕掛けようとしていたこと。
それと……。
俺とジャクリーヌは相思相愛なこと。
関係者が以外は知らない事実を、完璧に把握されていた……。
「「ど、どうして……?」」
準備は絶対に裏切らない忠実な人間だけを使って行っていて、その際には露見しないように細心の注意を払った。俺とジャクリーヌの関係だって、絶対に悟られないようにしていた。
バレるはずがないのに、なんで筒抜けになっているんだ……!?
「今まさにお前達を拘束している彼らが、報告してくれたのだよ。なにもかもをな」
「嘘だ! あり得ない!! だってコイツらは俺達に忠誠を誓っている! 裏切るはずがない!」
父上達に告げられたら悲劇が待っている。地獄を回避するために俺達は協力者を厳選したんだ!
選りすぐりの者達が伝えるだなんて――
「タチアナ君を捕えて殺せという命令を実行せず、逆にお前達を拘束している。すでに裏切られているのだがな?」
「! そ、そういえば……!」
そうだ。そうだ!
そうだった!!
「……父上ではなく俺に『王』を感じ、忠誠を誓っている連中なのに……。なぜだ……」「……お父様やお母様ではなくて、わたくしを第一に考えてる者達なのに……。なぜ……」
フリや世辞ではない。この者達はずっと前から――もう5年以上、俺に傅(かしず)いていた。
父上や家のためではなく、俺のためだけに動く存在。
思い込みじゃなくて! 実際そういう場面をこれまで何度も見て来たんだぞ……!?
そりゃあ今まで殺害に加担させたことはなかったがっ、俺のためなら平然と手を汚せるようなヤツらなんだ。たとえ大金を積まれても即座に蹴れるようなヤツらなんだ。
どうなっている……!?
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