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第12話 第二の敵の説得 アデライド視点(2)
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「でも。婚約が交わされている以上、どちらも無理。でもでも、どちらもしたい。……それを実現するには、何が必要ですか?」
「………………。っ!」
しばらく考え込んでいたネリーの瞳が、大きく見開かれた。
「解消……! こんやくの、かいしょう……!!」
「はい、そうです。別の女を臭わせあたかも浮気状態にあるように思わせていけば、その関係にヒビを入れられるかもしれない。そんな魂胆で指示を出していたのだと、わたしは考えています」
「ま、待って。待ちなさい!」
何度も目を瞬かせながら、こちらに向けて右手を突き出した。
「婚約は、家と家が行うものなのよ……? パイプ作りのためなのだから、浮気くらいで白紙にはならない。現に、浮気が露見した上で結婚した人達がいるわ」
「ですが、ネリー様。浮気が原因で解消となった婚約も、ありますよね?」
「っ!!」
これはこの世界の貴族なら誰でも知っている情報で、周知の事実は大きな説得力を持つ。わたしのその言葉で彼女は大きく息を呑み、わたしとアンリを交互に見つめ始めた。
「あり得ない、話、じゃない……。じゃない……けど……」
「わたしと貴方様の婚約者様は、領地の位置も関係もあって同じパーティーに出席する機会が多かった。そこに目をつけられて、わたしは利用されたのでしょうね」
「……………………」
これもまた、周知の事実。引き続きゲーム内の設定を出して信憑性を持たせ、トドメの『周知の事実』を出す。
「それになによりです。ネリー様ご自身が、一番理解されているはずですよ」
「わたくし、が……? なにを……?」
「他の女がどんなに誘惑してきたとしても、貴方様の婚約者様が貴方様以外の異性と関係を持つなんてあり得ないということを。ですよ」
金に目が眩んでしまったが故に自己中心的な行動を取っていて、実際に相思相愛。アンリはネリーを想っていて、それはネリー自身が誰よりも知っている。
だから――
「…………………………信じるわ。その言い分を」
――やがて彼女は、わたしの主張を信じたのだった。
「アンリなら、友達を見捨てない。わたくし達を求める者は、思い当たる節がある。浮気が解消の原因になる実例が存在している。理由もなしにアンリが他の女に近づくはずがない。……ついカッとなって、視野狭窄に陥っていましたわ。ごめんなさい、ルーヴァローテ様」
ネリーの表情がどんどん落ち着いていって、わたしの呼称が変わった。
アンタやお前から『ルーヴァローテ様』になったら、脅威が去った合図。アデライドが刺殺されるという未来は100パーセントなくなり、エリク様がこの件で復讐の鬼と化す未来も同じく100パーセントなくなった。
「わたくし、思い込みで酷い真似をしてしまいましたわ……。なんとお詫びをしたらいいか……」
「お詫びなんて要りませんよ。すでにフォムイエ様にはお伝えしていますが、おふたりも被害者のようなもの。罪に問うつもりも咎めるつもりもなく、すべて水に流します」
だって彼女もまた、ゲームに操られていただけなんだもの。気に病まなくていい。
「わたしにとって、それが一番なんです。お二人ともこの出来事は忘れて、自由に過ごしてください」
「……ルーヴァローテ様……。痛み入りますわ」
「ルーヴァローテ様、痛み入ります」
「礼には及びませんよ。ではわたしは、やるべきことがありますので失礼しますね――ああそうでした。現在その依頼者について我が家(いえ)で調査をしておりまして、犯人が見つかるまでは外出はお控えください」
ゲーム内ではふたりのその後の描写がなくて、もしかしたら裏切ったことによって裏で消されているかもしれない。そうならないよう指示を出して、今度こそ去る。
((無事2つめの問題は解決できたけど、全然安心できない……。明日会った時、エリク様はどんな反応をするのかしら……?))
「………………。っ!」
しばらく考え込んでいたネリーの瞳が、大きく見開かれた。
「解消……! こんやくの、かいしょう……!!」
「はい、そうです。別の女を臭わせあたかも浮気状態にあるように思わせていけば、その関係にヒビを入れられるかもしれない。そんな魂胆で指示を出していたのだと、わたしは考えています」
「ま、待って。待ちなさい!」
何度も目を瞬かせながら、こちらに向けて右手を突き出した。
「婚約は、家と家が行うものなのよ……? パイプ作りのためなのだから、浮気くらいで白紙にはならない。現に、浮気が露見した上で結婚した人達がいるわ」
「ですが、ネリー様。浮気が原因で解消となった婚約も、ありますよね?」
「っ!!」
これはこの世界の貴族なら誰でも知っている情報で、周知の事実は大きな説得力を持つ。わたしのその言葉で彼女は大きく息を呑み、わたしとアンリを交互に見つめ始めた。
「あり得ない、話、じゃない……。じゃない……けど……」
「わたしと貴方様の婚約者様は、領地の位置も関係もあって同じパーティーに出席する機会が多かった。そこに目をつけられて、わたしは利用されたのでしょうね」
「……………………」
これもまた、周知の事実。引き続きゲーム内の設定を出して信憑性を持たせ、トドメの『周知の事実』を出す。
「それになによりです。ネリー様ご自身が、一番理解されているはずですよ」
「わたくし、が……? なにを……?」
「他の女がどんなに誘惑してきたとしても、貴方様の婚約者様が貴方様以外の異性と関係を持つなんてあり得ないということを。ですよ」
金に目が眩んでしまったが故に自己中心的な行動を取っていて、実際に相思相愛。アンリはネリーを想っていて、それはネリー自身が誰よりも知っている。
だから――
「…………………………信じるわ。その言い分を」
――やがて彼女は、わたしの主張を信じたのだった。
「アンリなら、友達を見捨てない。わたくし達を求める者は、思い当たる節がある。浮気が解消の原因になる実例が存在している。理由もなしにアンリが他の女に近づくはずがない。……ついカッとなって、視野狭窄に陥っていましたわ。ごめんなさい、ルーヴァローテ様」
ネリーの表情がどんどん落ち着いていって、わたしの呼称が変わった。
アンタやお前から『ルーヴァローテ様』になったら、脅威が去った合図。アデライドが刺殺されるという未来は100パーセントなくなり、エリク様がこの件で復讐の鬼と化す未来も同じく100パーセントなくなった。
「わたくし、思い込みで酷い真似をしてしまいましたわ……。なんとお詫びをしたらいいか……」
「お詫びなんて要りませんよ。すでにフォムイエ様にはお伝えしていますが、おふたりも被害者のようなもの。罪に問うつもりも咎めるつもりもなく、すべて水に流します」
だって彼女もまた、ゲームに操られていただけなんだもの。気に病まなくていい。
「わたしにとって、それが一番なんです。お二人ともこの出来事は忘れて、自由に過ごしてください」
「……ルーヴァローテ様……。痛み入りますわ」
「ルーヴァローテ様、痛み入ります」
「礼には及びませんよ。ではわたしは、やるべきことがありますので失礼しますね――ああそうでした。現在その依頼者について我が家(いえ)で調査をしておりまして、犯人が見つかるまでは外出はお控えください」
ゲーム内ではふたりのその後の描写がなくて、もしかしたら裏切ったことによって裏で消されているかもしれない。そうならないよう指示を出して、今度こそ去る。
((無事2つめの問題は解決できたけど、全然安心できない……。明日会った時、エリク様はどんな反応をするのかしら……?))
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