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49話:夜間狙撃
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ニホニでの狙撃活動も7日目。
当初のような狙撃は難しくなった。
これまでに私は98名の敵兵士をあの世へ送ったけれど、それ以上の狙撃が出来なくなってしまった。
「昼間は特に警戒が厳しくなってしまったわね」
「敵側は兵士が補充されたようで、今は1000人規模になっています」
「当初の目論見は敵を減らすということだったのに逆効果になったわね…」
第二騎士団は今日にもコーラシル砦についているだろう。
本来は敵の数を減らすことが目的だったのに倒しすぎたかもしれない。
「そこに関しては大丈夫かと。敵の将校をかなり減らしていますから、警戒されていると言っても統制の取れたものではありません」
「敵は街をそのまま手に入れたいのか、略奪はしても建物に火をつけたりといったことをしていません。まだ手段はありますよ」
クルトとリヒャルも状況を分析してくれる。
たしかに建物から狙撃をしているが、敵は巡回はすれど建物の中にまでは捜索が及ばないことが多い。
入ったとしても家の中を破壊するようなことはない為、なるべく町をそのままにしたいことが分かる。
「王国軍が来るまでに敵を無能集団にするにはさらなる敵将校への狙撃が必要ですが…」
「ねぇルーナ夜間狙撃は出来ないかしら?」
「夜間ですか?ミリア様敵を視認できます?」
真っ暗な新月の夜では無理だと思うが、これから三日間は運よく月が最も満ちるタイミングだ。
「月明かりで見つけられる兵だけ撃てばいいわ。夜も安心して眠れないようにすれば戦うどころではなくなるでしょう?」
無差別狙撃になる可能性があるが、王国軍に敵を追い出してもらうためにはやむをえない。
敵に恐怖を植え付ける。
それが狙撃手だってお母様も言っていた。
「お嬢様のいうようにこの明るさであれば人影はわかります。狙撃は可能かと」
「では無理に建物からの狙撃にこだわる必要もないかもしれません。地面に伏せるだけでもこちらを発見するのは難しいはずです。建物の影も使い敵を狙撃しましょう」
「どこに隠れるかはルーナとリヒャルに先行してもらって考えましょう。私は丘の上からでも狙えると思うわ」
全員が頷く。
作戦は決まった。今日からは夜間狙撃を行う。
*****
「寝る前にトイレにも行けぬのか…」
帝国軍のテントにて司令官である将校が苦々しくつぶやく。
ニホニ占領当初、彼は指揮官用の豪華なテントで仕事をしていたが、今では一般兵用のテントを使っている。
貴族や士官用のテントから出ると何処からともなく撃たれるからだ。
自分が撃たれずにいるのは幸運でしかない。
今では隊長格の人間にも一般兵と同じ格好をするように指示をしている。
ニホニの町で目立つ格好は危険だ。
かつては戦場での士気高揚につながったが、今では死神を呼ぶための目印でしかない。
「陽が落ちてからすでに5名が負傷しました」
連絡兵からの情報にはため息しか出ない。
流石に夜間だからか、今回は将校だけを狙い撃ちにはしておらず、撃たれた兵も即死とはならなかったようだ。
しかし、負傷した兵のほうが扱いに困る。
戦えないが食事などは必要なため、物資は変わらず消費される。
既に150人以上がこの世を去ったが、それとは別に50名以上の負傷者もおり、随時後送しているが、毎日増えている状態だ。
兵の補充は有るもののニホニを制圧し続けるうえで町を破壊しないのは、もはや限界であった。
「せめて兵士が詰めていない建物には火を点けたいところだ」
「第二皇子がお認めにならないでしょう…せっかくあるものをそのまま使いたいと仰られているようです」
副官が答えてくれるが、第二皇子は全く現状を分かっていないと言わざるを得ない。
「このような状態で王国軍に攻められたら反撃など不可能だぞ…」
町中を捜索させているが未だに敵を発見できていない。
帝国の隠密でも動員しないことには被害は増すばかりだが、一度貴重な隠密を投入して返り討ちにあっている。
相手も同程度の手練れだと判断してか、第二皇子が出し渋って首を縦に振らないと連絡が来ている。
折角王国軍を一度撃破したにもかかわらずジリ貧だと司令官は感じていた。
当初のような狙撃は難しくなった。
これまでに私は98名の敵兵士をあの世へ送ったけれど、それ以上の狙撃が出来なくなってしまった。
「昼間は特に警戒が厳しくなってしまったわね」
「敵側は兵士が補充されたようで、今は1000人規模になっています」
「当初の目論見は敵を減らすということだったのに逆効果になったわね…」
第二騎士団は今日にもコーラシル砦についているだろう。
本来は敵の数を減らすことが目的だったのに倒しすぎたかもしれない。
「そこに関しては大丈夫かと。敵の将校をかなり減らしていますから、警戒されていると言っても統制の取れたものではありません」
「敵は街をそのまま手に入れたいのか、略奪はしても建物に火をつけたりといったことをしていません。まだ手段はありますよ」
クルトとリヒャルも状況を分析してくれる。
たしかに建物から狙撃をしているが、敵は巡回はすれど建物の中にまでは捜索が及ばないことが多い。
入ったとしても家の中を破壊するようなことはない為、なるべく町をそのままにしたいことが分かる。
「王国軍が来るまでに敵を無能集団にするにはさらなる敵将校への狙撃が必要ですが…」
「ねぇルーナ夜間狙撃は出来ないかしら?」
「夜間ですか?ミリア様敵を視認できます?」
真っ暗な新月の夜では無理だと思うが、これから三日間は運よく月が最も満ちるタイミングだ。
「月明かりで見つけられる兵だけ撃てばいいわ。夜も安心して眠れないようにすれば戦うどころではなくなるでしょう?」
無差別狙撃になる可能性があるが、王国軍に敵を追い出してもらうためにはやむをえない。
敵に恐怖を植え付ける。
それが狙撃手だってお母様も言っていた。
「お嬢様のいうようにこの明るさであれば人影はわかります。狙撃は可能かと」
「では無理に建物からの狙撃にこだわる必要もないかもしれません。地面に伏せるだけでもこちらを発見するのは難しいはずです。建物の影も使い敵を狙撃しましょう」
「どこに隠れるかはルーナとリヒャルに先行してもらって考えましょう。私は丘の上からでも狙えると思うわ」
全員が頷く。
作戦は決まった。今日からは夜間狙撃を行う。
*****
「寝る前にトイレにも行けぬのか…」
帝国軍のテントにて司令官である将校が苦々しくつぶやく。
ニホニ占領当初、彼は指揮官用の豪華なテントで仕事をしていたが、今では一般兵用のテントを使っている。
貴族や士官用のテントから出ると何処からともなく撃たれるからだ。
自分が撃たれずにいるのは幸運でしかない。
今では隊長格の人間にも一般兵と同じ格好をするように指示をしている。
ニホニの町で目立つ格好は危険だ。
かつては戦場での士気高揚につながったが、今では死神を呼ぶための目印でしかない。
「陽が落ちてからすでに5名が負傷しました」
連絡兵からの情報にはため息しか出ない。
流石に夜間だからか、今回は将校だけを狙い撃ちにはしておらず、撃たれた兵も即死とはならなかったようだ。
しかし、負傷した兵のほうが扱いに困る。
戦えないが食事などは必要なため、物資は変わらず消費される。
既に150人以上がこの世を去ったが、それとは別に50名以上の負傷者もおり、随時後送しているが、毎日増えている状態だ。
兵の補充は有るもののニホニを制圧し続けるうえで町を破壊しないのは、もはや限界であった。
「せめて兵士が詰めていない建物には火を点けたいところだ」
「第二皇子がお認めにならないでしょう…せっかくあるものをそのまま使いたいと仰られているようです」
副官が答えてくれるが、第二皇子は全く現状を分かっていないと言わざるを得ない。
「このような状態で王国軍に攻められたら反撃など不可能だぞ…」
町中を捜索させているが未だに敵を発見できていない。
帝国の隠密でも動員しないことには被害は増すばかりだが、一度貴重な隠密を投入して返り討ちにあっている。
相手も同程度の手練れだと判断してか、第二皇子が出し渋って首を縦に振らないと連絡が来ている。
折角王国軍を一度撃破したにもかかわらずジリ貧だと司令官は感じていた。
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