スナイパー令嬢戦記〜お母様からもらった"ボルトアクションライフル"が普通のマスケットの倍以上の射程があるんですけど〜

シャチ

文字の大きさ
上 下
50 / 69

50話:ニホニ解放戦1

しおりを挟む
夜間の狙撃は順調であった。
無理に街に入らず丘の上や草陰から狙える兵士を手当たり次第に撃ったおかげか、帝国軍は夜間はむやみに動かなくなった。
昼間に捜索を試みているようだが、私達は拠点に戻っており発見されていない。
そして、王国軍第二騎士団が到着した。
ニホニまで約5kmというところで現在補給などを受けている状態だ。

「ミリア・タリム入ります」
私は第二騎士団の司令官たちに呼び出された。
まぁ現状の報告の為である。
「報告します。帝国軍はニホニの町に陣取り支配状態にあります。
 しかし帝国民はおらず駐留しているのは軍人だけです。
 数はおおよそ1,500ほどに増加しています。
 ただしこれまでに敵指揮官と思われる将校を我々は151名射殺し、100名以上を負傷させております」
「報告有難うタリム子爵令嬢。
 君から見て我が第二騎士団の装備でニホニは解放できると思うか?」
第二騎士団司令官のフォーリンネ侯爵に質問される。
第二騎士団は今までの王国騎士団の装備と違い、かなりの数の銃と大砲を装備していた。
騎兵は少なく、銃を装備した歩兵の数のほうが多い。
きっとお母様の入れ知恵があったに違いなかった。
「勝てると思います。フォーリンネ侯爵は大砲にてニホニの町を砲撃し、そこから銃兵による射撃で敵を撃滅することをお考えなのですよね?」
「そのとおりだ、さらに歩兵たちは交代で射撃する予定だ。タリム家の射撃方法を使う」
つまり、1発撃つ間に弾込めを行うということだろう。
それにしては銃の数が多い気がする。
「2丁では間ができてしまうのでな、3丁体制で絶え間ない射撃を行う予定だ」
つまり絶え間なく射撃を繰り返すということ。
これで、敵を接近させないだろう。
ただ懸念もある。
ニホニだけに帝国兵がいるわけではない。
徒歩でさらに1日向こうに帝国軍本体が待機している状態なのだ。
「帝国軍本体はニホニから北へ1日ほどのところで待機している状態です。
 そのためニホニは迅速な補給がされています」
「その件についても考えている。ニホニから敵をたたき出し、簡易の要塞線としてニホニを使う。
 敵本隊に対して消耗戦を強いる予定だ」
「敵本隊がそのまま撤退した場合はどうされるのですか?」
「その時は歩兵部隊で追撃をかけるだろう。そうなれば帝国軍をアルミナ王国からたたき出すだけだ」
なるほど、今度こそ戦争が終わる可能性が高い。
王国軍は総数2万で来ており、すでに帝国側も気が付いただろう。
向こうはニホニを守るつもりだろうが、こちらはなりふり構わないで攻撃する。
ニホニに城壁が無かったり王国側に開けた土地があるのは、もしもの際に被害を気にせずに攻撃するためだったのかもしれない。
「タリム子爵令嬢、君たちタリム家の斥候には我々本体が攻撃を仕掛ける間に別動隊として今まで通り敵将兵を倒してもらいたい」
「わかりました」
今回は私達も本体と一緒に戦える。
前回は私がいない間に戦場が動いてしまったが今回はそうはさせない。
タリム家の力を見せつける時だ。
私はカーテシーをして司令部テントを後にした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR

ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。 だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。 無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。 人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。 だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。 自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。 殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。

ᚷᚺᛟᛋᛏ ᛁᚾ ᛏᚺᛖ ᚨᚢᛏᛟᛗᚨᛏᛟᚾ

ダグアウトグループ
SF
あなたが生まれる遥か未来 、人類は再建のため機械人間を新人類として宇宙へと送り込んだ。

悪夢なのかやり直しなのか。

田中ボサ
ファンタジー
公爵家嫡男、フリッツ・マルクスは貴族学院の入学式の朝に悪夢を見た。 だが、フリッツは悪夢を真実だと思い、行動を起こす。 叔父の命を救い、病気に侵される母親を救う。 妹の学園生活を悪夢で終わらせないために奔走するフリッツ。 悪夢の中でフリッツは周囲が見えていなかったため、家族や友人を救うことができずにすべてが終わってしまい絶望する。 単なる悪夢だったのか、人生をやり直しているのか、フリッツも周囲もわからないまま、それでも現実を幸せにするように頑張るお話。 ※なろう様でも公開中です(完結済み)

【完結】追放された実は最強道士だった俺、異国の元勇者の美剣女と出会ったことで、皇帝すらも認めるほどまで成り上がる

岡崎 剛柔
ファンタジー
【あらすじ】 「龍信、貴様は今日限りで解雇だ。この屋敷から出ていけ」  孫龍信(そん・りゅうしん)にそう告げたのは、先代当主の弟の孫笑山(そん・しょうざん)だった。  数年前に先代当主とその息子を盗賊団たちの魔の手から救った龍信は、自分の名前と道士であること以外の記憶を無くしていたにもかかわらず、大富豪の孫家の屋敷に食客として迎え入れられていた。  それは人柄だけでなく、常人をはるかに超える武術の腕前ゆえにであった。  ところが先代当主とその息子が事故で亡くなったことにより、龍信はこの屋敷に置いておく理由は無いと新たに当主となった笑山に追放されてしまう。  その後、野良道士となった龍信は異国からきた金毛剣女ことアリシアと出会うことで人生が一変する。  とある目的のためにこの華秦国へとやってきたアリシア。  そんなアリシアの道士としての試験に付き添ったりすることで、龍信はアリシアの正体やこの国に来た理由を知って感銘を受け、その目的を達成させるために龍信はアリシアと一緒に旅をすることを決意する。  またアリシアと出会ったことで龍信も自分の記憶を取り戻し、自分の長剣が普通の剣ではないことと、自分自身もまた普通の人間ではないことを思い出す。  そして龍信とアリシアは旅先で薬士の春花も仲間に加え、様々な人間に感謝されるような行動をする反面、悪意ある人間からの妨害なども受けるが、それらの人物はすべて相応の報いを受けることとなる。  笑山もまた同じだった。  それどころか自分の欲望のために龍信を屋敷から追放した笑山は、落ちぶれるどころか人間として最悪の末路を辿ることとなる。  一方の龍信はアリシアのこの国に来た目的に心から協力することで、巡り巡って皇帝にすらも認められるほど成り上がっていく。

バックホー・ヒーロー!

柚緒駆
ファンタジー
魔法王国サンリーハムを襲う魔竜の群れ。魔法機械『聖天の歯車』によってサンリーハムは東方の海に避難した……はずなのに、出現したのは現代日本、大阪の上空だった! この事態に巻き込まれた根木一平太は、娘留美を守るため、魔竜にバックホー(ユンボ)で立ち向かう。

南洋王国冒険綺譚・ジャスミンの島の物語

猫村まぬる
ファンタジー
海外出張からの帰りに事故に遭い、気づいた時にはどことも知れない南の島で幽閉されていた南洋海(ミナミ ヒロミ)は、年上の少年たち相手にも決してひるまない、誇り高き少女剣士と出会う。現代文明の及ばないこの島は、いったい何なのか。たった一人の肉親である妹・茉莉のいる日本へ帰るため、道筋の見えない冒険の旅が始まる。 (全32章です)

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...