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戦いの終わり

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 操られている派遣神が、こっちに向かって手をかざす。
 その途端、皆んな崩れ落ちる。
「ふふふ、ふははははは!!お前一人で何ができる?」
「………何をしたの?………何をしたのって聞いてるの!!」
「…た………だ、眠ってい……る……だけ…。」
「派遣の神様!!しっかりして!!悪魔には、あまり力が残ってないから、今ならなんとか……」
「うるさい!!お前も逆らえると思うなよ!!」
 悪魔が派遣神を蹴飛ばした。吹き飛んで動かなくなってしまう。
「調子に乗ってる所悪いが死んでもらう!!魔王様ほど魔力があればお前は一捻りだ!!今、謝るなら仲間にしてやってもいいぞ!」
「ぜっ…………………たいに、嫌!!」
「……死ね!!」

 悪魔が何かしようとするが全く痛くも痒くもない。
「あの………、何かしたの?」
「くっ!!!貴様ーーーーー!!!」
「いや、だって。何も感じないから。」
「もぅ許さんぞっ!!!!」
「いや、許さんのはこっちだし!!」
 悪魔が派遣神を立ち上がらせて、何かを言う。
 すると、悪魔の手の中でハルハちゃんがスヤスヤと眠っている。
 悪魔はニヤリと笑ってこっちを見る。
「魔王様、お食事にしませんか?」
 ハルハちゃんを魔王に渡そうとする。
「お前が大人しくしないから、こんな事になったんだぞ!ほら、土下座して謝れ!お前は殺すが、この子は助けてやってもいい。」
 ニタリと笑ってこっちを見る。

 ブチっ…………。

 キレた。

 派遣神と目が合う。今だと思ったのか、派遣神が皆んなを眠りから覚ましてくれたようだ。
 フツフツと怒りがわいて来て止まらない。
 こいつら許さん!!

 魔王が魔力が多いだと?絶対私の方が魔力は多いはずだ!ここ数日で何匹駆除したことか!!しかもあちこちで皆んなを助けまくったから、魔力もプラスされている。だったら負けるわけがない!!
 なんとなくのイメージで魔力を巨大なハンマーに変えて出した。
 魔力のハンマーだからか片手で持てる。そのままぶんぶん振り回しながら魔王の所まで進む。
 振り回した時に出る風圧で悪魔が飛ばされそうになった隙にワーガがハルハちゃんを取り戻すのが見えた。
 もぅ遠慮はいらない………。
「よくも、大切なハルハちゃんを!!!」
「お前みたいな人間に何ができる?我は魔王!!最強の魔…」
 言い終わる前にハンマーで横殴りにした。
 お腹の部分が吹き飛んで、少し小さくなった。
「ぐはっ!!!」
「最強?はっ?最強ってこんなに弱いの?」
 またハンマーを振り下ろす。風圧で悪魔は倒れて、近くの岩にしがみついている。
「ワーガ、そいつの頭から聖水ぶっかけて!!」
 顎で悪魔を指して指示する。
「わかった!!」
 魔王は、また少し小さくなる。
「な、なぜだ……元に戻ら…」
「ギャーーーーーーー!!!!」
 魔王の言葉と悪魔の悲鳴が重なる。
「ワーガ!!足りない!!聖水で塩を濡らしてそいつを埋めて!!」
「……わ、わかった。」
 ワーガが怯えながら言われた通りにする。
 私は怒りに任せてぶんぶんとハンマーを振り回す。
「ギャーーーーー!!!!」
「グワーーー!!やめろ、我は…」
 ブンッ!!なかなか良い音がした。
「ギャーー、や、やめろ!!我が消え…」
 ブンッ!!
「我が…消えても…」
「えいっ!!」
 ずいぶん小さくなった。
「我が…………き、消えても……魔王は……復活す……」
「うるさい!」
 最後は足で踏み潰しておいた。
 さらに靴でグリグリしておく。その上から聖水をどばーーっとかけた。
 振り返ると、ワーガが人型の塩の像を作り上げていた。

 ちょっと掘ってみたけど、塩の中身は溶けて無くなっていた。
 ルイ君がしっかりとハルハちゃんを抱っこしている。

 派遣神を連れてシェアハウスに戻る事にした。
 その前に、念には念を入れ魔王が消えた場所に塩を山にして聖水で固めておいた。悪魔の人型の塩の塊も丁寧に聖水をかけて徹底的に溶かしておいた。さらにその上から踏みつけておいた!!まだまだ足りないけど、どうしようもないから諦めた。
 皆んなの目がジトーーっと私を見てるし……。

 車で山の下まで降りると3バカトリオが心配そうに待っていてくれた。
 魔王が消えた時に魔物も全部消えたようだ。

 ファーナさんに電話してハルハちゃんの無事を伝えると、安心してへたり込んでしまったらしい。急にベビーベットで寝ていたハルハちゃんが消えてパニックになっていたとルイ君のお父さんが電話を代わって教えてくれた。

 シェアハウスに着いたのは夜だったが、ハルハちゃんが可愛そうだとルイ君とダンドンさんとでハルー村に連れて帰ってもらう事にした。
 
 私達は派遣神と、話しをする。
「もぅ、悪魔も魔王もいませんか?」
「大丈夫です。迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。」
「神様に連絡しますか?」
 と聞いた途端にスマホが鳴った。
『陽菜!!よくやった!!!』
「神様、そっちは大丈夫?」
『あぁ、なんとか。悪魔が消えた事で少し落ち着いたぞ。あの悪魔が1番厄介な奴じゃったから、助かった。そちらの世界で力をつけては地球に来て仲間を増やしていたから、こっちはまだまだ油断出来ん状況じゃ!派遣よ、話しを聞かなくてはならない、こちらに強制送還するぞ。いいな?』
「はい、神様。本当に申し訳ありませんでした。陽菜さんも、勝手にこちらに連れて来てしまいすみませんでした。勝手ですが、陽菜さんがこちらに来てくれて本当に良かった……。心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。」
『では、帰って来い。』
 神様の声がした途端に、派遣神が消えた。
『陽菜、そちらの世界には他にも大陸がある。悪魔は地球から行った余所者だが、魔王は元々そちらにしか存在しない。じゃから、あちこちの魔力が溜まった場所から復活する可能性があるんじゃ!まだまだ機械は直りそうにない。派遣のようにわしの力で連れて帰る事も出来ない。どうか、そちらの世界を救ってほしい!!近いうちに必ず、そちらに行く。新しい神も派遣する予定じゃ。どうか、そちらの世界を頼むぞ!』
「……わかった。こっちにも大切な人達が沢山いるから、頑張ります!でも、やっぱり地球には帰りたいな。」
『そうじゃな、本当にすまん!……そうじゃ!少しなら陽菜の力になれる事があるかもしれんぞ!!何か、ないか??』
「うーん………あっ!!出した建物が邪魔になったり作り直したい所があるんだけど、なんとかできない??」
『………また難しい事を……。いらなくなった建物を無くす事はできる。無くすのにも魔力が必要じゃ!その建物を出す時に使った魔力も戻ってこない。それでもいいか?』
「もちろん!!魔力なら恐ろしい桁数になってるから大丈夫!」
『えっ?!…………な、な、な、なんじゃこりゃーーーーー!!!!!』


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