上 下
116 / 185

船旅

しおりを挟む
『は、は、陽菜………。すごいのぉ………。』
「だって、魔王が山程魔物を次々に出してくるから、聖水ぶっかけたり、水鉄砲に聖水入れて撃ったり、ホースで海水撒いたり、虫の駆除剤を大量にばら撒いたりしたからどんどん増えてしまって……。」
『……………は、はははは……。』
「魔王の魔力なんて私の魔力の1パーセントも無かったと思う。」
『………そ、そーじゃな。』
「今から建物を無くす事もできる?」
『あ、あぁ、大丈夫じゃ。陽菜達がいる場所には強い魔物はいなくなった。虫の魔物も少しはいるが前ほどの毒は持っておらんから安心してくれ。魔物も少しはおらんとバランスが崩れるからのぉー。後は頼んだぞ!』
「はーい!」

 その日はあちこちに電話して、それぞれの村に戻っても大丈夫だと伝え私達も疲れていたので早くに寝た。
 朝になり、枯れ果てた山に行き神様に教えてもらったように更地をイメージした。自分が出した建物じゃないから上手く行くかわからないけど、私が出した道路があるからいける気がする!
 パッと目を開けると、山が消えていた!!成功~!!
 一応、何も私の出した物がない山もしてみたがダメだった。トンネルは、トンネルだけ消えた。
 川向こう村とみかん村の間の山が全てなくなったので、道路を出して繋げておいた。
 
 今日は、ハルー村に帰る事にして車でひたすら走った。

 夜になってハルー村に到着して、家でゆっくりする。
 次の日は、朝から魔王がどうなったのかを聞きたい人達に公民館に集まってもらい話した。
 ルイ君やワーガの活躍と、私の容赦ない攻撃に拍手してくれた……。
 なぜかエルフの若い女性が熱心に話しを聞き、質問までしてくるから理由を聞くと、私達の絵本を作るらしい。もぅ1人は小説にするらしい……。
 ルイ君に悪魔の姿や魔王の姿、台詞などを細かく聞いていたし、ワーガに私がどれだけ酷い事をしたかを熱心に聞いていた。さらに、私の動きを再現させたり、これまでしてきた私がキレた時の行動などもキラキラした目で聞いてた……やめて……。
 ダンドンさんにも初めての出会いを聞きに行ったようだ。
 ドーガにも聞いていて、丸坊主にされた事などを遠い目をしながら話していた……。
 もぅ、忘れてください……。

 その日の夜、公民館に私が指名した人達を集めて話しを聞いてもらった。
 この世界には他にも大陸があり、悪魔は復活する事はないが、魔王は復活する可能性があり神様から助けてほしいと言われた事を説明する。
 写真で大きな豪華客船を見せて、これで旅をしようと思うから、一緒に来てほしいと伝える。
 急なので、明日の夕方までに返事をお願いした。

 ワーガとルイ君とでビオラ町の浜の端に大きな船着場を出して、世界一周する豪華客船を出した。
 細々としたものを揃えたり、食料を出したり、大きな植木鉢に果物の木を植えたり、小さな畑を作ったりと夕方まで作業して、今日は近くにシェアハウスを出して泊まる事にした。

 電話で行くかどうかの返事を聞く。
 今回は、ルールのおじいちゃんも来てくれる。ルールとヒュール、ミイナ、ターモもOK。
 リリガと旦那さんと息子さんも来てくれる。
 ファーナさん達も来てくれる。ルイ君とルイ君のお父さんも。
 ワーガとナナガ。キガとラナガも家族で来てくれる。ダンドンさん、3バカトリオ、サーフ君一家。
 後は一緒に来たい人を募集した。

 ゴーガやドーガ、ダイルさんにも来てほしいが、こっちを守ってくれる人も残していかなきゃダメだから、一緒に来たい人達も仕事があまり被らないように考えてもらった。
 やはり若い人達が多く、他の場所も見てみたいそうだ。

 出発は明後日。出来るだけ家族がばらばらにならないようにしてもらう。
 今回はルイ君のお父さんが来てくれるから小さい子を連れた家族も多い。
 たまたま他の村からの人達も集まっていたから、集合するのも楽だった。船に乗らない人達は、それぞれ自分達の村に戻っていく。
 空き家が沢山あるが、毎日それぞれの村で結婚式、出産など家族が増えているから問題ないだろう。
 もし、何年もかかるような事になったら家が足りるかの方が心配だ。
 エルフやドワーフが家を建ててみたいと勉強しているし、リフォームもできるようになりそうだ。帰って来た時に、すごく素敵な村や町になっていたら良いなぁ~!!

 それぞれ別れの挨拶をしたり、荷物をまとめたりしながらあっという間に出発の日になった。
 
 見送りに来てくれた人達に手を振って、船が進んでいく。
 船長は、ルイ君だ。この3日ひたすらDVDで船の操縦を覚えてくれた。他にも5人船の操縦ができるように勉強してもらった。
 
 ハゼドン達は船の食堂で働いてくれるし、ルイ君のお父さんは畑や木の管理、赤ちゃんのお世話など頑張ってくれるそうだ。
 ルールのおじいちゃんは、船医として医務室にいてくれる。ルールとヒュールも一緒にいる。

 皆んなワクワクしながら海を眺めたり船の中を探検したりしていた。

 この船旅で少しはゆっくり出来たら良いなぁ~と思いながら自分の部屋で荷物を片付けたり過ごしやすいようにした。
 それぞれの部屋がかなり広くなっていて、応接セットや簡単なキッチンもある。シャワー室やトイレ、洗面所もついている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界で農業をやろうとしたら雪山に放り出されました。

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界召喚に巻き込まれたサラリーマンが異世界でスローライフ。 女神からアイテム貰って意気揚々と行った先はまさかの雪山でした。 ※当分主人公以外人は出てきません。3か月は確実に出てきません。 修行パートや縛りゲーが好きな方向けです。湿度や温度管理、土のphや連作、肥料までは加味しません。 雪山設定なので害虫も病気もありません。遺伝子組み換えなんかも出てきません。完璧にご都合主義です。魔法チート有りで本格的な農業ではありません。 更新も不定期になります。 ※小説家になろうと同じ内容を公開してます。 週末にまとめて更新致します。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...