いきなり異世界って理不尽だ!

みーか

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襲撃

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 次の日、私は帰る事にする。ワーガが一緒に帰ると言いだし、断ると大泣きして大変だった。
 仕方なく連れて帰る事にする。連れて帰るけど、約束を守ってもらう。私の夜の護衛はいらないし、指定された家で寝る事、仕事を頑張る事。この二つが守れないなら置いていくと言うと、必ず守ると泣きながら縋り付くので仕方ない。

 ルイ君も一緒に帰る。お父さんを毎回1人にしたままだ。ルイ君のお父さんは、野菜作りの名人と言っていいほど上手に作ってくれる。同じ苗なのに他の人とは一回りも大きな野菜が採れる。緑の手の持ち主なんだろうなぁ。植物に愛されているから村の畑から離れられない。
 ワンボックスカーを出してルイ君運転で帰る。
 途中、お昼ご飯を食べたりして、午後1時頃にはハルー村が見えてきた。

 いつもなら村に入ったら仕事中の人が手を振ってくれたりするのだが誰もいない。

 ワーガが、走って見てくるからここで待つように言ってくれる。何かあったのならエンジン音で気付かれたりして不利になったら困る。
 止まってルイ君と待っていたら15分ほどで帰ってきた。

「大変だ!村の人達が食堂に集められていて、沢山のオーガが食堂を取り囲んでいた。」
「えっ?オーガが?ワーガ達の仲間じゃないの?」
「違う。オーガはあまり大きな集団を作らないからあちこちに里があるんだ。それにしても、すごい数のオーガだった。」
「どうしよう……。ワーガ、話し合いが出来そうだった?」
「多分、無理だろう。」
 
 とりあえず、食堂まで行ってみる事にする。
 近くに車を止めて、様子を見る。特に武器を持ったりはしてないけど、オーガの力はすごいから素手でも勝ち目はない。
 ワーガが、話してみると出て行く。

「おい、この村は陽菜様の物だぞ!何をしている?」
「なんだ、お前は?俺達がここを見つけたんだ。」
「俺は、ワーガ。海の近くの里だ。お前達のリーダーと話しがしたい!」
「お前は、この村のリーダーか?」
「違う!この村のリーダーは陽菜様だ!人間だが素晴らしい方だ。この村の人達を大切にしている。今すぐここから出て行ってほしい!」
「ふざけた事を!人間がドワーフやエルフやオーガのリーダーになれるはずないだろう!」
「本当だ!俺達も最近陽菜様によくしてもらって新しい住処を手に入れた。だから、お前達のリーダーと話しをさせてくれ!話せば理解できるはずだ!」
 大声でギャーギャー言い合っていると、大きなオーガが出てくる。
「うるさい!何を騒いでいる!!」
「こいつが、リーダーと話しをさせろと言うんです。」
「俺は海の近くの里のワーガだ。ここは陽菜様の大切な村だ。何をしているんだ?」
「ほー、お前も陽菜と言う人間を知っているんだな?ここに集めた奴らが言っていた名前だ。」
「そうだ。この村を作ったのも、ドワーフやエルフと一緒に暮らす事を決めたのも全て陽菜様だ!」
「そうか。俺達は腹が減っている。だが、ここの奴らは陽菜とか言う人間が帰って来ないと食料を渡せないと言い張る。こんなに沢山の畑があるのに分けられないと言うんだ。」

 なるほど~。持ち出せる分は皆んなオーガの里に持って行ったから、あまり余裕がない。仕方なく出ていく事にした。

「こんにちは。私が陽菜です。あなたのお名前は?」
「おぉ、本当に人間の女じゃないか!俺はここから見える山の中にある5つの里を束ねるリーダーをしているドーガだ。」
「ドーガさんですね。食べ物を渡せば帰ってもらえますか?」
「ふははは、食い物は欲しかったが、ここには畑がある。家もある。俺達の奴隷になるならここに置いてやってもいいが……。嫌なら全て置いて出て行け!!」
 ……ふぅー。またか!!なんで人間を馬鹿にして偉そうにするんだろう。
 私のキレそうな気配を察知して、ワーガが目を輝かせている。

「私の大切な村を奪う気ですか?本当に後悔しませんか?」
「ふははははは!!お前みたいな非力な人間1人に何が出来る??お前のような奴は大人しく従っていればいいんだ!」
 こっちに向かって手を振り上げ、殴ろうとする。ワーガが助けようと足を踏み出したのが見えた。

 プチン!どうやらオーガという生き物は、私を怒らせる天才のようだ。
 まずは催涙スプレーを噴射!そのままスタンガンを出してドーガの首に当てた。
 バタンっと土煙りをあげてドーガが倒れた。
 その上に、馬乗りになって結束バンドで手足を縛る!
 仲間達が助けようとするが、それより早く爆竹に火をつけて放り投げる。
 バンバンとすごい音が響いている。
 その音で目を覚ましたドーガが
暴れようとするので、チューブのワサビを口の中に突っ込んでギューーーと口いっぱいに絞る。
「んんんーーーぁんーわーーー!」
 声にならない悲鳴をあげて涙を流するドーガを見て、仲間も動けなくなる。
「さぁ、あなた達のリーダーを助けたかったら、今すぐ村の人達を外に出して!!」
「うっ、でも……。リーダー!!」
「ぅーーーんーー、ゲホッゴホッ!か、開放……し、してやれ!」
「わ、わかりました!おいっ!早く!!」

 しばらくして、村の皆んなが外に出てきた。皆んな元気そうだ。良かったぁ~。
 最後に出てきたダイルさんの顔が腫れあがっている。ダイルさんを連れているオーガが気まずそうな顔をしている。
「すまない!陽菜!どうする事も出来なくて……。せめてもと思って抵抗したら殴られた。」

 プッツン…………。

「私の、私の、私の、大切な仲間に何してくれてんのよ!!!絶対許さない!!」
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