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51 困った時の王様
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それから、かなりバタバタと忙しかった。
家族を人質に取られていた貴族に改めて話しを聞くと、最初に本当に申し訳なかったと何度も何度も謝られた。家族を助けてくれた事を感謝していると涙を浮かべながら手を握りしめて頭を下げていた。
それから、今のニーン国の現状を聞くと、本当に何も作物が作れず、魔力も残り僅かなのに高級な食材を今まで通りにバンバン出して贅沢三昧。
料理人が、さすがにヤバいと思って、少し節約したら国王がブチ切れたらしい。しかも一品減っただけで……。
こっそりと量を減らしたりと工夫をしているが、もう魔力が残っていないようだ。
『だから、あの兵士も必死なのです。国王にもう食材が尽きる事を知らせても、理解していないようで、城で優遇されていた貴族達は今更、前のような不味い物は食べたくないと怒り出しています。』
『怒っても仕方ないだろうに。』
『そうです。でも空腹で余計イライラしていて……。しかも国王には今までと同じように食事を用意しています。もうそろそろ国王以外の人達は食べる物が無くなっている頃でしょう。それなりに日持ちする物は備蓄されていたのですが、相変わらず食べきれない量を毎食国王に出しています。私達が呼び出された時には、後数日で底をつくと言っていました。』
じゃあ、もうそろそろ何も無い状態になる頃だ。トーマスさんと2人で話して半年ほどは持つように残してきたのに…。気に入らなかったり、食べ切れない料理は捨てていた。それが国王だけじゃなく上流貴族達まで、そんな暮らしをしていたらしい。しかも畑を、作ってくれていた人達も居なくなって食べ物を手に入れる事も難しい状況……絶対にまたアニマ国に来るに違いない!!
「俺、アニマ国の王様に会ってきます!」
「私も一緒に行きます。」
「わかった。知らせを出しておく。トーマスさんも一緒だと伝えておく。」
「よろしく!」
次の日には会える事になり、馬車の迎えが来てトーマスさんと2人で城まで行く。
「よく来てくれた!シオン、無事で本当に良かった!!」
「お久しぶりです。心配かけてごめんなさい。それで、この人は…。」
「初めまして、私はトーマスと申します。」
「話しには聞いていた。我が国の為に尽力してくれてありがとう!!」
「いえ、私にできる事ならば、全力でさせていただきます!私は、シオン君に助けられました。そして、このアニマ国にも助けていただきました。とても感謝しております。」
「俺は、何もしてないよ。トーマスさんが俺を庇って助けてくれたんだ。」
「そうかそうか。ありがとう、トーマス!シオンはこの国に必要な人間なのだ。助けてくれて感謝する。」
「そんな、もったいないお言葉です。」
「とりあえず、座ってくれ。話しがあるのだろう?」
「はい。」
メイトさんと来た時も座った大きなソファーに腰掛けると、お茶とお菓子が運ばれてきた。
「さて、話しを聞こう。」
一口お茶を飲むと王様は、真剣な顔で話しを聞いてくれた。
俺とトーマスさんでニーン国の現状と、ニーン国国王の人柄や、城の兵士の事などを話した。
「そうか……そこまでの状況なのだな……。今まで何度もニーン国へ使者を送り、食料の援助や友好関係を結ぼうと申し出た。しかし、使者は帰って来ず、返事も帰ってこなかった。言葉が通じないからかと思っていたが、それだけではないかもしれんな。」
「とりあえず身分制度が徹底していて、自分達だけが良ければそれで良いと本気で思ってる。国王は自分の子さえ、魔力を搾り取りる道具としか思ってない。今回、ポンタさん達が閉じ込められていた国王の子達も連れ出してくれたけど、ただ生きているだけの状態です。」
「……酷い話しだな。」
「俺は、食料が尽きたら絶対アニマ国に来ると思う。なんでもアリだから、酷い事をされるんじゃないかと心配です。」
「それは、私も同意見です。昨日の事もですが、必死な様子でした。」
「ふむ……どうしたものか。」
家族を人質に取られていた貴族に改めて話しを聞くと、最初に本当に申し訳なかったと何度も何度も謝られた。家族を助けてくれた事を感謝していると涙を浮かべながら手を握りしめて頭を下げていた。
それから、今のニーン国の現状を聞くと、本当に何も作物が作れず、魔力も残り僅かなのに高級な食材を今まで通りにバンバン出して贅沢三昧。
料理人が、さすがにヤバいと思って、少し節約したら国王がブチ切れたらしい。しかも一品減っただけで……。
こっそりと量を減らしたりと工夫をしているが、もう魔力が残っていないようだ。
『だから、あの兵士も必死なのです。国王にもう食材が尽きる事を知らせても、理解していないようで、城で優遇されていた貴族達は今更、前のような不味い物は食べたくないと怒り出しています。』
『怒っても仕方ないだろうに。』
『そうです。でも空腹で余計イライラしていて……。しかも国王には今までと同じように食事を用意しています。もうそろそろ国王以外の人達は食べる物が無くなっている頃でしょう。それなりに日持ちする物は備蓄されていたのですが、相変わらず食べきれない量を毎食国王に出しています。私達が呼び出された時には、後数日で底をつくと言っていました。』
じゃあ、もうそろそろ何も無い状態になる頃だ。トーマスさんと2人で話して半年ほどは持つように残してきたのに…。気に入らなかったり、食べ切れない料理は捨てていた。それが国王だけじゃなく上流貴族達まで、そんな暮らしをしていたらしい。しかも畑を、作ってくれていた人達も居なくなって食べ物を手に入れる事も難しい状況……絶対にまたアニマ国に来るに違いない!!
「俺、アニマ国の王様に会ってきます!」
「私も一緒に行きます。」
「わかった。知らせを出しておく。トーマスさんも一緒だと伝えておく。」
「よろしく!」
次の日には会える事になり、馬車の迎えが来てトーマスさんと2人で城まで行く。
「よく来てくれた!シオン、無事で本当に良かった!!」
「お久しぶりです。心配かけてごめんなさい。それで、この人は…。」
「初めまして、私はトーマスと申します。」
「話しには聞いていた。我が国の為に尽力してくれてありがとう!!」
「いえ、私にできる事ならば、全力でさせていただきます!私は、シオン君に助けられました。そして、このアニマ国にも助けていただきました。とても感謝しております。」
「俺は、何もしてないよ。トーマスさんが俺を庇って助けてくれたんだ。」
「そうかそうか。ありがとう、トーマス!シオンはこの国に必要な人間なのだ。助けてくれて感謝する。」
「そんな、もったいないお言葉です。」
「とりあえず、座ってくれ。話しがあるのだろう?」
「はい。」
メイトさんと来た時も座った大きなソファーに腰掛けると、お茶とお菓子が運ばれてきた。
「さて、話しを聞こう。」
一口お茶を飲むと王様は、真剣な顔で話しを聞いてくれた。
俺とトーマスさんでニーン国の現状と、ニーン国国王の人柄や、城の兵士の事などを話した。
「そうか……そこまでの状況なのだな……。今まで何度もニーン国へ使者を送り、食料の援助や友好関係を結ぼうと申し出た。しかし、使者は帰って来ず、返事も帰ってこなかった。言葉が通じないからかと思っていたが、それだけではないかもしれんな。」
「とりあえず身分制度が徹底していて、自分達だけが良ければそれで良いと本気で思ってる。国王は自分の子さえ、魔力を搾り取りる道具としか思ってない。今回、ポンタさん達が閉じ込められていた国王の子達も連れ出してくれたけど、ただ生きているだけの状態です。」
「……酷い話しだな。」
「俺は、食料が尽きたら絶対アニマ国に来ると思う。なんでもアリだから、酷い事をされるんじゃないかと心配です。」
「それは、私も同意見です。昨日の事もですが、必死な様子でした。」
「ふむ……どうしたものか。」
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