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第一章 二人の旅路
ギルドにて
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A級の討伐対象だった巨大猪を狩った森から離れること数時間、二人は中々の賑わいを見せる港街にやって来ていた。街の入り口は検問しかない質素な作りだが、そこから進んでいくと徐々に建物や人も増え始め、中心にまで来るとメインの大通りにはレンガ作りの商店がの木を連ね、そこここから客引きの声や商人同士の会話の声、子供たちの騒ぐ声が聞こえてくる。
二人の目指すギルドがあるのは大通りの中でも更に賑わう中心地にある。
冒険家─ハンターともいわれる─は様々な職業があるこの世界でも特に需要がある職だとラファエルは思っていた。昨日倒した猪を始め、この世界にはなぜかああいった巨大化した魔物といわれる生物が生息しており、ハンターはそれを倒した報奨金や魔物から得られる素材を換金して生活をしている。
そしてその素材は生活の至る所に活用されている。例えば今二人が来ている服はアルマジロのような巨大生物の皮を加工したものだし、魔物から採取できる油は闇を照らす灯りになる。他にも牙や爪は武器はもちろん丈夫な農具にも、肉は生きる糧へとなった。
様々な用途に使用できる魔物だが、やはり討伐となるとかなりの技術や力を必要とされて並の人間では手も足も出ないどころか殺されてしまうのが関の山だ。ある程度経験があったとしても一瞬の油断が命取りになる。危険を伴うがその分見返りが大きく、そして重宝されるハンターという職はやはり需要があり、民間には花形といって差し支えない働き口だろう。だから王都以外の街では基本的にハンターギルドは一番賑わう箇所に店を構えているのもなんら不思議ではなかった。
「こんにちは、アルフレッドさん。あ、その大きい袋はもしかしてキングボアですか!?」
「そうだ。さすがに全部は持って来れねえから必要な分だけ持ってきた。これ以上量がいるならハンター何人か連れて森に行け。まだ食い散らかされてねえはずだ」
「ふんふん、有益な情報ありがとうございます!それじゃあ早速手配して来るので、お二人は適当なテーブルでお待ちくださーい!」
木製の受付に昨日討ち取った巨大な猪の素材が入った袋を二つ乗せる。それを見た受付担当の小柄で眼鏡を掛けた、一見少年に見える青年は浮き足立った様子で椅子から飛び降りて、ギルドの中で昼間から酒を浴びるように飲んでいるハンターたちに先程アルフレッドが伝えた情報をそのまま持ちかけていた。
その様子ならそう長くは掛からないだろうなとあまり人のいない場所を選んで椅子に座るとアルフレッドはその向かい側に腰掛けた。
「どれくらいになるかな?」
「それなりの額にはなるだろうな。少なくとも今日の宿はいい場所が取れる」
「よっしゃ」
A級の魔物を倒したことでギルド内にいるハンターたちから好奇の目線を向けられても二人は気にする素振りも見せず今日の宿についてあれやこれやと話合っていた。美味い飯が近い場所が良い、酒もいる、装備屋にも近い場所が良い、いいや最優先は風呂だと互いが譲れないポイントを並べていた時、テーブルに影が差した。
ラファエルが視線を上げると、そこにはスキンヘッドで大柄な、いかにもといった風体の男がいて下卑た笑みを向けてラファエルのことを見ていた。
二人の目指すギルドがあるのは大通りの中でも更に賑わう中心地にある。
冒険家─ハンターともいわれる─は様々な職業があるこの世界でも特に需要がある職だとラファエルは思っていた。昨日倒した猪を始め、この世界にはなぜかああいった巨大化した魔物といわれる生物が生息しており、ハンターはそれを倒した報奨金や魔物から得られる素材を換金して生活をしている。
そしてその素材は生活の至る所に活用されている。例えば今二人が来ている服はアルマジロのような巨大生物の皮を加工したものだし、魔物から採取できる油は闇を照らす灯りになる。他にも牙や爪は武器はもちろん丈夫な農具にも、肉は生きる糧へとなった。
様々な用途に使用できる魔物だが、やはり討伐となるとかなりの技術や力を必要とされて並の人間では手も足も出ないどころか殺されてしまうのが関の山だ。ある程度経験があったとしても一瞬の油断が命取りになる。危険を伴うがその分見返りが大きく、そして重宝されるハンターという職はやはり需要があり、民間には花形といって差し支えない働き口だろう。だから王都以外の街では基本的にハンターギルドは一番賑わう箇所に店を構えているのもなんら不思議ではなかった。
「こんにちは、アルフレッドさん。あ、その大きい袋はもしかしてキングボアですか!?」
「そうだ。さすがに全部は持って来れねえから必要な分だけ持ってきた。これ以上量がいるならハンター何人か連れて森に行け。まだ食い散らかされてねえはずだ」
「ふんふん、有益な情報ありがとうございます!それじゃあ早速手配して来るので、お二人は適当なテーブルでお待ちくださーい!」
木製の受付に昨日討ち取った巨大な猪の素材が入った袋を二つ乗せる。それを見た受付担当の小柄で眼鏡を掛けた、一見少年に見える青年は浮き足立った様子で椅子から飛び降りて、ギルドの中で昼間から酒を浴びるように飲んでいるハンターたちに先程アルフレッドが伝えた情報をそのまま持ちかけていた。
その様子ならそう長くは掛からないだろうなとあまり人のいない場所を選んで椅子に座るとアルフレッドはその向かい側に腰掛けた。
「どれくらいになるかな?」
「それなりの額にはなるだろうな。少なくとも今日の宿はいい場所が取れる」
「よっしゃ」
A級の魔物を倒したことでギルド内にいるハンターたちから好奇の目線を向けられても二人は気にする素振りも見せず今日の宿についてあれやこれやと話合っていた。美味い飯が近い場所が良い、酒もいる、装備屋にも近い場所が良い、いいや最優先は風呂だと互いが譲れないポイントを並べていた時、テーブルに影が差した。
ラファエルが視線を上げると、そこにはスキンヘッドで大柄な、いかにもといった風体の男がいて下卑た笑みを向けてラファエルのことを見ていた。
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