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異世界転生

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 「妹を守って、それがお兄ちゃんの役目だから・・・・お願いね。」
 誰に言われたかはもう覚えていない。頭を撫でられながら優しい声で言われたのだけ覚えている。確か・・・遠くで赤子の鳴き声がしていた気がする。場所もあまり思い出せない。ただ寒くて、いつも凍えていた。
 「・・お兄ちゃん。ずっと一緒に居てね。」
 お兄ちゃん・・・って言うことは妹の声。いつ以来だろう、妹の声を聞いたのは。『ずっと一緒に居てね』って言われたのに居られなかった。
 何か覚えている記憶は無いだろうか?
 ・・・・・今は思い出さなくても良いだろう。
 ・・・・・
 ・・・・・
 それよりも先に目の前に広がっている情景をどこなのか考えるのが先な気がする。
 辺りを見渡す。霧でも発生しているのか遠くは見えない。
 『お疲れ様です。』
 後ろから突然声が聞こえた。振り返る前に声の主?が前に来た。
 『貴方は無事、生を終えられました。終えられた原因が知りたいですか?』
 頷くと女の人?は『そうですね・・』と話し始めた。
 『う~ん、あちらの世界では何と言いましたっけ・・・あぁ、そう車です。貴方は車に轢かれてしまったんです。轢かれてしまった原因はですね・・・・妹さん?誰か女の子を助けたんです。勇気あるお方ですね。私の配慮でご褒美をお渡ししましょう。一つは私が選んで、もう一つは貴方に選んでもらいましょう。さぁ、こちらから自由に』
 目の前に何かが出てくる。不思議そうにしていると女の人?が咳払いをして
 『・・説明不足でした。貴方はこれから転生してもらうのです。貴方の世界で言う『異世界転生』です。』
 女の人?は手を広げて言う。
   ・・・異世界転生。・・・・夢にしては壮大だな。
 『夢では無いですよ。今、まさに現実なのです。』
   ・・・・・・
 『そんなに見られたら私照れちゃいます・・・・・ゴホン。話を戻します。貴方は転生するのです。それでこれです。貴方が使いたいスキルを選んでください。それがご褒美です。わかりましたか?』
 顔をグイッとと寄せて言う。頷いたがあまり理解は出来ていなかった。
   この中から何個選んでいいの?
 『好きなだけ、全部でも良いですよ?』
   ・・・これ、これ・・・・
 『貴方・・・適応力半端ないですね・・・貴方が選んでいる間、私暇なので私と意識会話しませんか?』
   意識会話?
 『えぇ、今しているやつです。もしかして無意識ですか?』
   普通に話してると思ってた。
 『貴方、意外と規格外かも知れません。まぁ良いでしょう。自己紹介していなかったので・・初めまして転生の番人です。』
   自己紹介って普通名前言うものじゃないの?
 『私には名乗るなが無いので・・・』
   そうなんだ。
 『貴方の名前は何ですか?』
   名前、名前か・・・
 『お忘れですか?』
   うんん。覚えてる。ただ・・・
 『ただ?』
   自分の名前が嫌いだから。
 『・・・・そう言う人も居るんですね。』
   ・・・提案なんだけど、お互いで名前付け合うのはどう?
 『・・!良いですね。』
   うん。
 喜んでくれたのか手を合わせる音が聞こえた。
 『何が良いですかね。』
   ん?
 『何かありましたか?』
   そういえば君はいつからここの番人をしているの?
 『最近ついたばかりですよ。確か、貴方の世界で言うと千年前ですかね。』
 驚いて振り返ると人差し指を唇に置いて上を見ていた。視線に気付いたのか微笑んだ。
   千年前って・・・じゃあ、これも・・・・・決め終わりました
 『早いですね。では確認させてください。・・・貴方、一つ私に見せないようにブロックしましたね。何ですかこの仕様。違反です。私はここの番人なので簡単に抉じ開けられます。・・・・・・・え、無理?貴方何をしたのですか?』
   ブロックしただけ・・・ほら
 あるスキルを指差した。
 『これは『全部封印』?こんなスキルがあることに私は驚いています。』
   五つにした。
 『五つだけで良いのですか?』
   うん、五つでも結構欲張った方
 『確認します
      ・一つ目『身体強化+武器強化』
        効果:身体の強化と武器と認めた物を使用時攻撃力、身体力を二倍にする。
      ・二つ目『学習知識無限+全語理解可能』
        効果:学習した知識を永久に忘れることがない。全語理解することが出来る。
      ・三つ目『創作自由』
        効果:頭に浮かべた物(食べ物、飲み物以外)を作り出すことができる。また、材料は必要ない。
      ・四つ目『全部封印』
        効果:どんな物でもブロック出来る。解除するにはかけた者が『解除』と言う必要がある。
      ・五つ目『ブロックされています』
        効果:ブロックされています
・・・・・これ解除してくれませんか?』
   まだ、秘密。それで・・・名前・・・
 『そうでした!私が貴方に与える名は・・・・やっぱり貴方のいた世界風の名前がいいですよね。う~ん・・・あ!思い付きました。『キク』とかどうですか?キクは確か花の名前でしたよね?』
   キク・・・うん!いい名前。そうだな。君は『桜』
 『サクラ?』
   そう。君が付けてくれた名前と同じで花の名前。桜の花言葉は『優雅な女性』。どうかな?
 『優雅・・・サクラ・・あ、嬉しいです。あの、ちなみにキクの花言葉は何ですか?』
   確か・・・『高貴』『高潔』。
 『難しいですね。貴方がいた世界の言葉は・・・』
   簡単に言うと『上品な人』かな?確か・・・・
 『なるほど・・・分かりやすいです。・・・・・・いい名前です。・・・さてキク。時間になりました。名前大事にします。異世界楽しんで下さい。では・・・・』
 サクラが何かを唱えると足元が光った。下に落ちて行く。と一緒に・・・
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