76 / 76
-76-
キュートなSF、悪魔な親友
しおりを挟む
「だーかーらー! 何でまだ俺を呼ぶかな!」
玄関を閉めた瞬間、鹿倉が叫ぶように言うから。
ソラが鈴を鳴らしてリビングへと逃げ去った。
「別にいいじゃん、今日志麻さん来ないし」
へらへらと笑いながら田村が鹿倉の手を引いて、リビングの定位置へと促す。
「コクったって、一言で済ますから。来ざるを得んだろーが」
「うん。だからかぐに会いたかった」
「…………でも、フられたっぽくは、なくね?」
田村の表情がふにゃふにゃとふやけているようにしか見えない。
「フられては、いないよー」
その返事を聞いて、鹿倉はため息を吐く。
そして眉根を寄せて。
「確かにゆったよ、前に。ヤってる最中にのろけてもいいって、ゆったよ確かに。けどなあ。俺は前にゆったハズだけど? おまえが志麻さんのモノになったら、もうここには来ないって」
「なってねーもん」
説教するように言った言葉に、田村がちょっと口を尖らせる。
「はい?」
「まだ、俺は志麻さんのモノにはなってないっぽいもん」
「あー……ごめん、ちょっと整理するわ」
「うん」
頷いて、田村が黙る。
「うん、じゃなくて、おまえがちゃんと説明しろっつーの」
「好きってゆったら、志麻さんも俺のこと好きってゆってくれた」
「んじゃ、それでいいじゃん」
「でも。一緒のベッドで寝よって約束だったのに、やっぱソファ行くわってゆわれた」
「それは……やっぱ、ダメってことで?」
「じゃ、ないみたいっぽい」
「ぽいぽい、うるせーな。何だよそれ」
拗ねてるんだか、喜んでいるんだか。
鹿倉には田村のこの表情が読めないから。
「でも。朝、こんなちゃんとした朝ごはん用意してくれるんだったら、毎日でも来たいって」
「……志麻さん、おまえのこと、おかーさんだと思ってる?」
「あー……かなあ?」
こくん、と頷いた田村が。鹿倉を抱きしめて「もーどーしていーか、わかんねー」とぼやいた。
「それはもう、アレだな」
「アレって?」
「おまえが男だって示さないとな」
「え?」
「押し倒してヤっちまえよ」
鹿倉がニヤリと嗤って言った瞬間、田村が頭をはたいていた。
「できるか、ばか!」
「何でだよ。別に、志麻さんおまえのこと好きってゆってんなら、いいじゃん」
「志麻さんのスキは、そんなんじゃないんだってば」
「そりゃそうだろうね」
「え?」
「ま、当たり前なんじゃね? 普通、そうでしょ? だから俺もいっつも志麻さんにスキってゆってるし、志麻さんも俺のことスキって返してくれるんだし」
「でも! だから、そんなこと、できねーし」
「いや、おまえが志麻さんのこと本気で抱きたいなら、もう無理矢理ヤって、俺はこーゆー意味で好きなんだって、わからせるしかないじゃん」
「無理矢理なんかできるわけないじゃん」
「そおか? じゃあ、おまえがヤらせてやりゃいいじゃん」
「違う! そーゆー問題じゃなくて! そんなひどいことできない、ってこと!」
「ひどいことでもねーよ? 少なくとも俺はきもちいいし?」
ニヤリと鹿倉が嗤って目を細めて言う。そのセリフに田村は脱力した。
どこまでが本気の言葉なのか、本当にわからなくて。
また遊ばれたと思うと悔しくなる。
「たーむら」
「かぐ、嫌い」
「拗ねんなよ」
笑いながら、キスをして。
「わかったから。ごめんって」
「かぐ、すぐ俺で遊ぶ」
「だって可愛いし」
「可愛くねーし」
くふくふと笑いながら田村の頭を撫でる。
「可愛いよ、田村は。いつもゆってんじゃん」
不貞腐れて唇を尖らせている田村に、
「俺なんかよりずっとね」と言い聞かせるように。
「志麻さん、混乱してるだけなんだろ? いろいろ、わけわかんねーだけだろうし」
「……混乱、は、してると思う」
「でも、おまえのこと避けるような感じはないし、むしろ受け入れてくれてる感じ?」
今度は珍しく、優しい口調で鹿倉が問いかける。
「わかんないけど、普通に会ってくれてるし、今度また、うちに来てくれるって」
「ん。じゃあ、それでいいじゃん」
ぽん、ぽんと頭を撫でて。
「多分、志麻さんは大丈夫だよ」
「大丈夫って?」
「少なくとも、どんだけ俺が色仕掛けしても欠片も揺るがなかった堀さんよりは、志麻さんのが押し倒せる可能性はあると思うよ」
「……やっぱ、堀さんのことオとそうとしてたんじゃん!」
田村が言うと、鹿倉がふひゃひゃひゃと爆笑した。
「ま、それは置いといて」
「置いとけることかよ?」
「志麻さんね、ゆっくりゆっくり口説いたら多分、オちるよ、きっと。ま、勘だけど」
「……それってどこまで信じれんのさ?」
「それなー。でも、まあ。口説いてくのに時間かけてくれると、それだけ俺が田村のこと楽しめるから、ありがたいっちゃーありがたいんだよね」
鹿倉がぽすん、と田村を押し倒す。
「いつまでおまえが俺で勃ってくれんのかわかんねーけど、少なくとも志麻さんがおまえのこと抱いてくれるようになるまではさ、俺がおまえのこと美味しく頂いてやるぜ?」
鹿倉の悪魔な笑顔が、田村の下半身を直撃する。
「……ほんっとに、何で俺、おまえには反応すんのかなあ」
「付き合い長いからねえ。条件反射、的な?」
「でも、志麻さんが好きなんだけど」
「俺も志麻さんが好きー」
「…………」
「いつか、俺にも志麻さん味わえる日が来るといいなー」
「そんな日は来ない!」
玄関を閉めた瞬間、鹿倉が叫ぶように言うから。
ソラが鈴を鳴らしてリビングへと逃げ去った。
「別にいいじゃん、今日志麻さん来ないし」
へらへらと笑いながら田村が鹿倉の手を引いて、リビングの定位置へと促す。
「コクったって、一言で済ますから。来ざるを得んだろーが」
「うん。だからかぐに会いたかった」
「…………でも、フられたっぽくは、なくね?」
田村の表情がふにゃふにゃとふやけているようにしか見えない。
「フられては、いないよー」
その返事を聞いて、鹿倉はため息を吐く。
そして眉根を寄せて。
「確かにゆったよ、前に。ヤってる最中にのろけてもいいって、ゆったよ確かに。けどなあ。俺は前にゆったハズだけど? おまえが志麻さんのモノになったら、もうここには来ないって」
「なってねーもん」
説教するように言った言葉に、田村がちょっと口を尖らせる。
「はい?」
「まだ、俺は志麻さんのモノにはなってないっぽいもん」
「あー……ごめん、ちょっと整理するわ」
「うん」
頷いて、田村が黙る。
「うん、じゃなくて、おまえがちゃんと説明しろっつーの」
「好きってゆったら、志麻さんも俺のこと好きってゆってくれた」
「んじゃ、それでいいじゃん」
「でも。一緒のベッドで寝よって約束だったのに、やっぱソファ行くわってゆわれた」
「それは……やっぱ、ダメってことで?」
「じゃ、ないみたいっぽい」
「ぽいぽい、うるせーな。何だよそれ」
拗ねてるんだか、喜んでいるんだか。
鹿倉には田村のこの表情が読めないから。
「でも。朝、こんなちゃんとした朝ごはん用意してくれるんだったら、毎日でも来たいって」
「……志麻さん、おまえのこと、おかーさんだと思ってる?」
「あー……かなあ?」
こくん、と頷いた田村が。鹿倉を抱きしめて「もーどーしていーか、わかんねー」とぼやいた。
「それはもう、アレだな」
「アレって?」
「おまえが男だって示さないとな」
「え?」
「押し倒してヤっちまえよ」
鹿倉がニヤリと嗤って言った瞬間、田村が頭をはたいていた。
「できるか、ばか!」
「何でだよ。別に、志麻さんおまえのこと好きってゆってんなら、いいじゃん」
「志麻さんのスキは、そんなんじゃないんだってば」
「そりゃそうだろうね」
「え?」
「ま、当たり前なんじゃね? 普通、そうでしょ? だから俺もいっつも志麻さんにスキってゆってるし、志麻さんも俺のことスキって返してくれるんだし」
「でも! だから、そんなこと、できねーし」
「いや、おまえが志麻さんのこと本気で抱きたいなら、もう無理矢理ヤって、俺はこーゆー意味で好きなんだって、わからせるしかないじゃん」
「無理矢理なんかできるわけないじゃん」
「そおか? じゃあ、おまえがヤらせてやりゃいいじゃん」
「違う! そーゆー問題じゃなくて! そんなひどいことできない、ってこと!」
「ひどいことでもねーよ? 少なくとも俺はきもちいいし?」
ニヤリと鹿倉が嗤って目を細めて言う。そのセリフに田村は脱力した。
どこまでが本気の言葉なのか、本当にわからなくて。
また遊ばれたと思うと悔しくなる。
「たーむら」
「かぐ、嫌い」
「拗ねんなよ」
笑いながら、キスをして。
「わかったから。ごめんって」
「かぐ、すぐ俺で遊ぶ」
「だって可愛いし」
「可愛くねーし」
くふくふと笑いながら田村の頭を撫でる。
「可愛いよ、田村は。いつもゆってんじゃん」
不貞腐れて唇を尖らせている田村に、
「俺なんかよりずっとね」と言い聞かせるように。
「志麻さん、混乱してるだけなんだろ? いろいろ、わけわかんねーだけだろうし」
「……混乱、は、してると思う」
「でも、おまえのこと避けるような感じはないし、むしろ受け入れてくれてる感じ?」
今度は珍しく、優しい口調で鹿倉が問いかける。
「わかんないけど、普通に会ってくれてるし、今度また、うちに来てくれるって」
「ん。じゃあ、それでいいじゃん」
ぽん、ぽんと頭を撫でて。
「多分、志麻さんは大丈夫だよ」
「大丈夫って?」
「少なくとも、どんだけ俺が色仕掛けしても欠片も揺るがなかった堀さんよりは、志麻さんのが押し倒せる可能性はあると思うよ」
「……やっぱ、堀さんのことオとそうとしてたんじゃん!」
田村が言うと、鹿倉がふひゃひゃひゃと爆笑した。
「ま、それは置いといて」
「置いとけることかよ?」
「志麻さんね、ゆっくりゆっくり口説いたら多分、オちるよ、きっと。ま、勘だけど」
「……それってどこまで信じれんのさ?」
「それなー。でも、まあ。口説いてくのに時間かけてくれると、それだけ俺が田村のこと楽しめるから、ありがたいっちゃーありがたいんだよね」
鹿倉がぽすん、と田村を押し倒す。
「いつまでおまえが俺で勃ってくれんのかわかんねーけど、少なくとも志麻さんがおまえのこと抱いてくれるようになるまではさ、俺がおまえのこと美味しく頂いてやるぜ?」
鹿倉の悪魔な笑顔が、田村の下半身を直撃する。
「……ほんっとに、何で俺、おまえには反応すんのかなあ」
「付き合い長いからねえ。条件反射、的な?」
「でも、志麻さんが好きなんだけど」
「俺も志麻さんが好きー」
「…………」
「いつか、俺にも志麻さん味わえる日が来るといいなー」
「そんな日は来ない!」
0
お気に入りに追加
29
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
読んで頂けてすっごい嬉しいです。
ありがとうございます。
この二人については過去編を書きかけてます。
また良かったらよろしくお願いします。