キュートなSF、悪魔な親友

月那

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キュートなSF、悪魔な親友

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「だーかーらー! 何でまだ俺を呼ぶかな!」
 玄関を閉めた瞬間、鹿倉が叫ぶように言うから。
 ソラが鈴を鳴らしてリビングへと逃げ去った。
「別にいいじゃん、今日志麻さん来ないし」
 へらへらと笑いながら田村が鹿倉の手を引いて、リビングの定位置へと促す。
「コクったって、一言で済ますから。来ざるを得んだろーが」
「うん。だからかぐに会いたかった」
「…………でも、フられたっぽくは、なくね?」
 田村の表情がふにゃふにゃとふやけているようにしか見えない。
「フられては、いないよー」
 その返事を聞いて、鹿倉はため息を吐く。
 そして眉根を寄せて。
「確かにゆったよ、前に。ヤってる最中にのろけてもいいって、ゆったよ確かに。けどなあ。俺は前にゆったハズだけど? おまえが志麻さんのモノになったら、もうここには来ないって」
「なってねーもん」
 説教するように言った言葉に、田村がちょっと口を尖らせる。
「はい?」
「まだ、俺は志麻さんのモノにはなってないっぽいもん」
「あー……ごめん、ちょっと整理するわ」
「うん」
 頷いて、田村が黙る。
「うん、じゃなくて、おまえがちゃんと説明しろっつーの」
「好きってゆったら、志麻さんも俺のこと好きってゆってくれた」
「んじゃ、それでいいじゃん」
「でも。一緒のベッドで寝よって約束だったのに、やっぱソファ行くわってゆわれた」
「それは……やっぱ、ダメってことで?」
「じゃ、ないみたいっぽい」
「ぽいぽい、うるせーな。何だよそれ」
 拗ねてるんだか、喜んでいるんだか。
 鹿倉には田村のこの表情が読めないから。
「でも。朝、こんなちゃんとした朝ごはん用意してくれるんだったら、毎日でも来たいって」
「……志麻さん、おまえのこと、おかーさんだと思ってる?」
「あー……かなあ?」
 こくん、と頷いた田村が。鹿倉を抱きしめて「もーどーしていーか、わかんねー」とぼやいた。
「それはもう、アレだな」
「アレって?」
「おまえが男だって示さないとな」
「え?」
「押し倒してヤっちまえよ」
 鹿倉がニヤリと嗤って言った瞬間、田村が頭をはたいていた。
「できるか、ばか!」
「何でだよ。別に、志麻さんおまえのこと好きってゆってんなら、いいじゃん」
「志麻さんのスキは、そんなんじゃないんだってば」
「そりゃそうだろうね」
「え?」
「ま、当たり前なんじゃね? 普通、そうでしょ? だから俺もいっつも志麻さんにスキってゆってるし、志麻さんも俺のことスキって返してくれるんだし」
「でも! だから、そんなこと、できねーし」
「いや、おまえが志麻さんのこと本気で抱きたいなら、もう無理矢理ヤって、俺はこーゆー意味で好きなんだって、わからせるしかないじゃん」
「無理矢理なんかできるわけないじゃん」
「そおか? じゃあ、おまえがヤらせてやりゃいいじゃん」
「違う! そーゆー問題じゃなくて! そんなひどいことできない、ってこと!」
「ひどいことでもねーよ? 少なくとも俺はきもちいいし?」
 ニヤリと鹿倉が嗤って目を細めて言う。そのセリフに田村は脱力した。
 どこまでが本気の言葉なのか、本当にわからなくて。
 また遊ばれたと思うと悔しくなる。
「たーむら」
「かぐ、嫌い」
「拗ねんなよ」
 笑いながら、キスをして。
「わかったから。ごめんって」
「かぐ、すぐ俺で遊ぶ」
「だって可愛いし」
「可愛くねーし」
 くふくふと笑いながら田村の頭を撫でる。
「可愛いよ、田村は。いつもゆってんじゃん」
 不貞腐れて唇を尖らせている田村に、
「俺なんかよりずっとね」と言い聞かせるように。
「志麻さん、混乱してるだけなんだろ? いろいろ、わけわかんねーだけだろうし」
「……混乱、は、してると思う」
「でも、おまえのこと避けるような感じはないし、むしろ受け入れてくれてる感じ?」
 今度は珍しく、優しい口調で鹿倉が問いかける。
「わかんないけど、普通に会ってくれてるし、今度また、うちに来てくれるって」
「ん。じゃあ、それでいいじゃん」
 ぽん、ぽんと頭を撫でて。
「多分、志麻さんは大丈夫だよ」
「大丈夫って?」
「少なくとも、どんだけ俺が色仕掛けしても欠片も揺るがなかった堀さんよりは、志麻さんのが押し倒せる可能性はあると思うよ」
「……やっぱ、堀さんのことオとそうとしてたんじゃん!」
 田村が言うと、鹿倉がふひゃひゃひゃと爆笑した。
「ま、それは置いといて」
「置いとけることかよ?」
「志麻さんね、ゆっくりゆっくり口説いたら多分、オちるよ、きっと。ま、勘だけど」
「……それってどこまで信じれんのさ?」
「それなー。でも、まあ。口説いてくのに時間かけてくれると、それだけ俺が田村のこと楽しめるから、ありがたいっちゃーありがたいんだよね」
 鹿倉がぽすん、と田村を押し倒す。
「いつまでおまえが俺で勃ってくれんのかわかんねーけど、少なくとも志麻さんがおまえのこと抱いてくれるようになるまではさ、俺がおまえのこと美味しく頂いてやるぜ?」
 鹿倉の悪魔な笑顔が、田村の下半身を直撃する。
「……ほんっとに、何で俺、おまえには反応すんのかなあ」
「付き合い長いからねえ。条件反射、的な?」
「でも、志麻さんが好きなんだけど」
「俺も志麻さんが好きー」
「…………」
「いつか、俺にも志麻さん味わえる日が来るといいなー」
「そんな日は来ない!」
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感想 1

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みんなの感想(1件)

kuroneko
2021.09.10 kuroneko
ネタバレ含む
2021.09.10 月那

読んで頂けてすっごい嬉しいです。
ありがとうございます。

この二人については過去編を書きかけてます。
また良かったらよろしくお願いします。

解除

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