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学校の怪
第41話:光の道
しおりを挟む授業を抜け出し、校舎の裏にある慰霊碑の近くまで来た。あとは、あたしが直接慰霊碑の石に触れれば橙色の光……阿志芭さんの力で浄化が出来る。
でも、なんだかすっごく怖いんだけど!?
昼間だというのに、この辺り一帯だけ暗くてひんやりしてる。それに、なんだか動きづらい。空気が重いというか粘ついてるというか。とにかく普通に動くのが難しい。
慰霊碑まで僅か五メートル。
その距離が果てしなく遠く感じる。
行くしかないのに、黒い靄が怖くて足が動かない。対峙しているだけで震えが止まらない。縁結びの祠や神社の時より恐ろしく感じるのは何故だろう。
『ここで惨殺された動物たちの怨念が近隣の動物霊を呼び寄せ、かなりの数になっている。数百、いや、千を超える魂がここに集まっておるようだ』
せ、千!!?
それは予想をはるかに上回る大群だね!
だからこんなに怖いのかな。
『チッ、めんどくせぇ。コイツらの拠り所はこの慰霊碑だ。粉砕してやりゃあ散るだろうよ!!』
「だ、ダメだってば!」
痺れを切らした紫色の光……螺圡我さんが地割れを起こそうとしたので止めた。授業中とはいえ、大きな音を立てれば誰かが様子を見に来る。もし見つかったら面倒なことになっちゃう。
となると、炎や氷といった直接攻撃するような方法は取れない。やっぱり直接慰霊碑に触りに行かなくちゃ。そしたら何とかなる。
「こ、怖いけど頑張って近付くから、あとはよろしくね」
橙色の光に声を掛けてから、あたしは足を前に踏み出した。一歩進むごとに黒い靄が身体にまとわりついてくる。そして、その靄に触れた瞬間、動物たちの記憶が頭の中に入り込んできた。
生徒たちに撫でられたり、ごはんを貰ったり、仲間たちと身体を寄せ合って眠ったり。嬉しかった時の記憶から場面が突然切り替わる。
夜中に小屋の外に引き摺り出され、石を投げつけられたり、ライターの火で炙られたり、他にも酷いことをたくさんされている情景が直接頭に浮かぶ。
動物たちの目から見た犯人たちは大きくて恐ろしい姿をしていた。彼らにとっては単なる暇潰しの遊びだったのかもしれない。でも、これはあんまりだよ。
犯人たちに怒りを覚える。お腹の奥底から湧き出してくるどす黒い感情に乗っ取られそうになる。
痛い。
苦しい。
憎い。
許せない。
怒りと悲しみが体内を駆け巡り、捌け口を求めて暴れまわっている。
悪い方へ、悪い方へと引っ張られそうになったあたしの目に七つの光が映った。真っ暗な靄の中で、この光だけが輝いて見えた。慰霊碑まで導くように、ひとつひとつ並んでいる。
御水振さんたちがいなかったら、あたしの意識なんて簡単に乗っ取られてしまっていただろう。負の感情に流されそうになりながらも、なんとか自我を保っていられるのは、みんなが支えてくれているからだ。
そして、こんな記憶をずっと抱いたままの動物たちが可哀想に思えてきた。
このままここに居ても悲しいだけ。
だったら、もうここから解放されてほしい。
いつのまにか慰霊碑のすぐ前にいた。
──次に生まれ変わったら
今度こそ幸せになれますように
そんな思いをこめて慰霊碑を抱き締める。
あたしの身体が触れた部分から阿志芭さんが力を流し、まず慰霊碑自体を浄化した。次に、キラキラと輝く光で辺りを照らし、黒い靄を散らせていった。
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