【完結】別れを告げたら監禁生活!?

みやこ嬢

文字の大きさ
25 / 36

25話・対決開始

しおりを挟む


 問題は何ひとつ片付いておりません。

 リオン様が私をどう思っていようが、我がヴィルジーネ伯爵家に婿入りしていただけないのなら婚約解消。これは決定事項です。どうしても私と結婚したいと仰るのなら、出奔したアルド様に戻っていただくしかありません。

 その辺を理解しているのかと問えば、リオン様は一応考えているとのこと。騎士団の仕事の合間に色々と動いていらっしゃるようです。だから帰りが遅い日がありましたのね。






「アルド様まだ見つかってないんだ~」

 次の週末、いつものようにコニスとアリエラが別邸に遊びに来てくれました。お茶を飲みながら情報交換に勤しみます。

「捜索状況聞いてないの?」
「全然」

 正直、リオン様からアルド様の行方に関する話は聞いておりません。何度か尋ねてはみたのですが「気にするな」の一点張り。私に話したところで状況が変わるわけではありませんものね。でも、アルド様が見つかるか見つからないかで私たちの今後が決まるのですから、部外者扱いしないでほしいとは思います。

「そういえば、ちょっとおかしいのよね」

 アリエラはちらりと周りを見回し、近くに誰もいないことを確認してから口を開きます。

「アルド様の捜索をしているのはカレイラ侯爵家の私兵ばかりで、ネレイデット侯爵家はほとんど動いていないのよ。いえ、動いてはいるのだけど、一見関係のなさそうなことばかり調べているの」
「どういうこと?」

 意味が分からず問い返すと、アリエラは更に言葉を続けました。

「普通人探しをするなら潜伏できそうな場所を探すでしょう? 知人の屋敷や別荘、宿泊施設、あとは乗り合い馬車とか検問所とか。でも、ネレイデット侯爵家は何故か商業店ばかりに聞き込みをしているらしいの。とても人探しとは思えないわ」

 その話が真実なら、ネレイデット侯爵家はアルド様を探していないことになります。跡継ぎが姿を消したのに探さないなんてことが有り得るのでしょうか。

「もしかして、アルド様の居場所を既に知っているとか?」
「うーん……」

 コニスの言葉に頭を悩ませていると、不意に、外から複数の馬のいななきが聞こえてきました。

 慌てて窓に張り付くと、別邸の門から四頭引きの立派な馬車が駆け込んでくるところでした。馬車の側面にはこれ見よがしに大きな紋章があしらわれております。

「あれは、カレイラ侯爵家の……」

 私たち三人はあの紋章に見覚えがありました。何故なら、グレース様のありとあらゆる持ち物に刻み込まれているからです。貴族学院に通っていれば嫌でも視界に入り、記憶に残ります。

 馬車が止まり、すぐさま馭者が踏み台を用意しました。そして恭しく頭を下げながら扉を開きます。

「こちらにいるのは分かっていてよ、フラウ!」

 姿を現したのは、やはりグレース様でした。彼女は地面に降り立つなり、別邸の建物に向かって大きな声で私の名を呼んでおります。
 彼女のそばにはデュモン様の姿もあり、更に十数人の武装した男たちが別邸を取り囲みました。もし私が呼び掛けに応じねば踏み込むつもりなのでしょう。

「どうするの? フラウ」
「私は逃げも隠れもしませんわ」
「でも、相手はあのグレース様よ?」

 二階の窓からグレース様を見下ろす私の左右にコニスとアリエラが寄り添います。
 グレース様が乗り込んでくることは、デュモン様に居場所が知られた時点で分かっていました。逆に、あれから数日も間が空くとは。その日のうちに殴り込みに来るのではないかと予想しておりましたのに。

 客室を出て階下に降り、外へと出ます。コニスとアリエラも付いてきてくれました。巻き込みたくはありませんが、味方がそばにいてくれるだけで嬉しく思います。手足が震えずに済んでいるのは二人のおかげですわ。

「素直に出てきたわね、フラウ」
「私に何の御用ですか、グレース様」

 玄関ポーチを出たところで向かい合って立ち、睨み合いに……とは言え、私は弱小貴族の娘。グレース様に逆らうことはできません。

 さて、どうしましょうか。

しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです

大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。 「俺は子どもみたいな女は好きではない」 ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。 ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。 ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。 何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!? 貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。

1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。

尾道小町
恋愛
登場人物紹介 ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢  17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。 ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。 シェーン・ロングベルク公爵 25歳 結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。 ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳 優秀でシェーンに、こき使われている。 コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳 ヴィヴィアンの幼馴染み。 アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳 シェーンの元婚約者。 ルーク・ダルシュール侯爵25歳 嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。 ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。 ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。 この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。 ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳 ロミオ王太子殿下の婚約者。 ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳 私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。 一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。 正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

勘違い令嬢の離縁大作戦!~旦那様、愛する人(♂)とどうかお幸せに~

藤 ゆみ子
恋愛
 グラーツ公爵家に嫁いたティアは、夫のシオンとは白い結婚を貫いてきた。  それは、シオンには幼馴染で騎士団長であるクラウドという愛する人がいるから。  二人の尊い関係を眺めることが生きがいになっていたティアは、この結婚生活に満足していた。  けれど、シオンの父が亡くなり、公爵家を継いだことをきっかけに離縁することを決意する。  親に決められた好きでもない相手ではなく、愛する人と一緒になったほうがいいと。  だが、それはティアの大きな勘違いだった。  シオンは、ティアを溺愛していた。  溺愛するあまり、手を出すこともできず、距離があった。  そしてシオンもまた、勘違いをしていた。  ティアは、自分ではなくクラウドが好きなのだと。  絶対に振り向かせると決意しながらも、好きになってもらうまでは手を出さないと決めている。  紳士的に振舞おうとするあまり、ティアの勘違いを助長させていた。    そして、ティアの離縁大作戦によって、二人の関係は少しずつ変化していく。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています

腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。 「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」 そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった! 今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。 冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。 彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――

処理中です...