【完結】魔王を倒して元の世界に帰還した勇者パーティーの魔法使い♂が持て余した魔力を消費するために仲間の僧侶♂を頼ったら酷い目に遭っちゃった話

みやこ嬢

文字の大きさ
80 / 110
第11章 向き合う覚悟

79話・魔法使いの後悔

しおりを挟む


 客室の床に敷かれた絨毯の上。創吾そうご諒真りょうまを仰向けに転がし、馬乗りになって押さえ付けた。

 我慢することを放棄した今、創吾の心は晴れやかだった。あんなに苦しんでいたことが嘘のように気持ちが軽い。目の前の諒真は苦しそうに眉間に皺を寄せている。涙目で睨まれると高揚した。ずっとこうしたかったのだ。背筋がゾクゾクと痺れるような感覚。血が沸き立つほどに興奮している。

「本当に馬鹿らしい。さっきまでの自分が嫌になります。さっさとこうしておけば良かった」
「ちょ、何を……」

 馬乗り状態のまま諒真の腰に手を這わせ、そのまま服の裾を捲って直に触れる。冷えた指先に温かな体温が伝わり、創吾は恍惚の表情で溜め息をもらした。

「あは、触ってるだけなのに気持ちいい。もっと触れたらどうなってしまうのかな」
「離せッ、おまえどこ触ってんだ」
「まだお腹と胸元だけですよ」

 諒真の両手は拘束されてはいないが、何故かぴくりとも動かせない。見えない何かで床に縫い付けられているようだった。創吾の右手は相変わらず喉元を押さえつけている。例えこの手が退かされても諒真は自由に動けないだろう。

「脱がすの面倒だなぁ。破ってもいいですか?」
「良いワケないだろ!」
「あ、すみません破れちゃいました」

 今までも何度かこうして触られることはあった。元の世界では魔力を発散させるための手段として。異世界に再召喚されてからは、様子がおかしくなる直前に少しだけ。
 どちらも諒真が本気で嫌がれば中断していた。

 でも、今は違う。
 会話は出来るのに、創吾は諒真の意思を無視している。手を止める気配はない。熱に浮かされたように笑いながら、動けない諒真の身体を好き勝手に触りまくっている。

「っあ、」

 とうとう上半身が露わになった。
 晩餐会に参加するため普段着よりかっちりとした衣服を着込んでいたというのに、全て切り裂かれ、引き千切られている。素肌に舌が這い、強く吸われる度に身体が跳ねる。諒真は僅かな身動ぎしか許されない状態で、されるがままになっていた。

「やめてくれ創吾」
「嫌です」

 喉元を押さえていた手が外れ、馬乗りになっていた創吾が上から退いた。それでも身体は起こせない。やはり魔法で動きを封じられている、と諒真は確信した。涙が目の端からこぼれ、絨毯を濡らしていく。
 その様子を心底嬉しそうに見下ろしながら、創吾は諒真のベルトに手を掛け、金具を外した。

「創吾」
「なんです?」

 鼻唄でも歌い出しそうな上機嫌な顔で聞き返すが、手は動いている。何を言っても止める気配はない。

 創吾は変わってしまった。
 その変化が諒真には悲しかった。
 冷静で思慮深く、支えてくれる存在。
 一番年上の彼に甘え過ぎていた。
 彼こそ支えてやるべきだった。

 後悔の念が諒真の心を埋め尽くしていく。

「ごめん、ごめん創吾」

 ボロボロと涙をこぼしながら、諒真は震える声で謝罪の言葉を繰り返した。流石に様子がおかしいと気付いたか、創吾が怪訝そうに首を傾げる。

「オレが頼りないせいで、こんな真似までさせてごめん」

 魔法の拘束は正しく魔力を操作すれば外せる。異世界最強の魔法使いである諒真には容易いこと。魔力の流れを解析し、無効化するまでに多少時間は掛かったが、諒真は自力で拘束を解いた。
 絨毯の上に転がされたまま、腕を上げ、手のひらを創吾に向ける。

「諒真くん、何を」
「──

 トラウマのせいで人に向けて発動出来なくなっていたはずの攻撃魔法。魔王城跡で『呪いの核』を破壊した時のように強力な魔法を短剣ほどの小さな一本の杭に変換し、超至近距離から放つ。
 普段なら簡単に防げる攻撃だが、欲望に突き動かされていた創吾は冷静さを欠き、結果反応が遅れた。

 諒真の放った杭は創吾の脇腹に深々と突き刺さり、鮮血が散った。
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない

綿毛ぽぽ
BL
 アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。 ━━━━━━━━━━━ 現役人気アイドル×脱落モブ男 表紙はくま様からお借りしました https://www.pixiv.net/artworks/84182395

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

処理中です...