【R18】転生先は男女比１：３０の貞操逆転世界～ビッチを夢見る三十路の魂～

『ＧＷ編・三日目夜：帰り道の暗がりで（１）』

『ＧＷ編・三日目夜：帰り道の暗がりで（１）』

満員電車でラッキースケベ大作戦を見事に失敗したオレは、そのまま目的もなく駅前商店街に遊びに行き、服を見たり雑貨を見たり例のアダルトショップを冷かしたりとダラダラと過ごした。

時間もほどよく夕食の頃合いになり、お弁当やら総菜などを目当てにスーパーへ向かう。

一人暮らしだから料理ができる？　というのは偏見だ。

閉店間際になれば値引きシールを張るスーパーもあれば２４時間営業のコンビニもある。

一人分の食事をわざわざ材料から買って作るメリットをオレは感じない。

調理や片付けなどの時間と天秤にかけての個人的な意見だ。

栄養価が偏るうんぬんもわからない事もないが、乳児や幼児ならともかく、ある程度は出来上がっている高校生の体でそこまで神経質になることもないだろう。

もちろん、料理が趣味というなら話は別だ。

オレだって料理はできないよりはできる方がいいに決まっていると思う。

だが実際にやるかやらないかとなると、先ほどの意見になってしまうというだけだ。

ちなみに手料理を男に食べさせるというのは、この世界の女性のあこがれの一種であるらしく得意な女性が多いそうだが、実際にその腕を披露する機会は非常に少ない。

その上でさらに料理を褒められるなどまずありえないレベルのイベントなので、夏木さんや冬原先生がオレとの食事がらみで過度に喜ぶのもそのあたりが原因だ。

それはともかく。

２０％引きや半額シールが張られた食料品の入った袋を片手にさげてスーパーを出たころには、だいぶ陽が傾いていた。

あまり暗くならないうちに帰るかと思っていると、少し離れた場所から声をかけられた。

「うん？　宮城か？」

振り返れば、冬原先生と他にも二人の先生が一緒に立っていた。

「あれ、先生たち？　こんなところでどうしたんですか？」

同僚と商店街でお買い物、という雰囲気ではない。

なぜなら先生はいつもの見慣れた恰好だ。

いくらなんでもこの赤ジャージで買い物にはいかないだろう。

他の先生も直接お世話になった事はないが、各学年の生活指導の先生方だったはずだ。

「どうしたも何もお前。連休前のホームルームで言っただろう。最近、この付近に変質者が出没しているから、男子生徒はあまり遅くに駅周辺をうろつくな、と」

……あー、それでこのメンバーと。

なんかそんな話もあったような気がするが、話を聞いていた時は、なんならどんと来いと思っていたぐらいなのでまったく気にも留めていなかった。

先生方は全員が腕に『防犯巡回中』という腕章をつけている。

「いいか、宮城。あまり遅くならないうちに帰れ。春先とはいえ日も暮れて始めてる。すぐに暗くなるぞ」

その別れ際、明日は金曜日だ、わかってるなと耳元で言われたので笑ってうなずく。