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ツインテールは恥ずかしい
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それならまあいいか、とマリアローゼは首を飾る宝石を決定して、服の横に並べて置いた。
次はティアラも一応選んでおく。
ダイヤモンドらしき透明なキラキラした宝石と、赤い宝石が散りばめられた物を選び、指輪も赤い宝石の物を選ぶ。
そこへ、ルーナとユリアが連れ立って戻ってきた。
「まずはお着替えを致しましょう」
ルーナが、着替えのドレスを持ち、促されるままマリアローゼは着せられていく。
アクセサリーも付け終えて、鏡台の前に座ると、ルーナが髪を梳かして結い上げていく。
「あら……こ…これは……」
ツインテール。
前世では全くもって馴染みの無かった髪型である。
ちょっと恥ずかしい部類の髪型に、マリアローゼの中では分類されていた。
だが、鏡の中の幼女に似合わないということはない。
恥ずかしさは残るが、口を噤む。
高く結い上げた髪に、ドレスと同じ色の細いリボンと大き目のリボンを飾りつけ、
最後にティアラを頭にはめ込む。
「少し派手ではないかしら……」
「いいえ、とても、とても!可愛らしいです」
ユリアがすかさず大声で擁護してきた。
ルーナを見れば、笑顔で頷いている。
「そ、そう。ならいいのだけれど」
チョーカーだけでは胸元が寂しいかと思ったが、ドレスも胸の辺りにリボンがあるので、バランスは悪く無さそうだった。
戦闘準備は整ったので、マリアローゼは最後の仕込みに入った。
ベッドに戻り、他の人々から見えないようにロサを手に取り、見詰め合う。
ロサに目があるのかどうかは分からないが。
「あれ?」
隣の部屋に行くマリアローゼが通り過ぎる時に、ユリアがマリアローゼを見咎めて呟いた。
「どうかしました?」
横から騎士服を身につけたカンナが聞いてくるので、ユリアは首を傾げつつ答える。
「お化粧してるようには見えなかったんですけど、マリアローゼ様の唇がいつもよりぷるぷるだったような…?」
「……細かいところまで見てますね」
「そりゃあ…マリアローゼ様は私の命なので!」
重い事をさらりと言い放ち、隣の部屋についていくユリアを、カンナも追いかけた。
ユリアの観察眼には恐れ入るが、確かに言われてから見るとぷるぷるのツヤツヤだ。
といって油っぽい訳ではない。
瑞々しい美しさで、いつもより豪奢な装いもまた美しい。
その可愛らしさにカンナの頬も緩んだ。
シルヴァインも手放しで褒めちぎっている。
「は~~~何着ても可愛い」
ユリアは壊れた玩具の様に何度も呟いている。
カンナは苦笑しながらそんなユリアと、美しい兄妹を見守った。
大勢の騎士達と神官に囲まれて、マリアローゼは城内を移動していた。
大名行列である。
先導する従僕の後ろについて歩いていくマリアローゼ一行を見て、
使用人も貴族も道を譲って、お辞儀をしたり会釈をしていく。
話しかけてくる者はいない。
元々同じ祖をもつルクスリア神聖国とアウァリティア王国では、身分の差が未だに残っている。
王国の、一公爵が領地と共に独立した経緯があるので、国土自体小さい。
宗教国家としての覇権はあるが、身分制度では今でも王族というより公爵として扱われているのだ。
王国だけではなく、帝国でも同じだった。
公爵より上、されど王族よりは下、という位置として見られている。
それ故に神聖国の公爵は、他国の侯爵伯爵と同程度に扱われていた。
そして公式な場や往来で身分の低い者から声をかけるのは、どの国でも礼儀に反する。
王の地位に次ぐといわれる、王国の筆頭公爵家の人間に声をかけられるのは、
この国では王族くらいしかいないのだ。
次はティアラも一応選んでおく。
ダイヤモンドらしき透明なキラキラした宝石と、赤い宝石が散りばめられた物を選び、指輪も赤い宝石の物を選ぶ。
そこへ、ルーナとユリアが連れ立って戻ってきた。
「まずはお着替えを致しましょう」
ルーナが、着替えのドレスを持ち、促されるままマリアローゼは着せられていく。
アクセサリーも付け終えて、鏡台の前に座ると、ルーナが髪を梳かして結い上げていく。
「あら……こ…これは……」
ツインテール。
前世では全くもって馴染みの無かった髪型である。
ちょっと恥ずかしい部類の髪型に、マリアローゼの中では分類されていた。
だが、鏡の中の幼女に似合わないということはない。
恥ずかしさは残るが、口を噤む。
高く結い上げた髪に、ドレスと同じ色の細いリボンと大き目のリボンを飾りつけ、
最後にティアラを頭にはめ込む。
「少し派手ではないかしら……」
「いいえ、とても、とても!可愛らしいです」
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ルーナを見れば、笑顔で頷いている。
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チョーカーだけでは胸元が寂しいかと思ったが、ドレスも胸の辺りにリボンがあるので、バランスは悪く無さそうだった。
戦闘準備は整ったので、マリアローゼは最後の仕込みに入った。
ベッドに戻り、他の人々から見えないようにロサを手に取り、見詰め合う。
ロサに目があるのかどうかは分からないが。
「あれ?」
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「どうかしました?」
横から騎士服を身につけたカンナが聞いてくるので、ユリアは首を傾げつつ答える。
「お化粧してるようには見えなかったんですけど、マリアローゼ様の唇がいつもよりぷるぷるだったような…?」
「……細かいところまで見てますね」
「そりゃあ…マリアローゼ様は私の命なので!」
重い事をさらりと言い放ち、隣の部屋についていくユリアを、カンナも追いかけた。
ユリアの観察眼には恐れ入るが、確かに言われてから見るとぷるぷるのツヤツヤだ。
といって油っぽい訳ではない。
瑞々しい美しさで、いつもより豪奢な装いもまた美しい。
その可愛らしさにカンナの頬も緩んだ。
シルヴァインも手放しで褒めちぎっている。
「は~~~何着ても可愛い」
ユリアは壊れた玩具の様に何度も呟いている。
カンナは苦笑しながらそんなユリアと、美しい兄妹を見守った。
大勢の騎士達と神官に囲まれて、マリアローゼは城内を移動していた。
大名行列である。
先導する従僕の後ろについて歩いていくマリアローゼ一行を見て、
使用人も貴族も道を譲って、お辞儀をしたり会釈をしていく。
話しかけてくる者はいない。
元々同じ祖をもつルクスリア神聖国とアウァリティア王国では、身分の差が未だに残っている。
王国の、一公爵が領地と共に独立した経緯があるので、国土自体小さい。
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王国だけではなく、帝国でも同じだった。
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それ故に神聖国の公爵は、他国の侯爵伯爵と同程度に扱われていた。
そして公式な場や往来で身分の低い者から声をかけるのは、どの国でも礼儀に反する。
王の地位に次ぐといわれる、王国の筆頭公爵家の人間に声をかけられるのは、
この国では王族くらいしかいないのだ。
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