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ゴミスキルを育てる
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いつも通り私はギルドへ出かける。
昨日植え替えた薬草たちは、リサさんの許可をとって部屋の窓から紐で固定して吊るしてある。
やっぱり日に当てて光合成させないとね。
戸締りしなきゃいけないから、部屋の中だと日光に当たれないし。
紐を通しても窓は何とか閉まったから良かった。
ランクが上がったこともあって、改めて掲示板を吟味する。
だが、戦闘に心もとない私には、やはり薬草採取がお似合いだ。
あれだ。
実力よりもランクが先に上がってしまったのがおかしいんだよ。
きちんと実力が伴うまでは見送ろう。
今日は少し魔法の勉強がしたい。
アルトの訓練を受けて、午後からは依頼ではなく魔法協会とやらに行ってみることにした。
町の中央にある、大きな建物は大聖堂。
どこの地下迷宮からも同じ距離くらいのそこは、傷を癒す為の施設でもある。
流石に蘇生は出来ないが、大怪我くらいなら治せるのだろう。
その大聖堂の横に、図書館と魔法協会の建物がある。
行きたい所が二つも揃ってるなんてラッキー。
まずは魔法協会に行こうっと。
魔法協会は控えめな色調の建物で、内部は木製のツヤツヤした家具と装飾だ。
受付カウンターには受付嬢がいるので、早速話しかけた。
「あの、魔法を覚える魔法書?の種類を教えて貰いたいんですけど」
「畏まりました。こちらが目録になります」
渡された紙にはずらっと価格と魔法書のタイトルが記されている。
冒険者ギルドの担当エミリーさんが言っていた様に、冒険者ギルドで買った本の値段は同じだ。
一応確認してしまう私。
学園で習った、初級の魔法もある。
記憶はないのだが、初級の魔法を覚えるのに、授業ではどうやるんだろう?
まあいいか、今は考えてもわかんないし。
鑑定《アプレイザル》は必要そうだけど、たっか。
10銀貨もする。
「あの、この鑑定って、何でも分かるんですか?」
めちゃくちゃアホの子みたいですみません。
でも、高い買い物するなら、きちんと性能も知らないとね。
「いえ、自分の経験や知識が反映されるので、何でもではないですね」
「ふーむ。もしかして冒険者ギルドの受付嬢さんとかって、鑑定持ちだったりします?」
「そうですねぇ。スキルは持っているかもしれないですが、魔法はどうでしょうか」
おおっと?
スキルと魔法が被る事もあるのか。
両方ともやればやるほど伸びるけど、何が違うんだろう。
私の顔を見て察した受付嬢が困った笑顔になる。
「スキルは失敗もある技能、魔法は発動にさえ成功すれば発現する力、ですかね。あとは前者に才能の影響は少ないですが、魔法は素質がなければ使えません」
つまり、こうだ。
剣スキルがあれば、剣で攻撃できるけど、失敗する事もある。
相手に防御されるなり何なりして失敗する事も勿論ある。
例えばこの前の火球《ファイアーボール》、発動できたら命中はする。
でも、相手が強すぎたり、防御されたら攻撃が通らない事もあるが、攻撃自体は失敗しない。
今のところ、何とも微妙な魔法である。
例えば、薬草を見分けるのに、経験と知識で何となく分かるのがスキルだとして、魔法を使えばその情報を確定できるのだが、薬草採取でいちいち使っていたら魔力消費の方が大きくなってしまう。
使いどころとしては、薬草採取した後に、何か紛れていないか鑑定魔法を使って確認、とかになるだろうか。
将来的には有益かもしれないけれど。
「あ、じゃあもしかして、スキルでなんちゃら知識、とかあると鑑定魔法に影響します?」
「ええ、しますね」
「じゃあ買います!」
「ありがとうございます。こちらになります」
私は10銀貨を支払って、鑑定《アプレイザル》を覚えた。
今はチートでも何でもないゴミスキルだが、自分でチートに育てるのだよ。フフフ。
「このリストって貰えますか?」
「はい、どうぞ。お持ちになって下さい」
「ありがとうございます。また買いに来ます!」
元気よく挨拶をして、私は図書館に向かう。
鑑定は思わず買っちゃったけど、流石にもう少し魔法の勉強が必要だ。
私は図書館にこもって、魔法関連の書物を読み耽った。
「お嬢ちゃん、もう閉館だよ」
「あ、すみません」
慌てて顔を上げると、もう外は夕暮れ時だ。
すっかり没頭してしまった。
本はそのままでいいというので、片付けは任せて、私はギルドに向かった。
「エミリーさん、相談があるんですけど、ちょっと裏でお話出来ますか?」
「あら、ミアちゃん。いいわよ。じゃあこっちにきて」
エミリーさんの開けた扉の向こうには、個室がいくつかある。
その中に入って、机を挟んでエミリーさんと向かい合わせに座った。
「大聖堂の回復要員て、ギルドからお仕事を紹介して頂く事って可能です?」
「ええ、勿論出来るけど、光魔法があれば直接雇って貰えるわよ。その方がお給金も良いのに…ギルドを通しちゃうと仲介料が発生するから。大聖堂みたいに身許がきちんとしたところなら、仲介はいらないと思うのだけど」
ですよね。
それは多分そうかなって思ったんですが。
「でも、身許を隠すとしたらどうでしょう?私もバレたくないんで……」
「ああ……そうね、それなら、うん。身許は冒険者ギルドが保証しますって形での派遣にすれば問題はないわね」
「だったらそれで、お願いしてもいいですか?名前はティアで、明後日から午後だけ勤務します」
「分かったわ。話は通しておくわね。料金もここで受け取れるようにするから、安心して」
私はエミリーさんにお礼を言うと、ギルドを後にした。
明日は変装用の服を買いに行こう。
それから、薬草採取の依頼を昨日もってきたけど、こなしてないしそっちも行かなきゃ。
鑑定《アプレイザル》も使いたいしね。
昨日植え替えた薬草たちは、リサさんの許可をとって部屋の窓から紐で固定して吊るしてある。
やっぱり日に当てて光合成させないとね。
戸締りしなきゃいけないから、部屋の中だと日光に当たれないし。
紐を通しても窓は何とか閉まったから良かった。
ランクが上がったこともあって、改めて掲示板を吟味する。
だが、戦闘に心もとない私には、やはり薬草採取がお似合いだ。
あれだ。
実力よりもランクが先に上がってしまったのがおかしいんだよ。
きちんと実力が伴うまでは見送ろう。
今日は少し魔法の勉強がしたい。
アルトの訓練を受けて、午後からは依頼ではなく魔法協会とやらに行ってみることにした。
町の中央にある、大きな建物は大聖堂。
どこの地下迷宮からも同じ距離くらいのそこは、傷を癒す為の施設でもある。
流石に蘇生は出来ないが、大怪我くらいなら治せるのだろう。
その大聖堂の横に、図書館と魔法協会の建物がある。
行きたい所が二つも揃ってるなんてラッキー。
まずは魔法協会に行こうっと。
魔法協会は控えめな色調の建物で、内部は木製のツヤツヤした家具と装飾だ。
受付カウンターには受付嬢がいるので、早速話しかけた。
「あの、魔法を覚える魔法書?の種類を教えて貰いたいんですけど」
「畏まりました。こちらが目録になります」
渡された紙にはずらっと価格と魔法書のタイトルが記されている。
冒険者ギルドの担当エミリーさんが言っていた様に、冒険者ギルドで買った本の値段は同じだ。
一応確認してしまう私。
学園で習った、初級の魔法もある。
記憶はないのだが、初級の魔法を覚えるのに、授業ではどうやるんだろう?
まあいいか、今は考えてもわかんないし。
鑑定《アプレイザル》は必要そうだけど、たっか。
10銀貨もする。
「あの、この鑑定って、何でも分かるんですか?」
めちゃくちゃアホの子みたいですみません。
でも、高い買い物するなら、きちんと性能も知らないとね。
「いえ、自分の経験や知識が反映されるので、何でもではないですね」
「ふーむ。もしかして冒険者ギルドの受付嬢さんとかって、鑑定持ちだったりします?」
「そうですねぇ。スキルは持っているかもしれないですが、魔法はどうでしょうか」
おおっと?
スキルと魔法が被る事もあるのか。
両方ともやればやるほど伸びるけど、何が違うんだろう。
私の顔を見て察した受付嬢が困った笑顔になる。
「スキルは失敗もある技能、魔法は発動にさえ成功すれば発現する力、ですかね。あとは前者に才能の影響は少ないですが、魔法は素質がなければ使えません」
つまり、こうだ。
剣スキルがあれば、剣で攻撃できるけど、失敗する事もある。
相手に防御されるなり何なりして失敗する事も勿論ある。
例えばこの前の火球《ファイアーボール》、発動できたら命中はする。
でも、相手が強すぎたり、防御されたら攻撃が通らない事もあるが、攻撃自体は失敗しない。
今のところ、何とも微妙な魔法である。
例えば、薬草を見分けるのに、経験と知識で何となく分かるのがスキルだとして、魔法を使えばその情報を確定できるのだが、薬草採取でいちいち使っていたら魔力消費の方が大きくなってしまう。
使いどころとしては、薬草採取した後に、何か紛れていないか鑑定魔法を使って確認、とかになるだろうか。
将来的には有益かもしれないけれど。
「あ、じゃあもしかして、スキルでなんちゃら知識、とかあると鑑定魔法に影響します?」
「ええ、しますね」
「じゃあ買います!」
「ありがとうございます。こちらになります」
私は10銀貨を支払って、鑑定《アプレイザル》を覚えた。
今はチートでも何でもないゴミスキルだが、自分でチートに育てるのだよ。フフフ。
「このリストって貰えますか?」
「はい、どうぞ。お持ちになって下さい」
「ありがとうございます。また買いに来ます!」
元気よく挨拶をして、私は図書館に向かう。
鑑定は思わず買っちゃったけど、流石にもう少し魔法の勉強が必要だ。
私は図書館にこもって、魔法関連の書物を読み耽った。
「お嬢ちゃん、もう閉館だよ」
「あ、すみません」
慌てて顔を上げると、もう外は夕暮れ時だ。
すっかり没頭してしまった。
本はそのままでいいというので、片付けは任せて、私はギルドに向かった。
「エミリーさん、相談があるんですけど、ちょっと裏でお話出来ますか?」
「あら、ミアちゃん。いいわよ。じゃあこっちにきて」
エミリーさんの開けた扉の向こうには、個室がいくつかある。
その中に入って、机を挟んでエミリーさんと向かい合わせに座った。
「大聖堂の回復要員て、ギルドからお仕事を紹介して頂く事って可能です?」
「ええ、勿論出来るけど、光魔法があれば直接雇って貰えるわよ。その方がお給金も良いのに…ギルドを通しちゃうと仲介料が発生するから。大聖堂みたいに身許がきちんとしたところなら、仲介はいらないと思うのだけど」
ですよね。
それは多分そうかなって思ったんですが。
「でも、身許を隠すとしたらどうでしょう?私もバレたくないんで……」
「ああ……そうね、それなら、うん。身許は冒険者ギルドが保証しますって形での派遣にすれば問題はないわね」
「だったらそれで、お願いしてもいいですか?名前はティアで、明後日から午後だけ勤務します」
「分かったわ。話は通しておくわね。料金もここで受け取れるようにするから、安心して」
私はエミリーさんにお礼を言うと、ギルドを後にした。
明日は変装用の服を買いに行こう。
それから、薬草採取の依頼を昨日もってきたけど、こなしてないしそっちも行かなきゃ。
鑑定《アプレイザル》も使いたいしね。
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