7 / 36
7
しおりを挟む
「ラインさん、僕のいた世界と同じ味が確認したいので、ちょっとずつ食材を味見してもいいですか?」
「はい、どうぞ」
了承を得て僕は少しずつ味見をしてみる。
野菜はほうれん草、トマト、白菜、玉ねぎがあった。見た目は同じ食材だけれど、こちらの野菜は全部二倍ぐらい大きくて、味が濃くて、青臭さが強い。アクがいっぱいでそうだ。
ラインさんが持ってきてくれた携帯食は、素材の味なんだなと食べてみてわかる。
キノコは採れたてのマッシュルームと乾燥した椎茸。風味豊かな香りがして、これを入れるといいスープができそうだ。
巨大野菜の隣にあったよくわからない葉物食材は、なんと調味料だった。
調味料について聞くと、塩草と呼ばれる塩味の草に、胡椒草と呼ばれる胡椒の味、スィート草と呼ばれる砂糖の味、あとはハーブ類が数種類。
ハーブ系も匂いと味が濃いので、とりあえず今日は使うのはやめた。子どもにはキツいかもしれない。
「他にはもう食材はないんですか?」
「保存が効くのは食材保管庫に保存してます。ミルクもそこにあるので行きましょうか」
「はい、ありがとうございます」
案内の間にお姉ちゃんが食べてもいいものを聞いてみた。この世界のミルクスープってどんなのだろう。
地球でも国によって材料違ったりするからね。
「赤子には基本ミルクと野菜のみです。塩を少しだけ入れることもあります」
「そうなんですか……。あの、キノコの出汁だけでも使うのはダメですか?」
野菜のミルクだけでは旨味が少ない。キノコの旨味があると大分美味しくなると思うんだけど。
「キノコのダシですか……?」
ダシという概念がないらしく、キノコそのものは僕らが食べて、お姉ちゃんはスープに出た汁だけを味わうことだと説明した。
「そうですね……では、作る過程で私にキノコを入れたミルクスープを味見させてくれませんか?赤子が食べても大丈夫か判断できますので。ダメだった場合のために野菜とミルクのみの分は取り分けておきましょう」
「いいんですか?じゃあお願いします」
お姉ちゃんに美味しいの食べて欲しいもんね。
「野菜の種類はキッチンにあったものだけですか?」
「今日はあれだけですが、森に入る者が日によって色んな野菜をとってきてくれますよ」
採れたて野菜か。いいね。
お姉ちゃんは青臭くてたまらないって言ってたから、なんとかしよう。旭もまだ育ち盛りだから野菜は食べて欲しい。
お姉ちゃん用のミルクスープを沢山作って、少し追加で味付けをしたら僕らの副食にもなるだろうと算段した。
案内された食材保管庫は、横穴に人ひとり入れるぐらいの風穴が空いていて、そこから冷たい風が漏れ出していて冷蔵庫のように冷たくなっていた。
外への風穴も開いていて、風通しがいい。
だがこの世界の今の時期は雨の日が多く、湿気も高め。洞窟内も気温は低いが、ちょっとジメジメする。
季節は春夏秋冬あるらしい。日本と似た環境なら、今は梅雨かな。
保管庫内は大きな干し肉と大きな麻袋が二つ、あとは小さな甕と大きなヤシの実みたいな実が数個、棚に並んでいた。
ラインさんがヤシの実に似た食材を手に取る。
「これが赤子に使うミルクの実です」
「ミルクの実……?これってどうやって使うんですか?」
コンコンと表面を叩くと硬い。
「ミルク実は上部にある目をナイフで刺して、くり抜きます。グリグリしたら取れるので、そこからミルクを出して加熱してから使ってください。余ったら目を再び詰めて、冷暗所に保存しておきます」
ラインさんが説明しながらズボンの横に差していたナイフを使って、グリグリとミルク実を開けてくれた。ミルクはココナッツのことなのかなと味見をすると、牛乳そのものの味だった。牛のお乳じゃないんだ……と異世界の不思議を感じる。
「あ!お米がある!」
麻袋の中はお米と小麦だった。お米は白米ではないけれど、籾摺りされており、玄米になっている。お米さえあれば、旭と僕のお腹は膨れるからホッと安心した。
「え……ルイ君は米を食べられるのですか?これは煮ても芯が残り、歯応えがよくないので私たちの間ではあまり好まれて食べられないのですが。赤子にも勿論与えませんよ?」
「日本と同じお米なら、蒸すように炊いたら柔らかくなるんです。すごく美味しくて旭もお姉ちゃんも大好きですよ」
「そうなんですか……。興味があります」
ラインさんは料理担当なので、すごく気になるみたい。なので僕はみんなのご飯を一緒に作ることを提案した。丁度御飯時で、ラインさんも僕の料理が終わったら作る予定だったらしいし、二度手間にならなくていい。
料理の時間もそんなに変わらないので是非と言うと、「ではよろしくお願いします」と腰を曲げられた。
僕は保管庫からお米とミルクの実、少しの干し肉を持ち帰った。早めに作らないといけないので、他の食材はまた作る機会があったときに見ていこうと思う。
「はい、どうぞ」
了承を得て僕は少しずつ味見をしてみる。
野菜はほうれん草、トマト、白菜、玉ねぎがあった。見た目は同じ食材だけれど、こちらの野菜は全部二倍ぐらい大きくて、味が濃くて、青臭さが強い。アクがいっぱいでそうだ。
ラインさんが持ってきてくれた携帯食は、素材の味なんだなと食べてみてわかる。
キノコは採れたてのマッシュルームと乾燥した椎茸。風味豊かな香りがして、これを入れるといいスープができそうだ。
巨大野菜の隣にあったよくわからない葉物食材は、なんと調味料だった。
調味料について聞くと、塩草と呼ばれる塩味の草に、胡椒草と呼ばれる胡椒の味、スィート草と呼ばれる砂糖の味、あとはハーブ類が数種類。
ハーブ系も匂いと味が濃いので、とりあえず今日は使うのはやめた。子どもにはキツいかもしれない。
「他にはもう食材はないんですか?」
「保存が効くのは食材保管庫に保存してます。ミルクもそこにあるので行きましょうか」
「はい、ありがとうございます」
案内の間にお姉ちゃんが食べてもいいものを聞いてみた。この世界のミルクスープってどんなのだろう。
地球でも国によって材料違ったりするからね。
「赤子には基本ミルクと野菜のみです。塩を少しだけ入れることもあります」
「そうなんですか……。あの、キノコの出汁だけでも使うのはダメですか?」
野菜のミルクだけでは旨味が少ない。キノコの旨味があると大分美味しくなると思うんだけど。
「キノコのダシですか……?」
ダシという概念がないらしく、キノコそのものは僕らが食べて、お姉ちゃんはスープに出た汁だけを味わうことだと説明した。
「そうですね……では、作る過程で私にキノコを入れたミルクスープを味見させてくれませんか?赤子が食べても大丈夫か判断できますので。ダメだった場合のために野菜とミルクのみの分は取り分けておきましょう」
「いいんですか?じゃあお願いします」
お姉ちゃんに美味しいの食べて欲しいもんね。
「野菜の種類はキッチンにあったものだけですか?」
「今日はあれだけですが、森に入る者が日によって色んな野菜をとってきてくれますよ」
採れたて野菜か。いいね。
お姉ちゃんは青臭くてたまらないって言ってたから、なんとかしよう。旭もまだ育ち盛りだから野菜は食べて欲しい。
お姉ちゃん用のミルクスープを沢山作って、少し追加で味付けをしたら僕らの副食にもなるだろうと算段した。
案内された食材保管庫は、横穴に人ひとり入れるぐらいの風穴が空いていて、そこから冷たい風が漏れ出していて冷蔵庫のように冷たくなっていた。
外への風穴も開いていて、風通しがいい。
だがこの世界の今の時期は雨の日が多く、湿気も高め。洞窟内も気温は低いが、ちょっとジメジメする。
季節は春夏秋冬あるらしい。日本と似た環境なら、今は梅雨かな。
保管庫内は大きな干し肉と大きな麻袋が二つ、あとは小さな甕と大きなヤシの実みたいな実が数個、棚に並んでいた。
ラインさんがヤシの実に似た食材を手に取る。
「これが赤子に使うミルクの実です」
「ミルクの実……?これってどうやって使うんですか?」
コンコンと表面を叩くと硬い。
「ミルク実は上部にある目をナイフで刺して、くり抜きます。グリグリしたら取れるので、そこからミルクを出して加熱してから使ってください。余ったら目を再び詰めて、冷暗所に保存しておきます」
ラインさんが説明しながらズボンの横に差していたナイフを使って、グリグリとミルク実を開けてくれた。ミルクはココナッツのことなのかなと味見をすると、牛乳そのものの味だった。牛のお乳じゃないんだ……と異世界の不思議を感じる。
「あ!お米がある!」
麻袋の中はお米と小麦だった。お米は白米ではないけれど、籾摺りされており、玄米になっている。お米さえあれば、旭と僕のお腹は膨れるからホッと安心した。
「え……ルイ君は米を食べられるのですか?これは煮ても芯が残り、歯応えがよくないので私たちの間ではあまり好まれて食べられないのですが。赤子にも勿論与えませんよ?」
「日本と同じお米なら、蒸すように炊いたら柔らかくなるんです。すごく美味しくて旭もお姉ちゃんも大好きですよ」
「そうなんですか……。興味があります」
ラインさんは料理担当なので、すごく気になるみたい。なので僕はみんなのご飯を一緒に作ることを提案した。丁度御飯時で、ラインさんも僕の料理が終わったら作る予定だったらしいし、二度手間にならなくていい。
料理の時間もそんなに変わらないので是非と言うと、「ではよろしくお願いします」と腰を曲げられた。
僕は保管庫からお米とミルクの実、少しの干し肉を持ち帰った。早めに作らないといけないので、他の食材はまた作る機会があったときに見ていこうと思う。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
獣人の子供が現代社会人の俺の部屋に迷い込んできました。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
突然、ひとり暮らしの俺(会社員)の部屋に、獣人の子供が現れた!
どっから来た?!異世界転移?!仕方ないので面倒を見る、連休中の俺。
そしたら、なぜか俺の事をママだとっ?!
いやいや女じゃないから!え?女って何って、お前、男しか居ない世界の子供なの?!
会社員男性と、異世界獣人のお話。
※6話で完結します。さくっと読めます。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる