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第3章

清水寺の坂をおりながら。

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「南へ行く。」と言うおじさんに連れられて、うちは歩く。小さい手でおじさんの大きな手を握り締めて。
「どこに行くん?」とうちは聞く。清水寺の坂をおりながら。
「東大路通り。」とおじさんは言う。
「どこの通りやろ。そこに静はいるん?」とうちは言う。
「そうだね。鬼を退治せねばなるまいが。」とおじさんはシルクハットを被り直す。
「退治、って桃太郎みたいに?」とうちが聞くと、おじさんは少し微笑んだ。
「ああ、それにはいくつかせねばならないことがある。」と言って、おじさんはうちの手を引く。
「タクシー?」と黒い車が目の前に止まる。タクシーってわけでもなさそうや。
「乗るよ。」と言うと、おじさんとうちはその黒い車に乗り込んだ。

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