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第21話 天の時と地の利

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「皆さん、先程トーマ様にはお話しましたが、わたくし達はこの地に国を起こします」


 クスノハ様もお風呂から上がり、ダイニングテーブルに並べた夕食を食べながら、ルミアーナ様が話を切り出した。

 因みにクスノハ様のお風呂にはルミアーナ様とシルフィが同伴し、その間に俺が異空間収納から直ぐに食べられる物を出してテーブルに並べた。


「国ってそんな簡単に作れるものなのか?」


 クスノハ様の疑問ももっともで俺もそう思っていた。


「オホホ。国という物の定義は曖昧なのですよ。この地は何処の国も領地放棄をしております」

「そうなのか? てっきりグレートファング帝国の土地かと思っていたぜ」

「魔物の間引きはその土地を持つ国の責任ですわ。狂猿クルッテールの棲む森の間引きなど、魔物を領内に招き入れる行為と同じ。さすがの帝国もそのリスクを負うような事は致しませんわ。オホホ」


 森に潜むクルッテール。人を見るとその鳴き声で魔物を呼び寄せる。ここに来る間にも数匹遭遇した。幸いにしてクルッテールの群れに会うことは無かったが、群れと遭遇すればエンドレスの魔物召喚が始まってしまう。

 この家の周囲には高さ五メートルの土壁を、俺の錬聖スキルで作ってある。最高級の土壁だから早々に破壊される事はないだろうが、オーガの群れでも呼ばれたらヤバい。


「わたくし達にはサセタ神様から賜った天の時と地の利があります」

「天の時? 地の利? なんだそりゃ」

「天の時とは、天啓の儀においてトーマ様がこの世界に来た事ですわ」

「「オオ――」」


 シルフィとクスノハ様が何故だか拍手をしている。


「俺が天の時ですか? 得られたギフトはリオンでも変わらないだろ?」

「いえいえ、トーマ様だから良いのですわ。オホホ」


 シルフィとクスノハ様も何故だがウンウンと頷いていた。


「地の利とは、クルッテールに守られている天然の要害であるこの森。そして、その昔に冒険者がダイヤモンドの原石を拾ったこの森。まさに地の利は我に有りですわ。オホホ」







「では、わたくしがこの部屋で寝ますわ」

「この狭い部屋には、背の低いオレが寝るから大丈夫だ」

「この部屋はお兄様から私が使う様に言われてますから、さあさあ皆様はお隣の部屋を使って下さい。ウフフ」


 夕食の後に、異世界あるあるの水洗トイレの使い方を教えた後に、皆んなの部屋割りをした。

 女の子三人は二階の三部屋を、俺は一階の客間を使う事にした。

 そして、俺が使っていた部屋が一番狭かったから、義妹いもうとのシルフィに振ったんだが、何故かルミアーナ様も、クスノハ様も狭い部屋がいいと言う。


「それじゃ、ベッドだけでも大きな物を錬聖しようか」

「ダメですわ!」

「ダメだッ!」

「ダメだよ!」


 何故かダメ出しを食らった。

 なんでだ?








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