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第20話 資金繰り

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「本題はここからですわ。オホホ」


 体に巻いている濡れたバスタオルを手で押さえながらバスタブの縁に座り、綺麗な足をクロスに組むルミアーナ様。

 あまりにも美しいお御足と、その奥にある見えそうで見えない神秘に、ゴクリと生唾を飲み込む。


「トーマ様、わたくしはわたくしの国を、いえ、民を救いたいのです。サセタ神様からクエストを授かった時に、これこそが天啓だと思いましたわ」

「神聖のギフトよりもですか?」


 神聖のギフトは伝説級のギフトだ。そのギフトよりも価値がこの地に有るのか?


「オホホ、わたくしが聖都に身を粉すのならば、神聖の力があれば頂点に上り詰める事も出来ましょう。されど、わたくしは、わたくしの国の民・・・・・・・・を幸せにしたいのですわ」

「それがこの地に有るのですか?」


 開拓が始まって早々に見放された土地だ。そしてこの地は、魔物の脅威を恐れて何処の国にも属していない。


「この地に開拓村が作られた理由は、冒険者がこの辺りで小さなダイヤモンドの原石が見つけたからなのです」

「ダイヤモンド!?」

「はい。しかしダイヤモンドが見つかる事なく、開拓村は終焉を迎え、狂猿クルッテールによって森は立入禁止となりました」


 そう言いながらルミアーナ様は組んでいた足を逆に組み直す。

 だから、やめれ! 見えてまうがな!


「ダイヤモンドが本当に有るかどうかは分かりませんわ。でも可能性はございます。わたくしにはどうしても資金が必要なのです」

「資金?」

「はい。アザトーイ王国はサディスティア王国やグレートファング帝国に多額の借金が有ります。この借金はあの愚兄が私利私欲を満たす為に借りたお金です。しかし仮にも国王を名乗る者が借りたお金ですわ。愚兄を執事として引き渡しても借金は帳消しにはなりませんわ」

「い、幾らぐらいなんですか?」

「白金貨一万枚ぐらいですわね。オホホ」


 はい? 白金貨一万枚?

 白金貨一枚は金貨百枚だ。金貨一枚がざっくり一万円として、白金貨一枚が百万円。それの一万倍? ……幾らだ?

 …………

 ………………

 ……………………


「百億円?」

「百億円とはなんですか?」

「俺のいた世界で白金貨一万枚の価値です。何をどうやったらそんなにお金を使えるんですか?」

「オホホ。毎晩のパーティもそうですが、一番は建設中の黄金城ですわね」


 黄金城? 黄金戦士がいそうな城だな。


「わたくしは莫大な借金を返した上で、アザトーイ王国をわたくしが買い取りたいと思いますわ」


 白金貨一万枚を用意して、更に国を買い取る程の資金か。例えダイヤモンドが見つかったとしても、用意できる金額とは思えない。


「その第一歩として、この地にわたくし達の王国を作ります」

「俺達の王国!?」


―――――――――――――
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