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第8話 俺の名は
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ルミアーナ様も、クスノハ様も異空間収納を知らなかった。やはりこの世界には異空間収納という魔法は無いのか?
何はともあれ異空間収納にルミアーナ様とクスノハ様の荷物を収めた。
「それでは王都を出る前に私達のクエストを確認いたしますわね」
ルミアーナ様の声に全員が頷く。
「私達が目指すのは北の国境を越えた先に広がる森、特級危険地帯である『狂った森』ですわ」
アザトーイ王国の北には広大な森があり、その森は『狂った森』と呼ばれ、国の法律で立ち入りが禁止されている。
「私達はその森の奥地にある呪われた山ヤヴァイ山の麓にある、放棄された開拓村にて辺境開拓をする事です。皆さんも同じクエストがサセタ神様より降っておりますか?」
全員が頷き、全員が同じクエストである事を確認した。
◆
東京では見る事がない広い草原を、俺は馬車を操り北へ向かう街道を走っていた。青い空や白い雲は変わらないが、白く浮かぶ二つの月が、この星が地球ではない事を俺に教えてくれる。
「では皆さん、改めて自己紹介をいたしましょう」
幌の中では女の子達が和気あいあいとお話をしている。
「わたくしはルミアーナ、国外追放と一緒に姓も剥奪されましたわ。今はただのルミアーナ。平民と成り下がった身ですので、皆さんよりも身分は下ですわね。皆さんのお世話に勤しみますわ。オホホ」
イヤイヤ、そんな事はさせられないよね?
「アハハハ、そりゃ無理だよルミアーナ様。んじゃ、オレな。オレはムッソウ子爵家のクスノハ。ムッソウ流の名を天下に轟かせる為なら何でもするぜ、です。武器なら一通り使えるから、武器の事なら何でも聞いてくれ、です」
「では、お一つよろしいでしょうか」
「何でも聞いてよルミアーナ様、です」
「ずっと気になっていたのですが、なぜ最後に『です』を付けているのですか?」
「私も気になってました」
うん、俺も気になってた!
「えっ? 貴族は敬語を使えって教わったからだろ、です?」
「「「…………」」」
誰だ! 最後に『です』を付ければ敬語になるなんて教えたのは!
「わ、わたくしには敬語は不要ですわよ……」
「わ、私も大丈夫ですよ……」
「そうか! いや助かるよ、敬語って堅苦しくてさ!」
いやいや、あれは敬語ですら無かったよね。
「因みに、授かったギフトは剣王だ。ボクは生涯を掛けてでも剣聖になってみせる」
クスノハ様の覚悟は固いな。それは、キモデブの俺でも構わないって事なんだろう。
「わ、私はツンデーレ男爵の長女でシルフィです。私の夢は大魔法使いになる事です。授かったギフトは上級賢者。私も精進して大賢者になりたい……」
「上級賢者か! 凄えじゃん!」
「宮廷魔術師にも上級賢者はおりませんでしたわ!」
上級賢者とは火、水、風、土の四属性魔法が使える魔法使いを指し、大賢者は更に高位属性と呼ばれる転移魔法や重力魔法などを操れる魔法使いを言う。
「ほら、キモデブ、お前の番だよ」
御者台裏の幌を上げてクスノハ様が顔を出した。
「俺は天野川冬馬。『スキルメイク』ってギフトを授かった」
「「「…………」」」
「アマノガワ?」
「お兄様……?」
「あっ……」
ついナチュラルに現世の名前を言ってしまった。
「リオン様、馬車を道の端に止めてこちらにいらして下さい。オホホ」
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何はともあれ異空間収納にルミアーナ様とクスノハ様の荷物を収めた。
「それでは王都を出る前に私達のクエストを確認いたしますわね」
ルミアーナ様の声に全員が頷く。
「私達が目指すのは北の国境を越えた先に広がる森、特級危険地帯である『狂った森』ですわ」
アザトーイ王国の北には広大な森があり、その森は『狂った森』と呼ばれ、国の法律で立ち入りが禁止されている。
「私達はその森の奥地にある呪われた山ヤヴァイ山の麓にある、放棄された開拓村にて辺境開拓をする事です。皆さんも同じクエストがサセタ神様より降っておりますか?」
全員が頷き、全員が同じクエストである事を確認した。
◆
東京では見る事がない広い草原を、俺は馬車を操り北へ向かう街道を走っていた。青い空や白い雲は変わらないが、白く浮かぶ二つの月が、この星が地球ではない事を俺に教えてくれる。
「では皆さん、改めて自己紹介をいたしましょう」
幌の中では女の子達が和気あいあいとお話をしている。
「わたくしはルミアーナ、国外追放と一緒に姓も剥奪されましたわ。今はただのルミアーナ。平民と成り下がった身ですので、皆さんよりも身分は下ですわね。皆さんのお世話に勤しみますわ。オホホ」
イヤイヤ、そんな事はさせられないよね?
「アハハハ、そりゃ無理だよルミアーナ様。んじゃ、オレな。オレはムッソウ子爵家のクスノハ。ムッソウ流の名を天下に轟かせる為なら何でもするぜ、です。武器なら一通り使えるから、武器の事なら何でも聞いてくれ、です」
「では、お一つよろしいでしょうか」
「何でも聞いてよルミアーナ様、です」
「ずっと気になっていたのですが、なぜ最後に『です』を付けているのですか?」
「私も気になってました」
うん、俺も気になってた!
「えっ? 貴族は敬語を使えって教わったからだろ、です?」
「「「…………」」」
誰だ! 最後に『です』を付ければ敬語になるなんて教えたのは!
「わ、わたくしには敬語は不要ですわよ……」
「わ、私も大丈夫ですよ……」
「そうか! いや助かるよ、敬語って堅苦しくてさ!」
いやいや、あれは敬語ですら無かったよね。
「因みに、授かったギフトは剣王だ。ボクは生涯を掛けてでも剣聖になってみせる」
クスノハ様の覚悟は固いな。それは、キモデブの俺でも構わないって事なんだろう。
「わ、私はツンデーレ男爵の長女でシルフィです。私の夢は大魔法使いになる事です。授かったギフトは上級賢者。私も精進して大賢者になりたい……」
「上級賢者か! 凄えじゃん!」
「宮廷魔術師にも上級賢者はおりませんでしたわ!」
上級賢者とは火、水、風、土の四属性魔法が使える魔法使いを指し、大賢者は更に高位属性と呼ばれる転移魔法や重力魔法などを操れる魔法使いを言う。
「ほら、キモデブ、お前の番だよ」
御者台裏の幌を上げてクスノハ様が顔を出した。
「俺は天野川冬馬。『スキルメイク』ってギフトを授かった」
「「「…………」」」
「アマノガワ?」
「お兄様……?」
「あっ……」
ついナチュラルに現世の名前を言ってしまった。
「リオン様、馬車を道の端に止めてこちらにいらして下さい。オホホ」
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