約束の続き

夜空のかけら

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第10章 大事な記憶と魔法のお話

102 神の駒~神殿~

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今までは、こんなことはなかった。転生したとしても、元々俺の世界の住民だから、隠蔽なんていうのを忘れても問題がなかったからだ。
 しかし、あいつは隠蔽をしないと大元との間にパスラインが通ってしまう。それを、今までの惰性でしなかったため、今、窮地に立たされている。ここから逃げられればいいのだが、それは叶わない。この世界でのみ、俺の力が通じる。外の世界では、ほとんどすべての力が封じられてしまい、その世界での最弱な存在になり果てるだろうから。

 神殿という駒を作ってからは、やりたい放題だった。
 神殿の大神官は、神殿組織のトップ。頂点。
 聖女と聖人は、そのトップと同列ということを周知し、この両名が神殿に入ると、争いのない世界が続くと伝承させた。

 実際は、聖女も聖人も捕らえた人々も、その命と寿命を差し出させ、護符や神力の原料にしていた。

 護符は、人々の生活の中に浸透し、これがないと生活が難しくなるまでになった。
 神力は、護符にセットすることで、神力が失われるまで複数回使用できるものだった。

 もちろん、原料は人の命と寿命ということは知らない、善人たちだ。
仮に知ったとしても、使わないということはあり得ない。使わないと生活ができない以上、生贄が神殿に届けられるという別のカラクリが動くだけだ。

 王族もこの護符の秘密を知らない。しかも、神殿の命。俺、神の神託として王族に対して王族から何人を神殿に見習いとして、入神させろという命令も出せる。

 事実上、大神官はやりたい放題になっていた。
まぁ、俺が人に扮してそこにいた。神の命令に反抗しようなんて奴は、直々におれが手を下していた。

 ところがだ。
 あの日、あの狭間はざまに何かが出現した。
あそこは、負数領域。持っている力を強制的に、剥奪。魂を初期化して、俺の世界へ墜とすシステムだった。事実、すべての力と記憶を失って、墜ちていくときに隠蔽を用いて、周囲を騙していた。
その方が面白と思ったからだ。

 あの女が死んだとき、思わずその不幸さに笑っていたが、転生時に面白がって色々サービスをしている時に隠蔽を忘れ、転生させてしまった。
 
 この世界では、人族であれば例外なく寿命は100年。
だが、寿命を全うする者がほとんどいない。 

 他世界からこの世界に来た者の一部には、寿命100年を上回る者も少なくない。こういった者には、魔力というものを与えている。寿命の余剰分の1%を魔力として換算。寿命が減少すると補填すると言った形。
 
 しかし、あの女にその寿命の残りを回収、再利用としたときに起きたのは驚くべきことだった。わずか数年で魔力が1,000を超えた。事実上、寿命が10万年という途方もない数になった上に、そのほとんどがこの世界由来のものではない、確認できない場所から加算されていた。

 とりあえず、神の世界から地上の世界へ隠れることにした。
 ある程度の時間稼ぎになるだろう。あとは、タイミングをはかれば、また元の神に戻れるはずだ。

***
 パスが通ったということは、1回死んだのちの転生時に受肉する前の魂の隠蔽を忘れたのだろうと、容易に推測できた。
 隠蔽しないと、同型の魂との間で相互パス。汚染度の平均化が行われる。変質した魂だったため、相互パスが不安定になっているため、パスラインが細い。樹形図を逆に辿って、創世神の魂に繋がった際に、不安定さがそのまま反映してしまっていた。
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