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第10章 大事な記憶と魔法のお話
101 侮蔑の言葉
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神官たちは、予想外の事態に混乱していた。
「おかしいぞ。回復しない。それどころか、呼吸が少なくなってる。このままだと死ぬぞ。」
「前回までは、全回復していたはずだ。記録を洗いなおせ。まだ、上限まで達していない。このまま死なせると、俺たちが護符にされてしまう。」
薄く、薄くなっていた私が消えた。
しかし、何か巨大なものが近くにいる。それが、私が消えるのを阻止しているようだ。
『おいおい、もう終わりかよ。つまらねぇな~。もう一度チャンスをあげよう。こんどこそ、楽しませてくれ、引っ掻き回してくれるように、いろいろサービスもするから、せいぜい踊って見せろ。』
そんな声が聞こえた。
それで、この世界に来た時に、最初に知覚した巨大な意識の言葉を思い出した。
”お前の記憶と力を封印した。
これから、お前は俺の世界で生活する。
せいぜい、笑わせてくれ。”
あの言葉は、私に投げられた侮蔑の言葉だったのだと。
次の段階で、私という存在が再構成され、あの世界に墜とされるのが分かった。以前とは違う場所なのは確実だった。
しかし、墜とされる直前に気が付いた。
”記憶と力を封印”
という部分。
私は、何か大事なことを忘れているし、何か大事な思いを忘れているということ。
世界のある場所に強制移動させられ、前と同じような微睡が私を包む。
以前とは違う何かが付与されるのを感じる。
おそらくこれがサービスなんだろうけど、まだどんなサービスなのかが分からない。
そして、何かのパスがどこかと繋がった感じがした。
でも、それは繋がっただけ。
物凄く細く、無理をすれば切れてしまうくらいの儚さ。
でも、繋がった先が尋常な状態ではないくらい、今の私でも分かる。
あの侮辱の言葉を投げた存在は、これに気が付いていないのかもしれない。
そうやって、新たな命を与えられ、この世界に降りた。
生まれた場所は、神殿はもちろん教会もない辺境の村だった。
村民は、たったの20人しかいない。
子供は、私1人。
しかも、10年ぶりだったらしい。
その中で、村人全員で時に厳しく、時に優しく、育てられていく。
私も頑張った。
生まれて早々、私には護符として命と寿命を吸い取られた時の記憶があった。
私、赤ちゃんとしても振る舞える反面、最後の年齢…とは言っても急速に成長する前の9年間の情報や経験から、護符と神力がどういうものか分かっているし、サービスの1つだろう。魔力というものがあることを知っていた。
簡単に増加する方法も。
赤ちゃんは、寝るのが仕事…ということを聞いたことがある。
だから、少ない魔力を急増させるために、枯渇させるのを繰り返し繰り返し行い、魔力が0になっては、意識を失っていた。
両親を始めとする村民は、
「この子はよく眠る。きっと丈夫に育つに違いない。」
と思っていたようだけど。
そして、1歳を迎える時、私の魔力は3桁を突破した。
普通、最初の魔力測定では、魔力の有無しか出ない。
しかも、その量の高低は測定できない機器を使うため、魔力が一般の人に比べて格段に多くても分からない。普通は、5歳でも100を超えることは滅多にない。
私は1歳で3桁…つまり1,000の大台を超えたのは、あの存在が言ったサービスの1つ。、
魔力強制回収プログラム
これは、私が気絶すると、魔力回復中に自然中にある魔力を一緒に取り込むことで、魔力を増強するものだった。
いわば、魔法の使いすぎで、気絶すれば気絶するほど強くなる。
こうして、驚くほどのスピードで魔力が高くなっていった。
***
みんなで、わいわいがやがや、うるさく向かう先”引導”を渡すため、私にはよく分からないまま箱庭を誘導していく。
ナビゲーターは、黒龍だ。
その時、微弱なパスを捉えた。
本体との間に、細い細い線のようなものが出来ていた。
黒龍が
「ほう、転生時に樹形図に取り込み阻害をし忘れたな。他の自分と共鳴した結果、大本である本体との間にパスリンクが生じたらしい。」
「樹形図ですか。」
「全ての魂の根幹。輪廻転生は、樹形図を使わないと難しいからな。最初の初期化は、そっちに行かない様に中心核を封じて周囲に特定要素を貼りつけたのだろう。」
赤龍
「毎回、お決まりのパターンですね。今回も例外なく…という事ですね」
白龍
「これこれこれ、これが私が好きなんだ~、うっしっし。」
さらに盛り上がっているんです。
目的、覚えている?
「おかしいぞ。回復しない。それどころか、呼吸が少なくなってる。このままだと死ぬぞ。」
「前回までは、全回復していたはずだ。記録を洗いなおせ。まだ、上限まで達していない。このまま死なせると、俺たちが護符にされてしまう。」
薄く、薄くなっていた私が消えた。
しかし、何か巨大なものが近くにいる。それが、私が消えるのを阻止しているようだ。
『おいおい、もう終わりかよ。つまらねぇな~。もう一度チャンスをあげよう。こんどこそ、楽しませてくれ、引っ掻き回してくれるように、いろいろサービスもするから、せいぜい踊って見せろ。』
そんな声が聞こえた。
それで、この世界に来た時に、最初に知覚した巨大な意識の言葉を思い出した。
”お前の記憶と力を封印した。
これから、お前は俺の世界で生活する。
せいぜい、笑わせてくれ。”
あの言葉は、私に投げられた侮蔑の言葉だったのだと。
次の段階で、私という存在が再構成され、あの世界に墜とされるのが分かった。以前とは違う場所なのは確実だった。
しかし、墜とされる直前に気が付いた。
”記憶と力を封印”
という部分。
私は、何か大事なことを忘れているし、何か大事な思いを忘れているということ。
世界のある場所に強制移動させられ、前と同じような微睡が私を包む。
以前とは違う何かが付与されるのを感じる。
おそらくこれがサービスなんだろうけど、まだどんなサービスなのかが分からない。
そして、何かのパスがどこかと繋がった感じがした。
でも、それは繋がっただけ。
物凄く細く、無理をすれば切れてしまうくらいの儚さ。
でも、繋がった先が尋常な状態ではないくらい、今の私でも分かる。
あの侮辱の言葉を投げた存在は、これに気が付いていないのかもしれない。
そうやって、新たな命を与えられ、この世界に降りた。
生まれた場所は、神殿はもちろん教会もない辺境の村だった。
村民は、たったの20人しかいない。
子供は、私1人。
しかも、10年ぶりだったらしい。
その中で、村人全員で時に厳しく、時に優しく、育てられていく。
私も頑張った。
生まれて早々、私には護符として命と寿命を吸い取られた時の記憶があった。
私、赤ちゃんとしても振る舞える反面、最後の年齢…とは言っても急速に成長する前の9年間の情報や経験から、護符と神力がどういうものか分かっているし、サービスの1つだろう。魔力というものがあることを知っていた。
簡単に増加する方法も。
赤ちゃんは、寝るのが仕事…ということを聞いたことがある。
だから、少ない魔力を急増させるために、枯渇させるのを繰り返し繰り返し行い、魔力が0になっては、意識を失っていた。
両親を始めとする村民は、
「この子はよく眠る。きっと丈夫に育つに違いない。」
と思っていたようだけど。
そして、1歳を迎える時、私の魔力は3桁を突破した。
普通、最初の魔力測定では、魔力の有無しか出ない。
しかも、その量の高低は測定できない機器を使うため、魔力が一般の人に比べて格段に多くても分からない。普通は、5歳でも100を超えることは滅多にない。
私は1歳で3桁…つまり1,000の大台を超えたのは、あの存在が言ったサービスの1つ。、
魔力強制回収プログラム
これは、私が気絶すると、魔力回復中に自然中にある魔力を一緒に取り込むことで、魔力を増強するものだった。
いわば、魔法の使いすぎで、気絶すれば気絶するほど強くなる。
こうして、驚くほどのスピードで魔力が高くなっていった。
***
みんなで、わいわいがやがや、うるさく向かう先”引導”を渡すため、私にはよく分からないまま箱庭を誘導していく。
ナビゲーターは、黒龍だ。
その時、微弱なパスを捉えた。
本体との間に、細い細い線のようなものが出来ていた。
黒龍が
「ほう、転生時に樹形図に取り込み阻害をし忘れたな。他の自分と共鳴した結果、大本である本体との間にパスリンクが生じたらしい。」
「樹形図ですか。」
「全ての魂の根幹。輪廻転生は、樹形図を使わないと難しいからな。最初の初期化は、そっちに行かない様に中心核を封じて周囲に特定要素を貼りつけたのだろう。」
赤龍
「毎回、お決まりのパターンですね。今回も例外なく…という事ですね」
白龍
「これこれこれ、これが私が好きなんだ~、うっしっし。」
さらに盛り上がっているんです。
目的、覚えている?
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