学校にいる人たちの卑猥な日常

浅上秀

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屋上の貯水タンクの裏側

前編

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FILE8 緑川 (優等生) × 甲賀 (不良)



「今日もマジだりぃな」

「それな」

授業中のはずの時間に部室でサボる。
不良の醍醐味だと甲賀は思っていた。
着崩した制服に派手な色の髪、アクセサリー。
学業にそぐわないことをすることがここにいる男たちの生きがいのようなものだった。

「今日どうする?」

「あー、これからバイトだわ」

「は?真面目かよ」

「うるせぇ、金がねんだよ」

「おまえは?」

「彼女とデート」

「あー、あのビッチか」

「おい、人の彼女ビッチとか言うなし」

他愛もない会話が窓の外の雲と一緒に流れていく。

「甲賀は?」

「あ?俺?」

半分、陽気にやられて夢の世界に旅立ちかけていた甲賀は仲間の声に目を開けた。

「この後、どうすんだよ」

「…呼び出されてっから行ってくる」

「誰にだよ」

「あ、女か?」

茶化すようにハンドジェスチャーしてくる奴の頭をシバく。

「いや、センコー」

「なんだよ」

叩かれた頭を自分で撫でながら恨めしそうに甲賀のことを見上げてくるが、無視して扉を開けた。



誰もいない廊下に甲賀の靴音が響き渡る。
教室の前を通ると教師の声だけが聞こえる。

いくつかの教室の前を通り過ぎて階段を上る。
一番上に上り詰めると一つの扉が現れる。
なんのためらいもなく甲賀はその扉を開いた。

「はぁ」

気づいたらいつの間にか不良の部類に入れられ、行動をなんとなくともにさせられているがたまに一緒にいることが苦痛に感じることがある。
そんな時、甲賀は屋上に逃げ込む。

「あれ、来たんだ」

先客がいた。

「…チッ」

思わず舌打ちが漏れた。

「そんな嫌そうな顔しないでよ」

緑川は教師もみとめる模範的な優等生だ。
制服も着崩さず、真っ黒い髪の毛は長すぎず短すぎず。
成績も優秀だ。

「うるせぇ、優等生がサボりかよ」

「自習になったからちょっと早い昼休みをもらっただけだよ」

そういうと緑川は甲賀に近づいてきた。

「眠そうだね、昨日、無理させすぎちゃったかな?」

耳元で囁かれた声に思わず甲賀は腰が抜けそうになった。

「う、うううるせぇよ!」

動揺と共に昨夜の二人の秘めゴトが身体に蘇ってくる。

「はは、かわいいなぁ」

緑川は顔が真っ赤な甲賀の手を引いて給水タンクの裏の小さなスペースに誘う。
ここは二人だけの秘密基地。

二人は幼馴染で気づいたら愛し合っていた。
甲賀は普段素直になれないものの、緑川はその態度や表情から愛を感じ取っていた。

「あ、授業終わったみたいだね」

甲賀の方が身長が高いので、緑川は甲賀の後頭部に手をまわして顔を下げさせる。
ぐっと近づいた距離はゼロになり二人の唇が重なった。




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