戦争奇譚

榛翔

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成長

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「っと言うわけで、飛衛少尉は春流さんのお世話、よろしくねっ!」

「ちょっと、艦長!お世話って具体的に何をしたら…」

「そこは恋人なんでしょ?どうにか、したまえ」

「どうにかって…投げやり過ぎじゃありません?」

扉は固く閉ざされ、そんな言葉は艦長に届くことはなかった。

「その…艦長さんって面白い人だね」

「面白い人だけど、なんか抜けているっていうかー僕もまだこの人のことよく知らないんだよね」
「そうなんだ」

「うん…とりあえず、寝るかぁー」

 どうせすることもないし、寝れる時に寝るのが一番いいんだって自分に言い聞かせて、ベッドに勢いよく体を預ける。

「じゃあ、私も~」

 春流は僕の隣に横たわってきた。

「ちょっ!?」

「何、驚いてるの?」

「い、いや、べ、別に…」

(びっくりした!春流ってば、いきなり足を絡めてくるんだから。昔のか弱さはどこに消えたんだろう)
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