戦争奇譚

榛翔

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これが、本当の話だから

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 ひたいに汗をみじませる。

「春流には、話さないと僕たちの関係を…」

「私たちの関係?」

「そう…」

 ゴクリと生唾を飲み込む音がした。

「さっき、夢戦が話していた通りに近いかな。僕たちは、人間であってそうじゃない。魔法が使えるのは、生まれ変わりって言われているんだ」

「生まれ変わり……って!もしかして」

「そう、船艦のね…」

 飛衛が言う言葉には嘘をついている表情は全く見えない。いろんなことがありすぎて、頭がついてきてないといえばそうなるが、けれどもこれが現実なんだって、どこかで思ってしまう、春流。

「これから……どうするの?」


「艦長を助けにいく。きっとまだ、攻撃を受けてる……歴史は繰り返される」

「飛衛?」

「ううん、なんでもない。春流…ごめん。今まで色々と黙ってて」

「えっ____でも、言ってくれて嬉しかった」


「春流は、優しいね」


「それは、飛衛だよ?」


「それは違うよ。僕なんて…」


「もぅー!また、そんな顔になって、ほら笑って」

  春流は、飛衛の頭を優しく撫でる。

「姉ぇちゃん…うん」

 耐えていた雫が頬をなぞった。
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