戦争奇譚

榛翔

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混乱

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『さてっと、楽しませてくれるんだよね?夢戦っ!!』

 黒い鉢巻をつけて。もう一度、拳に淡い緑色の炎を纏らせて握る。

(飛衛、どうしてここが?それにいつから?)

 一瞬、飛衛の空気が変わった気がした。

『説明は、こいつを倒してからっ!!一撃拳火アインスファイヤーハンド!!

 緑の炎を纏いし拳は、飛衛の形から本来の姿になっていた。

 炎を纏いし拳が、どんどん夢戦へと近づく。恐れを知らぬ姿で。

「お前の力は封じたはずだ。なのに、なぜ」

 夢戦は、そう呟いた。

(力を封じた?どういうこと?)

「時期にわかるだろう」

『ごちゃごちゃ、喋ってんじゃねぇよ!』

 紫色の立体ひし形の中央に足を振り下ろす

『お前の相手は僕だろ?』

 ガッシャンと妙な音とを立てて、夢戦は粉々に砕け散った。

 黒い鉢巻を取ると、飛衛の空気は元に戻った気がした。

「春流、大丈夫?」

「えっ、うん、大丈夫。それより…」

「そうだな、春流には話さないといけないね」

 まばゆい光が差し込んだ

「僕たちの関係を…ね」
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